読書感想文
最近読んで気に入った本を紹介します。
タイトルがなさけない・・・なにかいいタイトルないでしょうか(^^;)
本を読むのは通勤や移動中。
したがって、帰宅したころには細かい感想を忘れてることがしばしば。
てなわけで、ちょこちょこと地道に感想を書きます(^^;)
☆5つで満点。★はオマケです。
ちなみに、1999年 2000年 1月 2月 3月 分です(クリックしてください)
2000年 4月
筒井康隆「わたしのグランパ」(文藝春秋):単行本:☆☆★
筒井康隆は、僕が中学時代にとても影響を受けた作家の1人だ。近くに図書館があるのをいいことに、一年も経たないうちに過去の著作を読み散らし、「虚構船団」くらいからはリアルタイムで追っかけていた。
いわゆる「断筆宣言」をするまでは、純文学くささが鼻につくこともあったけども、「虚構」にこだわって実験的な小説を矢継ぎ早に出版するスタイルが好きだった。
数年前に復活して以来の著作も、多分全部読んでいると思う。だけど、さすがに往年のパワーが感じられず、どこか枯れた感触があるのは悲しい限り。
前置きが長くなった。この本は、本屋では「二作目の『時をかける少女』」みたいな宣伝文を見かけた記憶がある。
その宣伝は多少あたっている、一読するとほのぼのした小説だ。
だけどその暖かさを一皮向くと、やっぱり毒がある。
のんびり読んでも、一時間足らずで読了する手軽な本だ。
描写が深彫りされずにあっさり流されているからこそ、見えない部分もやはりある。
この気軽さの影に隠れてしまった部分を読み解くことが、この小説のテーマなのかもしれない。
もっとも往年の筒井ならば、その毒をとことんつっこみつつも、見事なエンターテイメントにしていたろうになぁ。(4/23記)
島田荘司「御手洗潔のメロディ」(講談社):単行本:☆☆★
ここんとこ新本格派の動きにはうといので、御手洗シリーズが今現在どうなったのかもよく知らないのだけど・・・。1998年に出版された、彼の中篇集だ。
島田荘司の文章や創作スタイルは、正直なところ個人的にはもろ手を上げて歓迎しない。だけど、読んで楽しめたので紹介する次第だ。
小説としての完成度は、「IgE」がこの中でベストだと思う。
ただ、僕はやはり「SIVAD SELIM」に惹かれてしまう。
言及されているコンサートも東京ドームまで行って聞いてきたので、登場した瞬間にネタはわかった。
だから彼が演奏する「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」も生で聞いただけに、思い入れがひとしおだ。
しかし、このときの御手洗のギターを聞いてみたい・・・。(4/12記)
西澤保彦「完全無欠の名探偵」(講談社):文庫:☆★
短編を積み重ね、平行して二つのストーリーを平行させる。
最後に二つのストーリーを収斂させ、ストーリーを纏め上げる構成力がうまい。
ちょっとSFチックな設定もおもしろい。関連者がからみあうストーリーは、ちょっとご都合主義に感じてしまうところもあるけれど。
評点が低いのは、僕自身がどうにも文章にのめりこめなかったから。
でも、完成度は高いと思うので紹介します。この文章との相性がいい人は、とても面白く感じると思う。(4/8記)
ザ・ワイアー編「めかくしジュークボックス」(工作舎):単行本:☆☆
イギリスの月刊音楽雑誌、「ザ・ワイアー」で1991年から連載されている長期連載から、一部をピックアップしてまとめられたもの。
この本の翻訳が出版されると聞いたのが、もう一年前になる。さんざん待たされた上での刊行だ。
基本的にミュージシャン32人へのインタビュー集だけれども、特徴はインタビュー形式にある。ミュージシャンへさまざまな音楽を、タイトルを知らせずに聞かせてあてさせるというものだ。
完全なクイズ形式なので、例えあてられなくても「あ、これは知ってたよ」「あ、そうだと思ってたんだ」ってミュージシャンのエゴがもろみえになるのが、ちょっと困り者だけど。
聞かされた音楽から発展するインタビューが、結構楽しめる本だ。
登場してるミュージシャンの音を聞いたことがあれば、なおさら楽しめる本。
ちなみに、スティーブ・アルビニ(ジョン・ゾーンを評価しないとは意外だった)、エルヴィス・コステロ、ホルガー・シューカイ、ジョン・ピール、ポール・ウェラー、ロバート・ワイアットあたりが僕には楽しめた。
ほかに収録されているミュージシャンを羅列すると、有名どころはジャック・ブルース、ジョン・ケイル、アイス・T、アレックス・パターソン、コートニー・パイン、ヘンリー・ロリンズ、ソニック・ユースなど。
とはいえ収録されてるミュージシャンは、結構通好みが多い。一般受けはしないだろうな・・・。本も高いし。350頁で2900円。この出版社の本は、装丁やレイアウトに凝るせいか高いんだよなぁ。(4/4記)
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