LIVE レビュー
見に行って、楽しかったLIVEの感想です。
03/9/27 西荻窪 アケタの店
出演:AKETA
(明田川荘之:p,オカリーナ、山崎弘一:b、楠本卓司:ds)
今回のセッションは昔馴染みの顔ぶれらしい。過去にトリオ組んでたのかな?
この夜は中央線工事の影響か、車がしこたま込んでたそう。楠本が20時になってもアケタへ到着できない。
やむなくベースとピアノのデュオでつなぐ、異例処置がとられた。
<セットリスト>
1.I closed my eyes
2.Jazz
life〜white kick blues
(休憩)
3.Now the
time
4.世界の恵まれぬ子供たち
5.ポエム・イン・ラブリー〜white kick
blues
(休憩)
6.テーマ・フォー・KC
7.Jazz life
まずは明田川のピアノソロから。ウッドベースにもたれて、山崎はピアノを聴く。
おもむろにウオーキング・ベースを弾き始めた。
じっくり支える着実な低音だった。
楠本は(1)の途中で店内へ到着。
「次の曲終わったら休憩するよ。そしたらドラムのフリー・ソロからスタートね」
曲の合間に明田川にからかわれてた。
続く"Jazz
life"は「ベースとピアノだけでできるから」を理由に、その場で選曲される。
古くからのレパートリーだそう。
ベースのPAはエコーなし。白玉もほとんど使わず、淡々と鈍く弦をはじいた。
終わりかけたところで、明田川が次の曲のテーマを弾く。
"white kick
blues"はメンバーの雑談から曲名を推測してます。間違ってるかも。別名「シラケッタ・ブルース」とか。
ピアノはフリーに鍵盤を左から右へ弾きあがり、ついでにベーシストの尻をなでるお遊びがあるらしい。
いきなり明田川に撫ぜられ、山崎はびくっとウッドベースごと振り向いた。
アドリブはぐいぐい明田川のテンションが高まり、早速クラスターが飛ぶ。
ひとしきりフリーに盛り上がって、第一セット終了。30分くらいかな。
ドラムのセッティングはすぐさま終わる。
恒例のライブ・レコーディングのマイクも準備され、一息ついたとこで第二セットが始まった。
オカリーナのソロで"Now the
time"。
楠本はブラシで静かに支える。
明田川は時折オカリーナを持ち替え、ホーン奏者のように立ったままそっと吹いた。
ソロが終わったとこですばやく腰掛け、ピアノへ移る。
ドラムもスティックに持ち替えた。
いつのまにかフリーへ、3人の音がはじけた。かなりフリーキーな"Now
the time"だった。
第2セットは快演ぞろい。最近の曲"世界の恵まれぬ子供たち"はバラードでしみじみと。
明田川のうなり声が、ここではじめて登場した。
山崎のベース・ソロがとびっきり。
じっくり美しいメロディが紡がれた。
続く"ポエム・イン・ラブリー"は初めて聴く。名古屋かどこかのジャズ・クラブだそう。
そこで演奏後に飲みすぎて嘔吐中にメロディが浮かび、「吐き終わった後に曲が完成した」と明田川が苦笑する。
ミドル・テンポの小粋なジャズ。ドラムがシンプルなリフを聴かせたのはここだったか。
2拍4拍でハイハットを踏み、スネアは2拍が8分、3,4拍は16分音符を小さく連打する。
スネアの響き線をはずし、ときにもう一方のスティックでピッチを変えつつ鳴らすリフがキュートだった。
バッキングのときもリムショットを多用し、タムやシンバルを軽くはたく。
響き線をつけたスネアや、リベットの入ったシンバルの渋い共鳴が、リズムにふくらみを出した。
彼のさりげないドラミングが、この曲を的確に盛り立てる。
テーマへ戻ったところで、さっとスネアの響き線を再びはずす。
明田川が再び"white kick
blues"のテーマを提示し、そのままソロへ繋げた。
ベーシストをいじるしぐさはここでも登場。
淡々と譜面を見ながらウッドを弾くので、ベースごと振り向く仕草は絵柄ががらりと変わって新鮮だった。
ほんのわずかな休憩を挟む。
深夜のライブで演奏予定の清水くるみも店内に現れ、演奏を聴いていた。
"テーマ・フォー・KC"も聴くの初めてだ。
イントロはバラード。ソロになると、わずかにテンポが上がった。
最後の曲はトリオ編成での"Jazz
life"。
中盤は猛烈なピアノのクラスターが炸裂。テンポはフリーになり、3人ともてんでに引き倒した。
明田川のひじ、腕、かかとが、次々ピアノに落とされる。
一息ついて汗をぬぐう間、ソロは楠本へ。明田川と競演が長いせいかあせらず騒がず、しかし着実にフリーで打ち鳴らす。
たんなる連打じゃない、微妙なノリが心地よい。
山崎は探るように低音でバックアップ。明田川もタンバリンやアフリカン・ベルで彩をつけた。
テーマへ戻り、演奏途中に明田川がメンバー紹介。大団円を迎えた。
終演時間は23時を軽く回る。ハプニングのため、普段より長め。
たぶんリハなしだと思う。メンバーの一人は演奏途中に登場したし。
しかし曲を重ねるうちにぐいぐい演奏がまとまり、集中する。
今夜もじっくり楽しめた。