LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

01/78   西荻窪 アケタの店

出演:HAYAKAWA
 (早川岳晴:b,橋本ジュン:g,増田隆一:g,植村昌弘:ds,北澤 篤:ds)

 HAYAKAWAのライブを聴くのは二度目
 前回同様、またしても最前列のどまんなかで聴くことができた。
 そのぶんすさまじい音量で、一瞬にして耳鳴りが始まったけど・・・。

 前回からギターが交代している。
 石井洋次が脱退、増田隆一(元ルインズ、現SOH-BAND)が参加した。
 今日は増田が参加してから2度目のライブとか。
 この脱退はけっこう唐突なもんだったらしく、前々回のライブでは鬼怒無月がトラをしたらしい。そのステージも聴いてみたかったよぉ。

 さて。今回のメンバー立ち位置も、ちょっと変則的。
 ステージ中央に植村が座り、その両横をギターがはさむ。
 そしてステージ奥に北澤と早川が立つ。
 アケタのステージは狭いけど、植村のドラムがよく鳴るから北澤のタイコが聴こえにくかったかな。

 ステージは8時過ぎに始まった。
 早川がボソッと「まずは勝手にやるからね」とつぶやき、ベースソロを始める。
 豪音がアケタの中に響き渡った。
 壁がびりびり震える。なぜか音圧は伝わってこなかったけど・・・。
 
 なめらかな音色はエフェクターをつぎつぎ通され、ぐんぐん歪んでいく。
 ディレイをつかってフレーズをループさせ、その上でソロを取ったりもしていた。
 
 早川のベースソロは10分くらい続いたろうか。
 もはやギターなみに歪んだ音色で弾きまくっていたソロが、ふっと途切れた瞬間。
 絶妙のタイミングで、橋本のシャープなカッティングが切り込んでいった。

 最初のセットでは4曲演奏。
 そのうち3曲が2ndアルバムの曲だった。
 2曲目に「アンモナイトの悩み」をやったのは覚えてるけど。あとの曲はいまいち記憶があいまいです。すみません・・・。

 前半はMCもなく、ひたすら一丸となって突き進む。
 全員がばっかでかい音でフレーズをばらまき、タイトにテーマを奏でる。
 ソロの挿入タイミングもきっちりアレンジされ、アイ・コンタクトですぱすぱ曲調が変化していく。

 1曲目では、テンポチェンジを8小節おきくらいに行っていた。
 もちろん、譜面も見ずに軽がると。すごいや。
 
 演奏はひたすらパワフル。
 全員の音がぐいぐい前に出てくる。
 一番目立っていたのは、やはり植村だろうか。
 リズムキープの合間を縫って、メロディアスなフィルを次々披露する。
 北澤が比較的オーソドックスなリズムキープをしていただけに、植村のトリッキーさが強調されてた。

 植村は「アンモナイトの悩み」で、カウベルを使ったリズムパターンを使用。
 甲高く鳴る金属音が、効果的なアクセントになっていた。

 増田はすっかりHAYAKAWAの音に溶け込んでいたと思う。
 特に譜面を見るわけでもなく、高速パッセージでテンション高く見事なソロを奏でる。
 ハイテクニックをぞんぶんに生かした、好演だった。

 今夜ソロを取ったのは、ほとんどギター。
 交互にソロを取り合う構成で、たっぷり二人のギターを味わえた。
 フリーに対決しあう瞬間がなかったのは、ちょっと残念だけど。

 橋本のプレイは、アレンジのなかで重要な位置を占めていた。
 ソロで暴れるときはもちろん、バッキングにまわったときも巧みにカッティングでからんでいく。
 激しく暴れるところと、押さえに回るところと。バランス感覚が抜群だった。
 
 そして、サウンドの全体を束ねるのはもちろん早川。
 バッキングの時も、激しく指がネックの上を踊る。
 全員のアンサンブルがとっても楽しい演奏だった。

 増田が加入したことで、このバンドもすっかりジャズの要素が抜けてしまった。
 ビートはきっちり縦で仕切られ、グルーヴ感はほとんどない。
 ヘヴィなプログレバンドってイメージが、一番彼らの音に似合っているかも。

 ドラマティックに盛り上がった4曲目のあと、しばし休憩。
 第一部は約1時間の演奏だった。
 20分ほど休憩をはさみ、セカンド・ステージは「シャーマターラのマサカリ」で始まった。

 この曲で、植村によるたっぷりとしたドラムソロ。
 単に手数が多いだけじゃない。
 一瞬たりとも同じパターンを叩かないから、聴いていてまったく飽きないソロだった。
 シンバルの鳴りも小気味いい。
 割れたシンバルを二枚重ねたものをセッティングしていたが、それを叩くと実に微妙な音色がする。素敵な音だったな。 

 5分ほど植村が叩きまくったあと、するっと北澤が加わり、ユニゾンでシンプルなビートを提示する。
 その二人のリズムにのって、早川が猛烈なソロを始めた。
 めちゃくちゃいかした演奏だった。

 二曲目は「バリタコ」って曲。
 比較的新しい曲だとか。
 曲の中盤で、変拍子っぽくドラムがユニゾンで刻むパターンは聞き覚えあり。
 もしかしたら前回のライブで「賀正」って読んでいた曲かなあ。

 後半も全部で4曲演奏。
 最後の曲は「マサコマサ・シャッフル」。HAYAKAWAの1stアルバム最後の曲だ。
 しかし、このアルバムの演奏と今のHAYAKAWAは、音がまったく違う。
 現在進行形のHAYAKAWAは、はるかに音がぶっとくなり、はるかに高速になっている。
 次のアルバムが待ち遠しい。今度はライブ盤がいいなぁ。

 圧倒的な迫力で演奏を終了。
 観客の拍手はなりやまない。
 植村が去ったドラムセットに早川が座り、シンバルを叩いておどける。
 てっきり、アンコールは早川のドラムが聴けるのかと思っちゃった。

 するっと植村がステージに戻ってきて、そのままアンコール開始。
 最後にやったのは「Triple Spirals」かな?
 いまいち記憶があやふやです。

 歯切れよく細かいビートを刻み込む曲だった。
 中盤でドラム・バトルが始まった。これが最高!
 構成はおのおの4小節ごとで、ソロを交代するかたち。

 ビートを刻むことに専念するソロが中心のシンプルな北澤と、空間を埋め尽くす手数の多さで、多彩に表情を変えるフィルを次から次にめまぐるしくばらまく植村。
 二人の個性ががっちりぶつかりあう、めちゃくちゃ刺激的な時間だった。

 後半はアンコールをいれて70分くらい。
 しめて二時間強のライブは大満足。
 キンキン鳴る耳をお土産に、アケタの階段を上がっていく。
 蒸し暑い外の空気も気にならない。
 彼らの豪音がすかっと吹き飛ばしてくれた夜だった。

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