LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

03/10/04   東高円寺 LosAngeles Club
 
   〜natural gift - vol.37
出演:ololoong/hanaveel/mooks/Φ/sleepfreak

 若手のギターバンドをずらりと並べるイベント、natural giftはひさしぶりに行く。
 前回見たのは今年の4月。そのときは
第27回だった。
 月に数度行われる場合もあるため、今夜で37回目を数える。早いなあ。

 今回は初めて聴くバンドばかりだと思う。
 全バンド、HPを持っているので詳細はそちらをご参照ください。バンド名をクリックすると、HPへ飛べます。
 
 このイベントはギターポップとアヴァンギャルドと二つの側面あり。今夜はどちらの要素も盛り込んだバンドばかりみたい。
 開演前、ステージへ盛大にスモークが焚かれる。

sleepfreak

 「ライブのたびにメンバー変わりますが、今回でほぼ固定と思います」
 ギター二人にベース、キーボードにドラム。さらにパーカッション&エレクトロニクスの六人編成だった。

 パーカッショニストは床へぺたんと座り、タンバリンをノーマイクで振り回してた。
 このハコはこじんまりしてるので、生音でもきちんと耳に届く。

<セットリスト>
1・雨宿り
2・リバーズエッジ
3・赤い日
 彼らのアンケートから引用してます。
 このバンドは去年にライブを見たことあった。まったく音楽性が違ってたので、最初気づかなかったよ。

 ぱっと耳に残ったのはリズム隊。
 ドラムは手数少なく、まっすぐに振り落ろす。ベースはわずかうねり、ぴたりとビートに吸い付いた。
 小気味よいリズムだった。

 ボーカルはかなり声が硬い。情緒的なメロディを冷静にがなるのが最初の曲。
 ところが2曲目は一転してインスト。ぼくの好みはこっちだ。ノイジーでよかったな。

 続く3曲目は12曲目双方のミックスっぽい。
 バンドとして音楽性の過渡期なのか、もともとの志向が複数あるのか。どっちだろう。

 最後の曲では、座り込んでキーボードをいじってたメンバーが、エレキギターを引っつかむ。
 3人で盛大にギターをかきむしった。キーボードが淡々とメロディを奏でる。

 おもむろにパーカッショニストはドラムの陰から金槌を拾い、ピック代わりにギターを弾き殴る。
 弦がぶちぶち切れ、シールドが抜け落ちた。

 すっと掲げたボディを、無造作に金槌でひっぱたく。
 いともたやすくエレキギターが砕け散った。

 リーダーシップが見えにくい音だった。床に座ったパーカッショニストのセッティングに時間がかかるらしく、長めのMCがいまいち構成足らずか。視点を絞ったら、より面白くなると思う。

Φ

 男三人によるトリオ編成のバンド。

 エレキギターを爪弾き、すぐに歌い始めたボーカルのスタイルが独特だった。
 テープを逆回転するかのごとく、粘っこく長廻しの歌声。
 ソロではギターを派手にかきむしる。
 個性がきっちり構築されており、彼一人で世界を作ってた。

<セットリスト>
1・螺旋
2・(新曲)
3・AI
4・AISIA
 同じくチラシ記載の曲目表から引用しました。

 1曲目はメインのメロディが4/4+3/4拍子っぽい譜割で、サビは4/4。浮遊感が興味深い。
 裏方気味なリズム隊だが、リフ作りはうまい。かっちりまとまっていた。
 MCでの演出がうまかったな。
 最後の曲前、ベーシストがライブ紹介のMC中にドラムがハイハットを、さまざまな連譜で静かに刻む。
 喋り終わるとギタリストがカウント、一気に曲が始まった。かっこいいぞ。 

 ダークな曲調が多い。
 スモークを深く焚く中、カッと後ろから照らすライティングが似合ってた。

mooks

 ライブ慣れしてそう。タイトにサウンドが固まって、聴いてて気持ちいい。
 サウンドはニューウエーブ系。軽快にキーボードが鳴る。

 だが間奏でへヴィなギターが唸るあたり、いかにも90年代以降のバンドだ。
 ほぼ全員のメンバーがノッて激しく動く中、キーボードの女性が冷静に弾いてるのが可笑しかった。

<セットリスト>
1・ドクペッツ
2・砂漠のコタン
3・KODO
4・気まぐれレインボー
5・ピクニック・ピクニック
6・サブガトル

 これまたアンケートのセットリストより。たしか(5)が新曲だったと思う。
 新曲では5弦を弾いてたベーシストが、目の前にセッティングされたタムを無造作にひっぱたく。

 彼らの強みはベース、ギター、ドラムの3人がボーカルを取るところ。
 曲によってさくっとコーラスを入れ、掛け合い風のやり取りも。
 煮詰めたらすさまじく効果的な編成だ。

 リズムはタイトなニューウエーブ風から、ジャングルぽいビートまで。
 いくつかパタ−ンを変える。
 
 惜しむらくは音がかなりでかかったこと。
 いや、音量でかいこと自体はかまわない。気持ちよかったもの。
 ただし楽器やハーモニーのバランスが、時に埋もれがちだった。

 むしろスタジオ盤にて、ばっちりのバランスでミックスされた音も聴いてみたい。
 この手のバンドは積極的に聴かないが、それでもこの日、最も楽しめた。

hanaveel

 ミニマルにフレーズを積み重ね展開する。
 1曲目ではギターの二人がオクターブずらしたフレーズを、ユニゾンでなぞった。

 ほとんどワン・コードな曲もあり。
 ハーモニーの選択が独特で、電気加工されたホーミーっぽく唸る。
 ラストの曲ではボーカリスト自身が、えんえんとホーミーを聴かせたっけ。

 ドラムはジャストで刻み、ベースは8分音符中心に膨らます。
 正直なとこ、アンサンブルが甘い。各自の頭が合わず、ボーカルはフラット気味。
 音の狙いは好みなので、もっと演奏を詰めたらより楽しめるはず。
 
ololoong

 トリオ編成のバンド。かなり暗めの曲調で、聴いてて空気が静かになる。
 音の中心はギタリスト兼ボーカリストらしい。
 
 歌のときはじわじわメッセージを聴かせ、時に字余りの譜割で揺らす。
 そしてソロではグランジにはじける。・・・そんな音楽をやりたいんじゃ。
 ソロ部分で激しく腕を振り下ろし、暴れる姿を見てて思った。
 メンバーの頭で鳴ってる音と、出音やステージングのギャップがかなりありそう。

 実際にはうつむき加減で(たぶん、椅子においた歌詞カード(?)を見てるせい)で歌う姿は単調だ。
 ボーカルのキーも低すぎで、ぼそぼそと演奏に埋もれる。オクターブあげればいいのに。

 アームを多用するへヴィなギターを狙う気持ちは分かるが、その前に客観的にステージングを意識して欲しいぞ。
 
 奇妙だったのはベースの足踏み。明らかに3.4拍目がドラムのリズムとずれている。
 弾くフレーズともずれてるっぽい。どういう譜割だろう。妙に気になった。
 
 今夜は荒削りなバンドが多かった。これからの活動に期待です。
 しかし同じ編成でもずいぶんいろんな方向性があるんだな。改めて実感。

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