LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

03/4/19   下北沢 CLUB CAVE-BE

    〜natural gift - vol.27〜
出演:オルガノラウンジ/speonic teroeca/art source village/savarah

 実は今夜五バンドが出演。ところがぼくのミスで1バンドは見損ねてしまいました。

 このイベント、これまでのホームグラウンドは東高円寺のLos Angels Clubだった。てっきり今日もそっちだと勘違い。
 Los Angels Clubに行ったら、すげえがらんとしてて焦った。あたりまえだ、場所ちがうんだもん。

 あわてて下北沢に向かう。
 下北沢でもちょろっと迷ったあと。CAVE-BEへ入ると、ちょうど1バンド目の演奏が終わるとこだった。

savarah

 今夜2バンドめはギターが2本にドラム、キーボードの4人組。ちょっとかわった編成だ。
 キーボードの上にはパワーマックやエフェクターが置かれた。ノイズかな、と思ったが、さほど喧しくない。おかず程度に電子音を重ねてた。

 面白い音楽だ。演奏はタイトながら、さほど熱狂は意識していない様子。
 クールにサウンドを積み重ねてるっぽかった。

 別にアヴァンギャルド志向でなく、ポップなフレーズばかり。
 淡々とフレーズを繰り返し、合間にボーカルも入る。
 フレーズのブロックを数度繰り返し、唐突にくるっと場面転換してゆく。

 途中のMCで「次は新曲です。もっとも聴いてるほうはみんな新曲に聴こえるかな?」って、ポツリと言ったのが妙におかしかった。

art source village

 目当てのひとつ。前回、同じくngでライブを見て以来だ。
 新編成では2ndになる3曲入りシングルを持ってきており、即座に物販で購入した。

 中央に立つ女性ボーカルはギターをぶら下げ、手元のテーブルにはボタンがいっぱいな機材(あれはなんだろ。サンプラー?)と、カオスパッドを置く。
 
 ベースとギターは左右に立つが、一歩引くイメージ。
 ギタリストは明らかにステージ後方へ下がる。明確にフロントは誰か意識させたいのか。

 打ち込みのリズムが流れ、ライブが始まった。
 最初はわずかにボーカルをカオスパッドで変調させるが、ほぼインスト。
 美しくもサイケなサウンドで心地よい。
 リズムはしっとり。アンビエント色が強かった。

 打ち込みのリズムパターンは手元の変化させず、尺も決まってるのかな。
 淡々としたビートにのって、ベースが着実にフレーズを重ねる。
 五弦ベースは音量控えめながら、タイトにリズムを盛り立てた。

 演奏面では特にギターのフレーズが耳に残る。
 打ち込みビートとベースによるカッチリしたリズムを煙に巻くがごとく、サイケなフレーズを次々に溢れさせた。
 浮遊感ある旋律がとてもいい。

 ボーカルが前に出てきたのは2曲目から。"Murozaki"かな。
 ギターをポイントで刻みながら歌う。
 今夜のライブは全4曲。
 MCを挟んだ3曲目では、ボーカルが目を閉じてリズムにあわせて身体を揺らした。

 ステージ最後は"Himitsuno hakoniwa"。ギターを後ろへおき、両手でマイクを包み込む。
 泡立つような音色に変調された歌声は、エンディングにハイトーンで歌い上げた。
 好きな曲、"エマ"をやってくれず残念。

 新曲CD−Rを聴きつつ、この文章を書いている。
 穏やかさいっぱいの音源に比べ、ステージは若干、生演奏なりの揺らぎがあった。打ち込みとはいえ、それが生の醍醐味か。またライブ見たいぞ。

speonic teroeca

 目当てなバンドのひとつ。期待通り、約30分を一本勝負。スペイシーなインプロをぶちかましてくれた。

 今夜はギター2本のフィードバックから。
 どちらも客席に背を向け、アンプへギターを近づける。
 ベーシストはステージ中央にどっかり座り、ほぼ背を向けて淡々とフレーズを弾いた。

 フィードバックはいつしか高速ストロークに変化する。
 右側がコード、左側のギタリストがフレーズを受け持った。
 ベースが奏でるメロディはほんのりファンキー。
 だがドラムはクールで、ダンスビートとは一線を画したパターンだった。
 
 基本的にワンコード。ギタリストは二人とも大きく上体を前へ倒し、がむしゃらにギターと格闘する。
 
 いったんブレイクし、ほんのり音像が明るくなった。
 それもつかのま。すぐに高速リフが浮び上がる。スピードはさらに速まった。
 ストロークの合間から、かすかに聴こえるギターのソロ。
 ハイトーンで奏でるメロディがきれいだった。

 やがてフィードバックが音の中心を占めた。
 しばらくノイズが続き、ギターが力強くソロを披露する。
 さらにドラムが、続いてベースも加わった。
 ベースがゆったりフレーズをなぞり、牧歌的なムードへ変わる。
 とはいえ、依然として響くフィードバック。

 次第に音は収斂し、ラストは右のギタリストによる爪弾きが響く。たしか座り込んで弾いていた。
 静かに音符が紡がれる。
 きゅっ。
 もう一人のギタリストが、弦へ指を滑らせた。

 ここまで中断なし。むろんMCなし。たぶんほぼ全て即興だと思う。
 対バンとは少々の温度差あるサウンドだが、迫力あるステージに圧倒された。
 このバンドも、ライブを見てこそ魅力がわかる。もうちょい頻繁にライブやって欲しい。
 
オルガノラウンジ

 彼らを聴くのは初めて。奇妙なセッティングだった。
 右側に座ったギタリストは、音量をかなり絞り気味。香り程度に歪んだ音色をかぶせる。
 音の主役は左側に陣取ったサンプラー(?)奏者。
 テクノDJよろしく音を切り替え、ビートに合わせて身体を揺らす。

 しかしステージ中央のボーカリストは淡々としたまま。時にファルセットも使う歌声はよく通る。
 キーボードを弾きながら歌うのがほとんどだが、曲によってはタンバリンをリズムがわりに叩いてた。

 テクノっぽいメカニカルなビートに、ほのぼのしたポピュラーなメロディのミスマッチが面白い。
 もうちょいボーカルの旋律にパワーが欲しかった。

 ラストはギターのフィードバックにて。
 そっとアンプへエレキギターを立てかける。小さなボリュームのノイズが、軽やかに鳴った。

 普段このイベントは、新しいバンドに出会いたくて先入観無しで行く。
 だが今夜は明確に聴きたいバンドがあったため、speonic teroecaが終わった時点で集中力が切れちゃったかも。いかんな。

目次に戻る

表紙に戻る