LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

2004/3/15   西荻窪 アケタの店

出演:緑化計画
 (翠川敬基:vc、片山広明:ts、早川岳晴:b、石塚俊明:per)

 ここんとこ緑化計画のライブへ行きそびれており、聴くのは昨年12月ぶり。
 フルメンバーでの緑化は・・・と過去のLive感想を遡ってみる。ありゃ、去年の6月ぶりだ。

 仕事を終わらせてアケタへ駆け込んだのが、開演ちょっと前。
 そのせいか頭が音楽モードへ切り替えられず、なかなか音楽へのめりこめなかった。くー。

 まずはチューニングから。チェロがサックスの音とあわせる。
 早川がディストーションの効いたエレキベースを響かせ、チューニングを邪魔するいたずらしてた。

 1曲目は"E-hen"。翠川敬基のカウントのあと、ブルージーなテーマが流れた。

<セットリスト>
1.E-hen〜Contra Rondo
2.Chris
 (休憩)
1.Hinde Hinde
2.Mother Vol
3.Izmir

 早川岳晴が5弦のエレベでリズムのキープ役。石塚俊明は奔放にドラムで手を遊ばせる。
 片山広明のテナー・ソロから、チェロのソロへと繋がった。
 ふたりのソロが終わってフリーに展開するかと思いきや。ほわんと混沌が産まれた。高音に向かい、次々グリサンドさせるチェロ。

 フリーなリズムでトシが展開するため、早川が自由に動くとたんに音像がふわりと浮かぶ。
 断片的なフレーズをかなり早川は多用し、グルーヴは控えめ。4人の音が入れ替わりたちかわり、絡み合うシーンが多かった。
 ときに早川はベースを抱えて音楽へ聴きいる。

 しばらくたつと、早川が手元の楽譜をペラペラめくった。
 指慣らしのように、"Contra Rondo"のリフを爪弾き始める。
 すかさずテーマをかぶせる翠川。片山も乗っかった。

 こういうメドレーって、緑化であまり聴き覚えない。最近はこういうアレンジが多いのかな。
 "Contra Rondo"では早川がかがみこんでエフェクターをいじり、ループさせるシーンも。
 ソロでは高音部を使って、ぱらぱらと音を紡いだ。
 
 二曲目は翠川が曲名を指名し、すぐに演奏された。
 チェロの指板を押さえず、オープンのまま弓で弦を弾く。フレーズはベースが受け持った。
 静かな曲だが、突然トシがスネアを一打ちする。

 ドラムはスティックだけでなく、マレットやブラシを場面ごとに使い分けた。
 ブラシで強打する音がきれいだな。
 ぶら下げたチャイナ・シンバルや、ボロボロのシンバルをスタックさせたクラッシュ・シンバルもアクセントで多用する。

 翠川は音に絡みつつ、ぐいぐい自由に展開した。したがって片山の音がかなり目立つ。
 前半の2曲目だったかな。静かに漂う音楽を鼓舞するように、テナーは熱く早いソロでせきたてた。
 ラストはベース。エフェクターでフレーズを、わずかに木霊させた。

 この日のチェロは、ほぼアルコのみ。特殊奏法もほとんどなし。後半セットの2曲くらいで、ちょっと爪弾いたくらい。
 全員がなにも細工なしで、正面から音楽に向き合った。

 前半は40分くらい。後半は最近のライブでよく聴かれる、ヒンデミットの曲で幕を開けた。チェロソナタからのカバーだと思う。
 それぞれの楽器がテーマを硬質に奏でる。
 トシはシェーカーで、冒頭にリズムをキープした。

 続く"Mother Vol"はクラシカルなメロディが、雄大に展開する。
 早川はベースの調子が悪いのか、演奏中に弾きやめて点検してた。

 後半部分は若干ワイルドに。
 平手でベースのピックアップ部分をバンバン叩く早川。トシがすかさずあわせる。
 テナーも切り込み、いっきに早まるビート。
 翠川のアンプは比較的音が大きく、全員のアンサンブルでもほとんど埋もれず嬉しい。

 ステージ最後は「何をやる?」と翠川がメンバーに尋ねた。
 片山がすかさず"Izmir"を提案。
 冗談で「ドラムソロから」と言う翠川だが、実際は無伴奏チェロのソロをイントロに持ってきた。

 タバコをくわえ、火をつけようとする片山。
 が、チェロのフレーズを聴いてタバコを机の上へ置き、おもむろにテーマを太く吹いた。

 トシの派手なドラムソロがあったのも、確かのこの曲。
 力強くひねりを効かせ、激しくドラムを打ち鳴らした。
 ベースのソロをやってるときだっけ。さっき机の上に置いたタバコへ火をつけ、片山は吸いながら音を聴いていた。

 最後は静かに着地する。
 エンディングでどわっと盛り上がることはない。どの曲でも静かに音が消え、余韻を楽しめる。
 一拍置いて、客席から拍手が飛んだ。
 この余韻がいいんだ。ライブハウスの中に、音が吸い込まれていく感じ。

 今夜はぼくの気分が切り替わらなかったのか、いまいちのめり込めなくて悔しいなあ。次のライブでリベンジだな。

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