LIVE レビュー
見に行って、楽しかったLIVEの感想です。
00/1/19 西荻窪 アケタの店
出演:HAYAKAWA
(早川岳晴(b)、石井洋次(g)、橋本ジュン(g)、植村昌弘(ds)、北澤篤(ds))
三度目の正直で、やっとこさHAYAKAWAのライブを聴けた。
HAYAKAWAの音を意識したのは、アルバム「Gwoh-in」が発売した頃。
深く考えずにアルバムを聴いて、ずぶといノリにぶっ飛んだ。
ライブを見てみたいなあと思いつつ。過去二回のライブは、仕事の都合で行けずじまい。
今夜はたまたま休暇を取れたので、念願かなって無事に見られるはずが・・・風邪のせいか、妙に頭が熱っぽい。
途中でぽやんとしながら聴いていた。
今回の楽器位置は植村の希望で、ドラムをステージの一番前に置いていた。
ドラム後ろ、中央に早川がすっくと立ち、さらにその後ろへギターの二人が並ぶ。
ステージの後ろからHAYAKAWAの演奏を見ているみたいで、面白かった。
僕が座ったのは植村のすぐ前、最前列br>
二枚重ねしたクラッシュや、ツインペダルを踏む植村の演奏を、間近で見られるベストポジションだった。
演奏は8時くらいにスタート。それまでどこかに行っていたメンバーが、どっとステージに上がって演奏が始まった。
(セットリスト)
1)900t(294?)
2)アンモナイトの悩み
3)賀正(新曲)
4)山王
<休憩>
5)(新曲)
6)いかれた地図
7)シャーマターラのマサカリ
8)アル・ガラ
各セットはそれぞれ一時間くらい。
どの曲も15分くらいかけて、えんえん演奏してくれたのが嬉しい。
(1)からいきなり、ワイルドにつっぱしる。
(ちなみに、(1)の曲名は「900t」と聴こえた。
もしかしたら、僕が曲名を聞き間違えてるかもしれない)
目の前で、植村がとてもタイトなドラムを聴かせる。
いっぽうの北澤は、ほんのすこし粘りのあるドラム。
二人のドラムは、ユニゾンするよりも別々のフィルを叩くことが多い。
微妙にビートをやり取りしながら、ふくよかなリズムを構築していくリズムが素晴らしかった。
早川のベースはどっしりとビートを支える。
そこに二人のギターが色をかぶせていく感じかな。
橋本はどちらかといえば、カッティングを生かしたシャープなプレイ。
石井は客席に背を向け気味で、エフェクトを効かせたメロディアスな演奏をしていた。
早川を軸として、2種類のバンドが音を絡みあわせていくみたい。
生音なのに、耳に馬鹿でかい音が飛び込む。
早川がメンバーにアイ・コンタクトをして、テーマになだれ込んでいく瞬間がとてもいかしていた。
(2)は北澤がマレット、植村はブラシを持って静かに演奏が始まった。
ユニゾンでテーマを奏でる個所が、すごくきまる。
一曲目はダンゴになっていた豪音も、二曲目から尻上がりにバランスがよくなっていった。
もっとも基本的には生音だから、僕の耳が慣れたせいかな。
(3)はできたてほやほやの新曲らしい。
ドラムが変拍子っぽいパターンを繰り返し、エイトビートになだれ込む、複雑なリズムの曲。
つるべ打ちにドラムがフィルを決めていくところがスリリング。
植村がじっと譜面を見つめながら叩いていたのが印象的だった。
「新曲だから不安」と早川がMCで謙遜していたが、僕の耳では見事にタイトなプレイでまとまっていたと思う。
ここまでソロを取っていたのは、ほとんどギターの二人。
早川はおもむろに「山王」で、ベースソロを取っていたっけ。
ドラムはソロこそ取らないものの、おかずの掛け合いをしょっちゅう繰り返す。
それぞれのメンバーが刺激的なプレイで目が離せない。
忙しくあちこちを見ながら、僕は演奏を楽しんでいた。
休憩明けはまた新曲。
とはいえ、しばらく前に作った曲らしく「『旧』新曲ね」と早川がひっきりなしに強調していた。
この(5)もリズムがフワンとしていておもしろい。
リズムはフリーじゃないみたいだけど、タイム感があちこち前後する。
いきなり倍テンになったり、リタルダンドしていったり。
テンポチェンジが一糸乱れず行われ、各メンバーのテクニックの確かをしみじみ感じる曲だった。
バンドがユニゾンでテーマをはじき出すところが、聴き所だった。
つづく(6)もアルバム未収録。これも新曲なのかな。
早川が「最もジャズっぽい」と言ってたけど、ジャジーなのは早川だけ。
音を着実にベースからつむぎだし、ビート感を提示する。
そしてその周辺でバンドのメンバーが、自由なリズムで遊ぶ。
フリーな雰囲気の曲だった。
(7)はもともとはSALTのレパートリイ。
のちにD.U.B.+清志郎の「DANGER」(これ、ジャケットがかっこいいんだよね)にも「働く人々」のタイトルで収録されているらしい。
早川がソロを、たんまりとぶちかます。
エフェクターを少し通して、ふくよかな音を一杯に響かせたメロディアスなソロだった。
(8)はドラムがまず自己主張する。
植村と北澤が4小節くらいの短いスパンで、フィルの交換を繰り返す。
クラッシュを微妙に鳴らす植村のテクニックが、素晴らしかった。
その二人のドラムによるリズムの対話に、橋本がギターで切り込んでいく。
ペダルで音を調節しながら、カッティングで雰囲気を見事に盛り上げた。
ネックを上から下まで使って滑らせるサイケなギターの響きが、めちゃくちゃいかしてた。
最後までガンガンに、トップスピードで突っ走ったライブ。
やっぱりドラムを前面に出した編成のおかげかな。
こまかいリズムの変化を、まさに目の当たりにできてよかった。
新曲も飛び出して、バンドの創造力も旺盛。
複雑な演奏になるほど、味が出てくるバンドのような気がする。
今はkikiのレコーディングをしているらしいけど、HAYAKAWAでも新譜を作って欲しいな。楽しみだ。