LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

04/1/17  東高円寺 LosAngeles Club

   〜natural gift - vol.42〜
出演:FRAGILE BETTY、25m.Floater、agasi、treeisnice、seaside stars

 雪がちらつく寒い夜。ngってもう42回めなのか。すごいペースだな。
 アヴァンギャルド系とギターポップ系、二種類の側面あるngだが、今夜はギタポ寄り。雪のせいか観客は若干少なめかな。
 今夜はメモを取らずに聴いてたため、かなり細部がいい加減です。

seaside stars

 兄弟バンドだそう。ギター二本にドラムという変則編成。
 まだまだ煮詰める余地がいっぱいある演奏だった。
 ギターリフを倍テンポにして、ドラムが裏拍を生かすだけでだいぶ違うはず。
 あとは歌のピッチをあわせることと、曲の場面切り替えするとき、いかにすばやくやるかでしょう。
 演奏をタイトにすれば、アレンジはもっと生きるバンド。

treeisnice

 中央のボーカリストがハイトーンで叫ぶ。
 「頑張りまーす」って冒頭の挨拶で、ちとめげた。学園祭じゃないんだからさ。
 
 変拍子っぽいリフが楽しめた。曲によって6/4ぽかったり、7/4ぽかったり。
 ただしちと単調。アンサンブルになってるが、伝家の宝刀になりうるハイトーンを連発しすぎで、もったいない。
 もう一人のギタリストもボーカルとってたから、歌を分け合ってメリハリつければいいのに。

 ボーカリストのマイク高さも気になった。首を傾げ気味にうつむいて歌ってたが、あと3センチマイクを高くしただけで、歌いやすくなるんじゃないかなぁ。素人考えですが。

 一曲はあんがい長く、リフをばしばし入れる。
「長い曲ばっかりだったので、最後は短めにやります」
 って最後のMCが可笑しかった。

agasi

 アンサンブルはグッと締まった。ライブを重ねてるらしく、バンドっぽいサウンドになっている。
 ギター2本にベースにドラム。ボーカルがリズムギターを弾きながら歌った。
 リードギターが聴き応えあるフレーズを弾いてるだけに、ジャカ弾きのリズムギターが惜しい。
 
 足し算じゃなくて、引き算でアンサンブル考えてほしかった。
 たぶんこのバンドは3ピースの演奏にボーカル、ってアレンジでも成立する。
 ディストーションかかったリズム・ギターが音を塗りつぶすため、サウンドが類型的になりがちで惜しい。

 ベーシストがかっこいい。
 はだしでぐっと踏みしめ、猛烈に弦をはじき倒す。
 無表情のままステージ前までのめりこみ、挑む姿勢は迫力あってよかった。

 そう、このバンドはリズムをきちんと鳴らそうとしてる。実際、ドラムとリズムの組み合わせは楽しい。
 曲によっては6/4っぽいリズムも取り入れた。

 裏拍を効かせて、心地よい。んで、リードギターはそのリズムとまったく別のラインでリフを絡ませる。
 やっぱりリードギター抜きのシンプルなオケで聴きたかった。

 めんくらったのはステージ進行。いきなり曲が終わるパターン多し。
 歌が終わりになったとたん、つるべ落としでエンディングばっかり。
 一曲くらいなら面白いけど、かたっぱしからこれだと置いてけぼりになる。

 今夜、2番目に楽しめたバンドがこれ。

25m.Floater

 さて、今夜の目当てはこのバンド。神戸を根城に活動してる。
 とにかくライブを「発表会」じゃなく「パーティ」と捉えた、アメリカンなスタイルが痛快だった。

 セッティングにてこずりながらも、けして広くないスペースに、ギター3人、ベースにドラムがみっちり並ぶ。
 合図が一閃。ギターが唸り、ライブが始まった。
  
<セットリスト>
1.Heavy
2.PINK EYE ("PINK EYE")
3.ルート
4.Turkey ("The summary of an incident(Ballad of Turkey Rice)")
5.コードリフ
6.Citrus ("Citrus injection")
7.速

 終演後、ステージ隅に置いてあったセットリストを写してます。
 ほとんどの曲名は略称で書かれており、(" ")が正式タイトル。
 偶数曲が既CD化曲、奇数は次のアルバムに入る予定曲か。
 たぶん(7)って昨年4月のライブで聴いた曲のはず。だいぶ時間あいて、メロディを覚えてません。

 レコーディング中で新曲がたまってるだろう。
 しかし聴き覚えのある曲でサンドイッチにした、観客をそらさない選曲はさすが。

 一曲目からぐいぐい飛ばす。
 ボーカルのイッセキは早口で、キャッチーなメロディをまくし立てた。

 曲によってはギターやベースがコーラスを入れる。
 ただしこの大勢な編成だと、ミックスが難しいのか・・・ちょっとコーラスは聴こえづらい。
 そもそも音はかなり団子で、細かいフレーズがわかんない。
 PAも工夫してたのか、ライブの間でころころバランスが変わって面白かったな。
 
 ほとんどイッセキがメインで目立ち、他のメンバーは支えに回る絵柄。もっと他のメンバーもぐいぐい派手に動けばいいのに。
 ただしギターソロでは、見せ場が変わる。

 あれは"PINK EYE"だったか。
 ボーカルが歌いまくった直後、カクセイのギターソロでスパっとステージの視点が変わった。
 ライティングも派手。後ろでまばゆく点滅が繰り返された。

 基本はギターをぶら下げたまま歌うイッセキ。
 アメリカ人らしき観客が何人か来ていたため、MCは日本語と英語を使い分ける。
 「持ち時間は25分間なんだよね」
 って告げると、白人の観客が「もう25分間やれ〜!」って叫んでたっけ。

 そういや今夜の観客は大人しめだった。
 だけど彼らがけっこうノッてくれたから、客席もだいぶあったかくなってたと思う。

 "Citrus injection"では、珍しくイッセキがイントロを弾く。
 歪んだ音色でざくっと刻み、ドラムがタムを打ち鳴らした。
 このバンドもきっちり裏を意識してて、リズムが楽しい。いっときも休まず煽り立てた。

 MCで印象的だったのが、ラスト前。
 イッセキはギターをかき鳴らしながらライブの告知をする。
 無音でノリが途切れるMCって好みじゃないので、この演出は嬉しかった。

 イントロが流れる。イッセキはギターを放り捨てた。
 マイクをわしづかみ。ハンドマイクで歌いまくる。
 ぱっとステージ後ろを向くと同時に、スタンドを蹴倒す。
 ・・・直後に戸惑った顔で、きちんと拾い上げてたのが面白かった。
 
 やみくもに全員が弾き倒す。シンバルの陰に隠れつつ、髪を振り乱してキチジョウはドラムを乱打。
 狭い天井へぶつけながらも、イッセキは歌の合間にマイクを振り回した。

 エンディングの合図は竹本のジャンプだったか。
 あっというまに25分の持ち時間が終わる。
 新曲群もメロディがくっきりしててかっこいい。2月頃にレコーディング完了予定という、新譜が楽しみだ。
 
 とびっきり濃密な25分間だった。

FRAGILE BETTY

 ギター2本にベース、ドラムという編成。Agasiとは逆に、ギター2本の編成に必然あるアレンジだった。
 ふわっと音を伸ばして、リフをユニゾンさせる。
 透明感ある音と、一転して歪んだ音。エレキギターの音色を場面ごとに使い分けていた。

 かなり表の拍を意識したリズムで、いっきに空気が落ち着く。
 ボーカルは滑らかなハイトーンで。説得力ある歌だった。

 このバンドってグランジの要素とVUっぽい透明さの、混在を狙ってるんじゃないか。たぶん。
 だけど彼らの音楽ってフォークとしても成立する。アコギ2本でも大丈夫そう。意識してるか分からないが。

 で、なまじライブの途中にそんな発想が浮かんだため、つい頭の中でアレンジ置き換えながら聴いちゃって。
 いまいち演奏にのめりこめませんでした。ごめん。

 演奏はきっちりまとまってた。
 ボーカルの声もきれいだし、轟音ギターも違和感なくはまってる。
 ぼくがきちんと音に耳のピントを合わせてたら、もっと楽しめたはず。

 このイベントの常として、ほぼ時間通りライブはきっちり進む。
 毎回書いてるが、なにかっていうとずるずる押す進行が多いだけに、ngの律儀さは高く評価したい。

 なにはともあれこのイベント、ほぼ毎回新鮮なバンドとの出会いがあって嬉しい。
 行くたびに、僕が最年長で肩身狭いのが玉に瑕ですが。
 たいがいぶらっと遊びに行くパターンだが、今夜は目当てが25m.Floaterと明確だっただけに、他のバンドへの印象が薄くなっちゃったかなあ。

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