LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

01/9/1   西荻窪 アケタの店

出演:渋谷毅オーケストラ
 (渋谷毅:p、松本治:tb、松風鑛一:bs,as,fl、津上研太:ss,as、
  林栄一:as、峰厚介:ts、石渡明広:g、上村勝正:b、古澤良治郎:ds)


 風邪をひいて、今週はボロボロ・・・。
 熱はかなり下がったが、咳がまだまだ止まらない。
 とはいえ、なんとか復活しかけた土曜の夜。
 せっかくだからライブを聴きに行った。
 せっかくだから、ダブルヘッダーで。せっかくだもんね。うん。

 さて、アケタに7時半過ぎに到着すると、土曜のせいか観客の入りがいい。
 最終的に立ち見も出る盛況。20数人は入ったかな。
 20代前半くらいの若い客の比率が多い。
 あんがいDCPRGがらみで、津上研太目当ての客だったのかも。

 渋谷オケは東京で毎月2回、きちっとライブをやっている。
 だから毎月でも聴きにいけるのに・・・妙に都合が合わず、ずいぶんご無沙汰していた。
 この時以来だから、ほぼ9ヶ月ぶりか。

 8時半くらいにメンバーがステージに上がった。
 ホーン隊がずらっと並び、壁を作るところが迫力ある。

 いきなり渋谷が「『猫』やろう!」と言い、あの印象的なフレーズをオルガンで弾き始めた。
 メンバーが管を首にぶら下げ終わってもいないのに。
 渋オケの一曲目は「Great Type」に固定されてたかと思ってて、少々意外だった。

 いきなり始まった「酔った猫が低い塀を高い塀と間違えて歩いているの図」。
 この曲、僕は大好き。
 作曲者の石渡が、エフェクターで高音を強調したギターをきれいに響かせる。
 ファンキーなビートがアケタの中に響き、大喜びで聴いていた。
 ちょっとPAのバランスが悪くて、ベースの音が聴こえづらいのが残念だった。

 今夜はさくさくステージが進行する。
 ソロのスペースも比較的短めで、一曲あたり10分ちょいだったろうか。
 風邪をひいてたせいか、最初はその進行についていくのが精一杯。
 PAバランスは、演奏が進むにつれ改善されていた。

 第一部はおそらく、どの曲も渋オケおなじみのレパートリーじゃないかな。
 ひさびさに聴いたせいで、曲名がメロディと一致しませんでした。ごめん。
  
 最初のステージでは、5曲を約40分で演奏。
 3曲目に「What MASA is...She is out to lunch」をプレイしてたと思う。
 けっきょくスローな曲中心で、ロマンチックに決めたステージだった。

 演奏曲は、その場で渋谷が決めていたようだ。
 ぼそっと曲名か何かをつぶやき、メンバーがいっせいに譜面台のスコアを繰る。
 途中で一曲、渋谷が言う譜面を石渡か松本が持っておらず、別の曲に変更する一幕もあった。

 第一部で印象的だったのは4曲目かな。
 ソロ回しをするあいだに、どんどんテンポが変わっていく。
 管のソロ回しの段階で、次第にビートがゆっくりに。
 そしてベース、ドラムとリズムを落としながら消えていき、最後は無伴奏のピアノ・ソロ。
 しっとりしたピアノが効果的だった。 
 
 短い休憩時間をはさみ、第二部のスタート。
 渋谷が「Great Typeをやろう」と提案する。ここに持ってきたか。

 後半は全て曲が一致したので、紹介します。

<後半のセットリスト>
6.Great Type
7.Ballad
8.Jazz me blues
9.Soon I will be done with the trubles of this world
10.Brother
11.Lotus Blossom

 どの曲も、渋オケでは欠かせない美味しい曲ばかり。
 混沌としたオープニングの「Great Type」では、古澤がスネアを持ち上げて共鳴線に「Great Type!」と叫び、おどける。

 石渡のエレキギターはチョーキングを的確に挟み込み、高音中心にソロを組み立てた。
 ホーン隊のアンサンブルは、さりげなくもピシッとリフを決めていた。
 ドラムが奔放にビートを刻む。
 上村のベースは、すばらしく楽しい。
 表情をさまざまに変えながら身体を左右に揺らし、楽しそうに低音で煽り立てる。
 見ていて飽きず、ついつい上村を見ながら聴いていた。

 そして御大、渋谷毅。
 今夜はあまり弾いてる姿が見えなかったけど(座ってたポジションのせいで)、リラックスした音が節目節目に響いていた。
 ほんわかした雰囲気がステージから漂ってきた。

 「Jazz me blues」では、ホーン隊からピアノへ軽快にソロが廻される。
 もっととことん長回しで、たっぷりソロを聴きたかった。
 しっとりした「Soon〜」をはさみ、怒涛の盛り上がりを見せた「brother」。
 林が思い切り熱っぽいソロを、たっぷりぶちかます。

 「brother」のコーダをびしっと決めた後、すかさず渋谷がピアノを爪弾き始めた。
 観客の拍手を浴び、メンバーはどやどやステージを降りていく。
 ステージに一人残った渋谷はピアノに向かう。
 「Lotus Blossom」のメロディをさまざまに崩し、しっとりとステージを締めくくった。

 渋谷もステージを下りたが、まだ10時20分くらい。
 そのまま拍手を送ってると、渋谷がステージに戻ってきてくれた。
 のそりと峰も戻ってきて、かすれぎみな音がテナー・サックスから流れ出す。
 曲名はちょっとわからない。
 二人だけでジャズの小品をプレイして、今夜のステージが終わった。

 今夜はあんがい短いステージだったかな。
 渋オケはいつも変わらず、あったかい演奏で包み込む。
 でも、聴くたびに自由奔放にプレイが変化し、聴いてて飽きない。
 またぜひ、聴きたいな。

 てなわけで今夜はダブルヘッダー。ぼくが聴きたいライブはもう一本ある。

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