LIVE レビュー
見に行って、楽しかったLIVEの感想です。
01/6/9 西荻窪 アケタの店
出演:津村和彦(g)ソロ
仕事がばたついたのと、風邪で体調がいまいち。なので今週はライブを控えてたけど。
せっかくの休日。なんか聴きたいなぁ、とこの深夜ライブを選んだ。
彼の演奏をライブで聴いたのは、明田川オケのサイドメンをつとめたこのとき。
ジャズだけでなくロック風の要素を織り込んだ、明るくくっきりしたソロが印象に残ってる。
アケタに到着したのは、0時ちょいまえ。
中に入ってみると、夜の部を終えたばかりのメンバーがくつろぎながらビールを飲んでいた。打ち上げってところかな。
おそるおそる店の隅に座り、開演を待つ。
ちょこちょこ観客も増え始め、最終的には7人くらいいたろうか。
津村は0時10分くらいにエレキギターをひざに抱えてステージのパイプ椅子に座り、小さな音でチューニングを始めた。
BGMが消され、照明がステージ以外は落とされる。
ギターを爪弾いていた津村は、顔も上げずにそのまま演奏をつづけた。ライブの始まりだ。
ステージ横にアンプをどかんと置き、シールドがギターにつながっている。
エフェクターはなにもなし。エレキギター一本のシンプルなセッティング。
静かに津村は音を選び、紡いでいく。
10分くらいうつむき加減でギターを弾いていたろうか。
旋律は、ほんのりブルージー。
そして、しばらくして。
エレキギターから、とぎれとぎれに「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」のテーマがこぼれだした。
今夜の演奏は、あまり小節を感じさせない。
淡々と、探るようにフレーズを弾いていた。
基本はピック。ときには指で弦を爪弾く。
一弦を開放で弾き、ベース音にして下の弦でメロディ。
思い出したように、右手でぽーんとハンマリング。
落ち着けるソロだった。
この時点で、風邪がぶりかえしたのか・・・。ぼくはいまいち頭がぼーっとし始める。
眠り込みそうになりつつ、彼のソロを聴いていた。
音色はブライト。ふくよかにギターを鳴らす。
たまに早いパッセージが始まるけれど、フリーに流れることはなかった。
だけど構造は自由奔放。リズムを取ろうとしても、何拍子かいまひとつ理解できない。
ふわふわと、フレーズが漂っている感触。
今夜の演奏は、メドレー形式に曲をつむいでいたのか。それともすべてアドリブだったのか・・・。
「ラウンド〜」も、ソロがつぎつぎ展開していき、またテーマに戻る事はなかった。
最初の演奏は30分くらい続けていた。
ふっとソロをやめる。おずおずとぼくらが拍手。
MCもなく、すぐに次の演奏を始めた。
2曲目は10分くらいのソロ。盛り上がりかけたところで、あっさり演奏が終了した。
ここで20分くらいの休憩をはさみ、第二部がスタート。
途中で二人ほど観客が帰り、5人くらい残っていたと思う。
津村は再び、すっと演奏を始めた。第一部より、いくぶんメロディに力がこもっていたように聴こえた。
ところが興が乗らなかったのだろうか。あっさり5分くらいで終了。
拍手を受け、津村が苦笑していた。
もしかしたら「これからソロを展開させようかな」・・・って思ってたのかも。
続けて始まった二曲目が、今夜のベストプレイ。
メロディが生き生きしている。静かなのに、かなりパワフルに感じる部分もあった。
ここらへんで、足踏みしながら津村がギターを弾いていたっけ。
フレーズにぐいぐい熱がこもってくる。
いきなり、6弦がはじけとんだ。
一瞬津村は戸惑いつつ、かまわずソロを続行。
ぼくは彼のソロに引き込まれていった。
ところが、尻切れトンボ風にすぱっと演奏が中断してしまう。
とまどっていると、津村が椅子から立ち上がり「今日の演奏は終了です」みたいなことを、もごもご言ってステージを去った。
時間は深夜の1時半をまわったところ。
ステージの時間帯にぴったりな、落ち着いたプレイだった。
ぐんぐん演奏にのめりこみ、椅子を蹴倒して猛烈に弾くってプレイも見たかったな。
ま、いまひとつ彼のイメージじゃないけど(笑)
いくぶん物足りなさが残るものの。
「深夜のジャズ」ってイメージがぴったりくるライブだった。