のんびりてきとー日記です。
BGMは、特に日記の内容とリンクしてない
場合が多々ありますが、ご容赦を・・・。
ちなみに、03/5/9までの日記はこっちです
とうとう。
ミュージック・マガジン誌を買うのやめた。前から惰性で買っていたが、もうここらへんで、一息つこうと思って。
この雑誌で楽しみにしてたのは、いくつかのコラムと輸入盤のレビューだけ。そんな時期がもう一年くらい続いてた。
あとはほんとに読まなかった。もちろん、興味あるミュージシャンのインタビューは読んでたよ。

なんでMM誌を読まなくなったか、理由はいくつもある。だいぶ前にこの日記で書いた気もするなぁ。
一言で言えば。ぼくが欲しい視点で雑誌を作らなくなったってことだろう。

・今までぼくが知らない音楽への興味を開く。
・知ってる音楽を、新たな視点で聴くきっかけをくれる。
欲しい視点を整理すれば、この2点かな。

クロスビートを買わなくなってもう何年にもなる。これで定期的に買ってる雑誌、レココレとbeatlegだけになっちゃった。

この2誌が上で書いた、2点を満足させてくれるか。実はかなりあぶない。
レココレ誌はがけっぷちだし、beatlegの視点はOKだがストライクゾーンからはずれたバンドばっかり。

ネットを駆使して、常に自分で考えて聴ければなぁ。まだまだだ。それほどちゃんと、ぼくは音楽を聴けてない。

というのも。
電車の中で「世界の民族音楽ディスクガイド」(星川京児・編、2002年/音楽之友社)を読んでいた。

編者が過去タッチしてた「ぱお600」の視点を維持してる。
「今、手に入る音源」を重視して、中身は薄まったと思ってたら。とんでもない。なんともはや・・・濃すぎる。

一枚のCD紹介に、約300文字。全部で1000枚くらい紹介してるのかな。
したがって、もうどのレビューも前置き抜き。専門用語がぴょんぴょん飛び交う。
これを眺めてて、つくづく自分の知識のなさを痛感した。

たとえばガムラン。約60枚くらい紹介されてる。その中で記述される言葉は・・・いくつか抜き出してみようか。

ススフナン王朝。グンデン・ボナン。スレンドロ。ペロッグ音階。ジョクジャカルタ様式。スラカルタ様式。グンデン。チェレンプンガン。バンドゥン。ウキン・スクリ。トゥンダン・スンダ。ゴング・グデ。・・・ああ、きりがない。

ガムラン好きな人なら、聴いたことある言葉もあるだろう。これが片っ端から頻出するガイドブック読んでたら、眩暈してきましたよ。
どれもこれも聴きたいなぁ。

知識は欲しい。でもいっぺんに与えられたら頭がぱんぱん。あー、どないせいちゅうんじゃ。

今夜のBGM:Nusurat Fateh ali khan"Mera Piyya ghar aaya"(1991?)

 ガムランにしようと思ったけど、悔しいからヌスラットにします。なにが悔しいんだか。

 ヌスラット・ファテ・アリ・カーンはカッワーリーの歌い手として有名な人。すでに故人だが、彼のライブを聴き逃したことが悔やまれてならない。
 巨体を駆使し圧倒的な歌を歌う姿を、ぜひ生で見たかった。

 ちなみにカッワーリーとは。手元の資料を丸写しにすると「インド最大のスーフィー教団チシュティー派で、修行のためのBGMとして発展」したもの。
 
 そしてカッワーリーとは「正統的イスラム世界では歌舞音曲はご法度だが、スーフィと呼ばれる人々は、唯一神アッラーの教えを(中略)音楽を使って、修行者を忘我の境地に引き入れようとする」音楽家だそう。
 ・・・わからん言葉が多すぎる。

スーフィ教団ってイスラム教で、どのくらい発言力ある勢力なんだ。チシュティー派のほかにもあるのか?その派ごとで、カッワーリーって存在するの?そもそもカッワーリーは何でこういう音楽スタイルなの?楽器はどういう基準で選ばれたの?曲はどこまで作曲で、どこまでが伝承で、どこからが即興なの?それから、それから・・・。
 ・・・わかんないよぅ。あうあうあう。

 こういう説明読んでると、何にも考えずに音楽聴いてるのが申し訳なくなってくるなぁ。なんか今日は、かくべつ気弱モードです。ま、いいや。

 で、この盤。たぶんアメリカのレーベル、shanachieからリリースされた。
 CDに何も録音クレジットがない。
 今でもこのレーベルは存在するようだが、ネットでは特にクレジットを見つけられなかった。

 スタジオ録音らしい。簡単なリズムのイントロのあと、複数の男声が絡み合い、次第に高まる。
 バックで流れるアコーディオン風の音は、たぶん生で聴いたらトランス状態へ入りやすいだろう。
 でも部屋でのんびり聴いてたら、持続音が逆に不安をあおる。

 ゆったりしたうねりが続く。メロディうんぬんよりも、声による繰り返しに頭の中をこすられてるようだ。

 宗教的なうんぬんを言うつもり無い。
 でも宗教的な高まりを意識しなくたって、聴いてて気持ちいいのは間違いない。
 今日はなんも考えないで、のんびり音楽聴くことにします。
 それともせっかくだから・・・ガムランを聴こうかな〜。
 あっ、ブルガリアン・ヴォイスもいいな。それともアフリカのコギリもいいなー。
2003年05月22日 23時27分00秒


どうやら。
風邪・・・いやいや、花粉症は治まったかな。ライブもいろいろあったが、念のためパスして体力回復に努める。

かといって部屋で寝っころがりっぱなしじゃ、あまりに週末がもったいない。ぶらりとレコード屋へ行った。
帰りに本屋を眺めると、バーゲン品コーナーが目にとまった。今までもたまにあったが、今回はだいぶ様子が違う。有名どころの作家や、出版社の本まで「バーゲン」として半額セールで売っていた。
サブカル系が多かったかな。食指が動かず、買うのは控えたが・・・意外だ。

再販制度の法律でも変わったんでしょうか。何でこんなに色んな種類の本がバーゲンで出てるんだろう。
なんだかすごく不思議な光景だった。

今夜のBGM:Miles Davis"Surrey with the fringe on top"(1956)

 夕べ寝る前、ちょっとつけたテレビのBGMで流れてた。テロップで「飾りのついた四輪馬車」と出て戸惑う。だって邦題知らないんだもん。
 風景のBGMにさらっと流れた気がする(夕べのことなのに、もう覚えてないんかい)。
 クールでおしゃれな雰囲気に、この曲がぴったりとはまった。

 ジャズをいたずらに「オシャレ」とする空気は好きじゃない。でも、小粋な魅力は間違いなくあるんだな、とあらためて実感した。

 この曲、持ってるのは間違いない。だがどのアルバムに入ってるかわからなくって、棚をひっくり返してしまった。

 で、結論。"Steamin`"に入ってます。
 名盤の誉れ高いこの盤、聴いたことあるひと多いかも。
 まだ聴いたことがない人へ、ちょっと解説をしてみようか。

 マイルスはプレスティッジとの、契約を消化しなきゃいけなかった。
 そこで彼はスタジオにこもる。5月と10月、それぞれ一日づつ。
 脇を固めたのは、とびきりのミュージシャンばかり。

 マイルスはあきれたことに、さまざまな曲をどれもこれもワンテイクで録音。その二日間は「マラソン・セッション」とのちに呼ばれる。
 "〜ing"とつく4枚のアルバムにまとめられた。
 この4枚でプレスティッジとの契約をクリアし、マイルスは次の地平へ向かったってわけ。

 ちなみにこのセッションに加わったメンバーは、ジョン・コルトレーン(ts)、レッド・ガーランド(p)、ポール・チェンバーズ(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)。
 もし聴いたことないなら、ぜひ。きっと損はしない。

 さて、この曲。
 作曲はロジャース&ハマースタイン。オリジナルを調べてないけど、ミュージカルの曲かな?

 コジャレたピアノのイントロにドラムが絡むイントロ。極上の呼吸で、訥々とマイルスのミュートされたペットが滑り込む。
 声を荒立てず、そっと草の上へ寝転ぶように。マイルスはペットを遊ばせる。
 音数はさほど多くない。切ないソロが素晴らしい。

 ガーランドのピアノ・ソロも好き。
 粒立ちのいいハイハットに後押しされ、じりじりとノリが前へ進んでゆく。
 くー。いいなぁ。
2003年05月18日 23時28分32秒


ぐーすか。
やっと休める。今日こそ風邪・・・いやいや、花粉症を治すぞっ。
昼まで寝て、朝飯食べる。形容矛盾だがぼくにとっては朝飯ね。
風邪薬飲んだら、そのまま寝て体力回復・・・気がついたら6時半。

今日は一歩も外に出てないです。いったいなにをやってるんだか。
せっかくの土曜なのに。あっというまでもったいないなぁ。

今夜のBGM:Diga Rhythm Band"Magnificent Sevens"(1977)

 リズムの奔流がすさまじく気持ちいい。

 このバンドはグレイトフル・デッドのミッキー・ハートが、瞬間的に作ったユニット。
 本体はインドのタブラ奏者、ザキール・フセインのバンド「タール・ヴァドヤ・リズム・バンド」(1973年結成)だ。

 収録アルバムは"Diga Rhythm band"(1977)。この一枚以外リリースはされてない模様。ゲストでジェリー・ガルシアも参加してる。
 バンドのメンバーは12人かな。全員がパーカッション。メロディ楽器はマリンバが一人、ヴァイブが一人。それだけか。
 あとはタブラやらコンガやらがずらっと並ぶ。

 タイトルにあるとおり、曲は7拍子が基調らしい(3+2+2とある)。ところが4拍子で大きくまとめれるとライナーに記載され、聴いてるぼくも4/4拍子でしかリズムがわかんない。
 タブラの細かく叩いてるビートが7拍子かな・・・。

 ほんのりメロディあるが、主役はあくまでリズム楽器。
 いくつものビートがからみあい、対話しながら突き進む。
 ガムランみたいにゆったりせず、ぐいぐいグルーヴを作ってうねるさまがむちゃくちゃかっこいい。

 同じパターンがえんえん続くようなアレンジじゃない。
 この曲は12分。ドラムセットでメリハリつけて、5分くらいたつと無伴奏のフィル回し。この部分、はにわのオレカマを連想した。
 そのあとガッと一気に、フル編成で雪崩れてく。
 
 でかい音で聴いたら心地よさ倍増。ザッパやDCPRG、ROVOあたりが好きな人は、絶対にはまるはず。
 
 本盤そのものは1977年に録音された。ぼくが持ってるのは、1988年にRYCOから再発されたリミックス盤。
 ライナーには録音時の技術的なことがこまごま書かれてる。
 「カスタムのアンペックス製テープを使った」って大層に書く一方で、マイクは「コンデンサマイクだ」とあっさりひとこと。型番も書いてないや。音質気にするなら、テープだけじゃなくマイクや配線もこだわるもんじゃないのかな。

 その点、リミックスのクレジットは細かいったら。「16chのスチューダー製デッキでアナログマルチを三菱製32chデジタルレコーダーへダビング。8108ニーヴ製コンソールでミックスして、2chマスターへ・・・」ってな調子。これでもけっこう表現を割愛してます。

 そのあともえんえん、どーしたこーしたが続く。こういう民族音楽系って、音質にこだわったクレジットが多いな。アコースティック楽器が主題だからか?
2003年05月17日 23時26分33秒


どきり。
ネットにつないでると「トロイの木馬をふせぎました」みたいなメッセージが表示された。ウイルスバスターが仕事してるらしい。
なんかここ数週間、こんなメッセージをよく見る。やだなー。なんか不安だ。

今夜のBGM:The Fork Implosion"Noneed to worry"(1999)

 本曲は3rd。"One part lullaby"に入ってる。このアルバム、最近よく聴いてます。
 セバドーのルー・バーロウによるサブユニット、フォーク・インプロージョン。今年になって4thが出たらしい。知らんかった。

 正直言って、最初はこの盤の魅力がわかんなかった。
 どっかダルな感じを受けちゃって。覇気が無いなぁと思って、いつしか棚の奥へしまってた。

 ところが最近、ふっと取り出した。処分しようか判断するためにね。
 で、流して聴いてると、あんがい耳へ「おっ。いいかも」って引っかかる箇所が多い。前は何で気付かなかったのか。そっちのほうが不思議なくらい。

 あらためて「いい曲だな〜」と思ったのがこれ。
 イントロは錆びた音色で淡々と進む。冒頭部分はどうってことないんだが。サビで切なく甘酸っぱいメロディが耳へ染み入る。

 サビの世界観でべったり曲を作ってたら、さほど曲は印象ぶかくなかったかも。
 むしろ冒頭でそっけなくすることで、よけいサビが引き立ってる。ルーがそこまで効果考えてたかは知らんが。

 どったんばったん、ラフな演奏も甘過ぎなくてよい。こういうタイプの曲、へたしたらしつこいほど甘くなるんだもん。
 この曲は、ちょうどいい味加減かな。
2003年05月17日 00時18分12秒


ふぅ。ふぅ。
昨日はいきなり、どばぁっと熱っぽかった。とにかく薬飲んで寝ました。すぐさま。
またしてもひょっとして風邪かなぁ。毎回毎回いやだなぁ。今週はばたばたして寝込んでるひまないのに。

だましだまし仕事をしてたら、夕方頃から鼻が出て困った。
なんか身体はだるいし、ぼんやり頭は重い。目がしょぼしょぼする。

・・・ん?

これ、もしかして花粉症じゃない?

とりあえず症状のつじつまは合う。
そうだ。これは花粉症だ。そういうことにしよう。はい、今からぼくは花粉症です。異議ありません?ありませんね?はい、なし。満場一致。これは花粉症です。
熱でぼおっとしても、咳が出てもこれは花粉症です。そーだそーだそういうことにしましょう。だから寝込んだりはしませんよ。いいですねっ。

・・・はぁ。だるっ。

今夜のBGM:Zumpano"Oh That Atokinson Girl"(1994)

 サブポップからリリースされた1stアルバム"Look what the rookie did"に収録。このアルバム、邦題は「ルーキーにおまかせ」。タイトルのセンスに、なんか脱力するのはぼくだけだろうか。

 ズンパノは4人組のロック・バンド。バンド名はイタリア系なリーダーの苗字から取っている。
 しばらく聴いてなかったが、基調は60年代ロックンロールに、ちょっとひねったサイケ味を足している。
 いろいろアレンジの小技を出してるのに、なんかツメが甘い。セルフ・プロデュースか。だれか立てればいいのに。

 ギターポップで押さずに、イントロにさりげなくフルートを挿入するセンスが大陸流だろうか。
 この曲、メロディはキャッチーでなかなかいい。サビのメロディをドラムがユニゾンさせ、威勢良さを強調してる。
 
 ボーカルの線が弱いのは若さゆえってとこ?サビで"Mad enough!"って歌い上げるフレーズが面白い響きだ。
 せっかくだからここんとこ、最後の部分。
 2:17あたりで力いっぱいカマしてくれたら、曲として盛り上がるのに。
 ちょっとくらい音外してもいいじゃん。そのほうが次のフルートのフレーズも生きると思うがなぁ。

 ・・・なんか思い切り重箱の隅つつきな聴き方ですね。うーむ。反省。
2003年05月13日 23時25分39秒


ふぅーい。
全ての予定をパスして、ずっと家で寝てました。風邪はどうやら治ったかな。明日から一週間、バタバタするので寝込むわけにはまいりません。

ネットで見つけた音楽ネタを3つほど。
(その1)
菊地成孔の告知を見てたら
「倉地久美夫、菊地成孔、外山明のユニット、サードアルバムを今週末に録音」とあった。今週末って、5/10のことです。

2ndってあったの?「うわさのバッファロー」(1996:OZ Disc)しか知らんぞ、と思って調べてみた。そしたら出てるんですね。
「太陽のお正月」(1995:きなこたけレコード)ってのが。「うわさの〜」が2ndになるんだ。

・・・たしかOZから10枚組だかのボックス予定も合ったな。
チェックしたら00/12の段階で「10枚組アンソロジー」の計画情報の告知あり。このうち1枚が、新録の予定という。
この10枚組ってライブ演奏の集大成じゃなかったかな。ネタ元を覚えてませんが・・・。
で、「新録」が上記のレコーディングかな。いよいよ発売が具体的なんだろうか。

(その2)
片山広明のライブ日記より。渋谷毅オケがレコーディングの予定あるみたい。
リリースされれば「ホームグランド・アケタLive」(1999:AKETA`S Disc)ぶりになる。

この時点は川端民夫がベースを弾いていた。川端亡きあと、上村勝正が担当して初の録音になるはず。
具体的時期は不明だが、しこたま楽しみ。彼らのライブもサボってるなぁ、ぼく。

(その3)
今年のフジロック、東京アンダーグラウンド(書き方悪いな・・・なんかいい表現ないでしょうか)のミュージシャンが、大挙して出演する模様。

渋さ知らズ、DCPRG、ROVO、シカラムータ。とりあえず噂で聞いたのはこのくらいか。
芳垣安洋が大活躍だな。あとこの系統だと・・・高円寺百景か是巨人あたり出ないかな。今沢カゲロウも似合う。

野外イベントって体力持たないので、今年もぼくはパスですが。顔ぶれ見てると好奇心がすごく刺激されます。くー。聴きたいぞ。
フジロックって、ウッドストックみたいに音源をリリースしないんでしょうか。

*今夜というか、一日中。ずっと「おU」を聴いていた。
 ところがどうもうまくこの音楽を表現できない。
 取ってつけたように他の音楽を紹介するのもなんなので、今日は「BGMコーナー」はお休みです。
2003年05月11日 23時36分17秒


やはり。
うおー。風邪引きました。朝起きたら、だんだん頭がどんよりもやけてくる。どうも熱っぽい。
夕方から出かけなきゃいけないし、意地でも直さねば。

薬飲んで寝て、を2回繰り返して・・・ちょっと楽になったかな。
とはいえ下記の調べ物してたら、いつまでたっても頭がスッキリしない。なにをやっているのやら。

今日は早めに寝まっす。

こないだ買ったR&Bのディスコグラフィーを活用しようと、ちょっと試みに調べてみた。ところがもう・・・きりがない。
詳しくはこれから書きますが、結論はひとつ。

「原典に当たれ」

取材の基本ですな。しかし「原典」とはこの場合「オリジナル・シングル」を指す。一体いくらするんだ。

しかもそんなもんに手を出したら、底なし沼なんてもんじゃない。ひえー。
調べるって恐ろしいなぁ、としみじみ実感したひとときでした。

今夜のBGM:The Accents"Wiggle,Wiggle"(1958)

 で、その調べた対象がアクセンツです。カリフォルニアのグループだ。
 "Wiggle,Wiggle"はドゥ・ワップとして1958年にリリース。
 チャートでPOPで51位、R&Bで16位まで上がり、かなりのヒット曲となった。

 参考資料はこの2点です。

Mitch Rosalsky"The Encyclopedia of Rhythm & Blues and Doo-Wop Vocl Groups"(2002:Scarecrow Press,Inc.,USA)(以下:ER&D)
Bob McGrath"The R&B Indies1",2(2000:Eyeball,Canada)(以下:RI)

 どっちみちThe Accentsは、そもそも謎の多いグループらしい。

 ぼくが持ってる音源はライノが2000年にリリースしたコンピ、"The Doo Wop Box vol.3"から。
 言い忘れましたが、彼らはER&Dによればジャッキー・ジャクソンをリードに据えた男性5人組。
 Arvid Garretものちにメンバーとなり、6人と考える場合もあるらしい。

 で、The Accentsはどこが謎なのか。
 「9種類のレーベル」からシングルを出した点、とライノのライナーにある。
 
 複数のレーベルからリリースすること事態は別に不思議じゃない。単に契約だけの問題だ。
 同時進行で複数のレーベルから、ということだろう(詳細確認できず)

 The Accentsの名前が記録されてるレーベルは、RIにこれだけある。
 Banger,Brunswick,Garret,Jive,Jubilee,Karare,M-Pac,One-Derful,Robbins,Sultan,Vee-Jay,Vico,
 ・・・あれ?12種類のレーベルがあがってるぞ。謎だ。

 ちなみに"Wiggle,Wiggle"はブランズウイック(Brunswick)からのリリース。
 ここは1970年まで続いた中堅レーベル。名称そのものは1978年まで続いた模様。買収されたのかな。
 今の権利を、どこが持ってるかよくわからない。(こういうの、どうやって調べるんでしょう。ご存知の方、ご教示頂けると幸いです)

 気を取り直して、ER&Dで調べてみよう。ディスコグラフィーを転載する。
レーベル、番号、曲名(A/B面の区別は不明)、発売年の順です。

Blue Mill 111 Baby blue/Don`t expect a miracle(1955)
Accent 1025 Don`t go/Cool-a-roo(1956)
Accent 1031 Yes,Yes/Forever yours(1956)
Accent 1036 Voice of the bayous/Where will you be?(1957)
Brunswick 55100 Dreamin` and schemin`/Wiggle,Wiggle(1958)
Brunswick 55123 Ching a ling/I give my heat to you(1958)
Brunswick 59254 Tell me /Better watch out boy(1959)
Coral 62151 Autum Leaves/Anything you want me to be(1959)
VeeJay 484 A hundred wailin` cats/Our wonderful love(1962)
Murcury 72154 Enchanted garden/Tell me now(1963)
Challenge 59254 Tell me/Better watch out boy(1964)

 ここでも現れるのは6種類のレーベル。
 ライノのライナーにある「9種類」とあわない。なんなんだ〜。

 なおマーキュリーからのシングルは、ブランズウイックの再録か、単なる再発か不明。
 どっちみちBrunswickの番号も疑わしい。
 ブランズウィックは1956〜1959年まで、「55xxx」番台だけを使ってた。
 59254、って番号がしっくりこない。
 チャレンジのシングル番号と一緒だから、誤植かな?。
 
 したがって"Tell me"はRIのリストになし。
 RIによればブランズウイックには2枚しかシングルを残してない。 
 
 いずれにせよ二つの資料を見比べても、ER&Dであがってるレーベルの全てがRIに記載されてるわけじゃなく、クロスチェックは不可能だ。

 RIは上下巻あわせて1400ページになろうという大部だが、どっちみち完全網羅してないみたい。
 たとえば。フィル・スペクターのレーベル、フィレスのサブレーベルだった「Phil Spector」「Annette」「Shirley」「Phi-Dan」等も載っていない。

 このボリュームですら完全網羅できない、米インディ・レーベルの奥深さを実感した。

 もし全ての疑問を氷解させるには、オリジナル・シングルを買い集めるしかない。
 ためしにいくらくらいで売ってるか、ネットで検索してみた。
 
 アメリカのとある業者の相場では、"Wiggle,Wiggle"のオリジナル盤は3〜6ドル。VG+(Very Good+)クラスで10ドル。
 最上位のミント(未使用)クラスだともうちょい張るんだろうか。

 他のシングルはとても探せませんでした。
 ぐおー。何でこんな、わかんないことばっかなんだ。

 なお、ブランズウィックはシカゴのレーベル。
 けれどもアクセンツはカリフォルニアの出身とある。
 そもそも西海岸からなぜ、北東部まで行って契約したんだろうって疑問も生まれた。

 まして上のディスコグラフィにあるとおり、"Wiggle,Wiggle"はB面曲。なんでこっちがヒットしたのやら。
 よっぽど当時のDJが気にいったのか。

 あう。わかんないよぅ。

 いままでむちゃむちゃタラタラ述べてて恐縮ですが。
 調べてて悔しかったのが、この"Wiggle,Wiggle"って、それほどぼくが夢中になるタイプの曲じゃないってこと。
 
 だのに気まぐれで、ちょっと調べるてもこれだもん。
 アメリカのポピュラー・ミュージックって一体どうなってるんだ。

 何も曲についてコメントしてなかったですね。
 "Wiggle,Wiggle"はアップテンポでクールな曲。「でゅーるでゅーるでゅるるっるっる」ってハーモニーをバックに、軽快に歌われる。

 ややっこしいことを考えずに、シンプルに聴くべき曲だろう。
 ウッドベースとドラムの絡みが簡素なのにかっこいい。あとのバックはピアノくらいか。

 いろいろ調べた後で"Wiggle,Wiggle"を、あらためて聴いてみた。
 淡々とした歌いっぷりは、謎めかして微笑んでいるようだ。くー。
2003年05月10日 23時40分55秒


ちなみに、03/5/9までの日記はこっちです

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