LIVE レビュー
見に行って、楽しかったLIVEの感想です。
01/8/18 西荻窪 アケタの店
出演:明田川荘之
(明田川荘之:p,oca)
月に一回恒例で行っている、深夜のソロライブへひさびさに行ってきた。
ええと、前回が去年の10月だから・・・10ヶ月ぶりか。
今夜はぼく以外に、3人連れの若い観客がいただけ。こじんまりした動員だった。
明田川は12時15分くらいに演奏をはじめた。しごく無造作に。
まずはゆっくりとオカリナを吹き始める。
数コーラスごとに大小のオカリナを持ち替え、しっとりオカリナを鳴らす。
聞き覚えあるメロディ展開だったが、曲名が思い浮かばなかった。
おもむろにオカリナを置き、ピアノを弾き始める。
スタンダードのような旋律の曲だった。
今夜は明田川の唸りも控えめ。演奏もバラードタイプのきれいな曲が多い。
そのぶん曲の和音の鳴りを楽しみながら聴いていた。
特に2曲目に演奏した曲の和音がきれいだったな。
もしかしたら、このライブで演奏した「インバ(?)」かな。
和音がほんのり記憶に残ってる曲だった。
フリーに演奏が爆発せず、ステージは淡々と進む。
スローな曲が立て続け。強めのアタックで鍵盤を叩いているのがめだった。
店の外はえらく寒かったのに。なぜか店内は熱気がこもる。
ほんのり汗ばみながら聴いていた。
演奏が40分ほど立ったころ・・・1時前ぐらいかな。
明田川が「ちょっと休憩します」と言って、店の外へ出て行った。
5分ほどして演奏再開。
「明田川の深夜ライブで休憩なんて珍しいな」と思ってたら、それもそのはず。
思いっきり体調を崩してるとか。前半は朦朧としながら演奏してたそうだ。
で、冷たい空気を吸いに行ったというわけ。
かなりしんどそうだったので、今日の「ライブは短めかな」と、ちょっとがっかりしてた。
ところがどっこい。ここからがめちゃくちゃ盛り上がった。
まずはこの日にも演奏したモンゴルの曲や、「越後の乳配り」などを演奏。
ピアノのテンションが、次第に上がっていく。
数曲終わったところで、明田川が一息。
「なんかリクエストあります?」と唐突に、明田川が観客に振る。
一瞬焦ったけど・・・とっさに「これ」と天井を指差し、身もふたもないリクエストで演奏をせがむ。
いい機会だし、「野尻の黄昏」を聴いてみたくて。
このタイトルのLPは、いつもアケタの店内にぶら下がってる。
なのに、CD化もされてないし、ぼくが行った限りの最近のライブでは演奏されなかったし。
すると一瞬だけ明田川はとまどい、「4〜5年演奏してないよ。どんな曲だっけな〜」とつぶやきながら演奏してくれた。
クラシック風のダイナミックな盛り上がりを含みつつ、基本は明田川おとくいの日本情緒溢れるメロディ。
かなり複雑な響きのテーマないい曲だ。ぜひまた、気が向いたらライブで演奏して欲しいな。
10分くらいこの曲をプレイしたあと、「他になんかあります?」と再び明田川が提案。
他のお客さんや店員には申し訳ないが(かなり時間も押してたし)、調子にのって「Mr.
板谷の思い出」をリクエストしてしまった。
頭の中でドババっと明田川の曲が浮かんだけど、アップテンポの曲は体力いまいちの状態には申し訳ないだろうし。
(なら、「リクエストやめりゃいいじゃん」と、今になって思う・・・頭が舞い上がってたんだな〜、おれ)
これも一瞬とまどった表情・・・でも、聴きたかったんだよね、この曲。
初めて明田川の音楽に興味を持ったのも、この曲がきっかけだったし。
そんな思いがびゅんと頭の中を飛ぶ中、明田川はオカリナに手を伸ばす。
オカリナをひとしきり吹いたあと、足元のパーカッションをジャラジャラ鳴らす。
ちょっとフリーなアレンジでの「Mr.
板谷の思い出」だった。
ピアノに向かった明田川は、ソロでさまざまなメロディを盛り込みつつも、延々と「Mr.
板谷の思い出」を引き続ける。
一瞬だけ鍵盤をひっぱたき、フリーに展開もしてたな。大喜びしながらぼくは聴いていた。
この曲を弾き終わった時、既に2時10分くらい。
「なら、もう一曲だけ」とつぶやき、しっとりとピアノを弾き始める。
ライブが終わったのは2時20分くらい。
しめて二時間弱の、ボリュームたっぷりなライブだった。
体調不良にもかかわらず、サービス精神旺盛なステージをしてくれた明田川に感謝したい。
演奏自身も尻上りにテンションが上がり充実していた。
次の深夜ライブも、また聴きに行きたい。