Review of Merzdiscs  12/50

Nil VAgina Tape Loops

Composed&performed by Masami Akita
MA plays Sony 464 tape recorder,Nil VAgina Tape Loops,treated tapes,percussion,Synare 3,Dr.Rhythm
Recorded at Lowest Music&Arts,1982

 この作品の中心となるツールは、ソニー製の4チャン/2トラック、464モデル。
 もともとは、秋田が道路に捨てられていたものを、拾ってきたそうだ。
 このレコーダーの、それぞれのトラックにテレビやフィードバックノイズを
リアルタイムにミックスしている。

 ちなみに一曲目は、ここで紹介した「Solonoize 2」の音源から収録。
 二曲目と三曲目は、当時「Lowest Music 2」のタイトルで、カセットにて発表された。

 全般的に、曲の構造がシンプル。メルツバウとしては異端な音だと思う。
 だからこそ、聴きやすいけど・・・個人的には、正直物足りない。

<曲目紹介>

1.Nil VAgina Tape Loops No.0 (14:28)

 音像的にはシンプル。464モデルを使っているせいか、多層的な積み重ねはあまり感じられない。
 テープの逆回転や、早回しなどの素材を元にして、秋田がシンプルにノイズをいじくり回している。
 あまり過激さは感じられない。
 ワンアイディアで淡々と進んでいき、ときたま音の素材が変化していくだけなので、もうちょっとはじけてほしいな。 

2.Nil VAgina Tape Loops No.1 (30:19)

 リズムボックスを時折混ぜながら、しごく淡々と進んでいく。
 今ひとつ盛り上がりがないまま、最後まで聞いていくのは、ちとつらい。
 中盤のリフは、うねってかっこいいんだけどな。
 全般的に、空白を生かしたアレンジになっている。
 音で空間を埋め尽くすのがメルツバウだと思っていただけに・・・意外だ。

3.Nil VAgina Tape Loops No.2 (28:28)

 前曲でのリフが、音色を変えて繰り返される。
 メインとなる音は、軋む電子ノイズやテレビの声を変調させたもの。
 それを、たんたんと流していく。

 アレンジの方法は前曲と同様だが、若干こちらの方が音の重ね方に多層性がある。
 ここで現れるノイズは、サンプリングされたかのように、何度も何度も繰り返される。
 その執拗な構成はテクノっぽさを、ふっと思い出すなぁ。

 ただ、やはり構造がシンプルすぎる。もっともっと過激さが欲しいぞ。
 聴いていて静けさを味わえるので、冬の夜にBGMとして流すにはなかなかいいかも。

(00/11/5記)

Let`s go to the Cruel World