今お気に入りのCD(番外編)

CDじゃないけれど、見に行ったライブの感想です。

2000/10/14  西荻窪 アケタの店

出演:明田川荘之

明田川の深夜ライブはひさしぶり。
ここ数ヶ月は、なかなかタイミングが合わなくて行きそびれてた。
このところ、仕事で色々ストレスがたまってたので、リラックスするつもりで聴きに行ったんだ。

深夜0時ちょうどくらいに店に入ると、お客は僕一人。
あとから一人増えたけど、どうやらその人は常連さんか、身内の人らしい。
いつもライブが始まるのは0:20くらいからだけど、今日はなぜか0:10くらいにあっさり始まった。
実質の観客は僕一人みたいなもんだから、どうも居心地が悪い(苦笑)

観客が少ないせいかなあ。今日のライブはいつもと雰囲気が違う。
始めっから明田川はトップギアで演奏を始めた。
しょっぱなの曲は「侍一本ブルース」。
強めのタッチで、はっきり音を響かせながら演奏する。

いつもは一曲ごとに区切りながら弾くのに、今日はメドレー形式でつぎつぎ曲をこなしていった。
曲が一段落すると同時に、明田川は演奏しながらピアノの上に置いたメモに視線を投げる。
そしてあっさりと次の曲へとつなげてプレイを続けた。
聞き覚えがあるメロディが多かったけど、曲名を思い出せないや。

始まってしばらくして、明田川がオカリナに手を伸ばす。
大小のオカリナを次々持ち替え、なめらかなメロディを吹いていた。
足でリズムをタン・タン・タン・タンって、リズミカルに床を踏み鳴らす。
その音が、クリアに耳に飛び込んだ。
グランドピアノにオカリナのフレーズが微妙に注ぎ込まれ、エコーが静かにかかる。
オカリナの音が店内に広がるのが気持ちいい。

ひとしきりオカリナで演奏すると、アフリカのベルを右手で振り回しながら、荘厳な雰囲気でピアノに戻る。
テンションは相変わらず高いまま。
やさしいメロディーを奏でるときでさえ、どこか厳しさを感じてしまう。
けっきょくそのまま40分くらい、ひとときも休むことなく演奏を続けていた。

「これで最後の曲です。最近のオリジナルで『オカリナ・サンシャイン』」
曲が一区切りして拍手していると、すぐさまMCで終わりを告げられた。
バロック風のくっきりしたメロディを、オカリナで優しくなぞっていく。
途中でロリンズの「セント・トーマス」のフレーズを吹いてたっけ。
そして再びピアノを弾き出した。

あっさり今日は終わっちゃうのかなぁ。
残念に思いながら聴いていると、メロディはいつのまにか次の曲へと移っていく。
リラックスできるような雰囲気じゃなかった。
明田川はうつむきながら、ひたすら鍵盤を叩いていく。

ぴんと張り詰めた演奏で、時に息苦しくなるほど。
メロディはきれいなのに、テンション高くピアノを弾いていた。
ふっとオカリナに手を伸ばし、グランドピアノの弦の上に置く。
微妙に音にミュートがかかり、チェンバロのような音色が流れておもしろかったな。
しばらくしてオカリナを取り上げると、そのまま演奏を続ける。
「最後の曲」といいながら、後半も何曲もメドレーをしていたと思う。

次第に演奏は佳境に入り、めまぐるしく明田川の指が鍵盤の上を動き回る。
肘打ちが繰り出された。
唸りを上げながら、なんども、なんども、鍵盤に肘を打ち下ろす。
左手はシリアスにベースのメロディを弾く。
なのに右手でメロディを奏でる合間に、激しく鍵盤を肘でひっぱたく。

最後は両手で鍵盤をガンガン激しく打ち付け、クラスターノイズをぶちまけて演奏は終わった。
1:15分くらいかな。いつもよりちょっと短めのライブだった。

当初の僕の目的の、リラックスしたいって希望はかなえられなかった。
とはいえ激しい演奏が胸に染み込んで、ちょっとは元気が出てきたかな。

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