Guided by Voices

V.A. "Everything is nice" (1999:Matador)

 1989年にレーベルを立ち上げたマタドールが、設立十周年を記念してリリースした、3枚組のサンプラー盤がこれ。
 折りたたみの紙ジャケにCD三枚を詰め込み、レーベルのカタログを記載した、詳細なブックレット付き。
 細かい値段は忘れたが、かなり廉価での発売だったと記憶している。

 3枚組で全43曲入り。本盤はマタドールの代表的なミュージシャンを網羅した、面白いアルバムだが・・・。ここではあくまでGbVについてのみ触れます。
 ちなみにCD−1、CD−2が過去発表済み曲のオムニバス。そしてCD−3がレアトラックがぎっしり。大盤振る舞いだ。太っ腹だなぁ。

 このCDには、GbV関連が2曲収録されている。

<各曲紹介>

CD−2(3)
 
"The official ironmen rally song"/Guided by Voices
 
 "Under the bushes under the stars"収録曲。聴いてみた限りでは、特にオリジナル・リリーステイクと変わったところなし。
 リミックス/リマスターなどはほどこされてないみたい。
 
 深いエコーに包まれたこの曲は、本当に味わい深い。
 これ以降、GbVはさらに手の込んだレコーディング手法も使用するようになる。
 その計算された録音スタイルへ移行する寸前、ロバートがコントロールできる範囲の中で作られた作品の中では、最良の成果物じゃないかな。

 演奏者は"Under the bushes under the stars"でも触れたように、ロバート、トビン、ミッチ、ケビン、と初期GbVの代表的メンバーが勢ぞろい。

 ブックレットのクレジットは妙に細かい。そのぶん正確なのかな。
 ジム・ポラードはクレジットなし。
 ベースがジム・グリアで、トリップ・ランキンスがギターを弾いているらしい。

CD−3(11)
"Choking tara"(Creamy version)/Guided by Voices

 "MAG EARWHIG!"のアウトテイク曲。というより、別バージョンかな。
 録音メンバーは"MAG EARWHIG!"のレギュラーメンバーと同一。
 一回こっきりの録音スタイルかと思いきや。いろいろアレンジを替えて取っていたらしい。

 しかしこれ、何で未発表にしたんだろう。
 本テイクはきっちり完成され、すばらしく甘いポップスに仕上がっている。
 タム・ロールのフィルを多用しながら、力強くロバートがメロディをなぞっていく。バックコーラスも心地よい。
 
 深いエコーをかけただけの、エレキギター弾き語りだったオリジナルテイクより、このバージョンのほうがずっとかっこいい。完成度も上だ。
 むしろアルバム版はデモテープにすら聴こえる。

 総タイム数も、こちらの未発表テイクが1分程度長い。
 どう考えても、本テイクを完成版にするべきなのに・・・。あえてざっくりしたテイクを選ぶ、ロバートのセンスはほんとうに謎だ。
 「ボツテイクを間違えて、正式リリースしちゃったのかな」とかんぐりたくなった。

 エンディングはギターソロでしめる。
 シンプルながら、きちんと作り上げられた佳曲。

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