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LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

02/11/23   西荻窪 アケタの店

出演:明田川荘之
 (明田川荘之:p、オカリーナ)


 さて、今夜2本目のライブ。
 0時ちょっと前に店内へ入ると、夜のステージを終わらせたミュージシャン達がだべってるとこだった。
 明田川も喋りに加わりつつ、ピアノを調律している。

 三々五々ミュージシャンは引き上げ、観客はしめて4人。
 「暑い~」とぼやきつつ、えらく薄いTシャツ一枚で明田川が登場する。
 ライブは0時半前くらいに始まった。

<セットリスト>
1.I close my eyes
2.いかるが桜
3.りぶるブルーズ
4.  ?
5.チンギスハーンの二頭の駿馬
 ~アケタズ・グロテスク
 ~  ?

 いまいちセットリスト自信ないです。間違ってたらご指摘お願いします。

 まずは深夜ライブでよく一曲目になる、スタンダードの"I close my eyes"から。
 タッチはいくぶん力強く、音が瑞々しい。
 しょっぱなから充実した演奏で、身を乗り出しながら聴いていた。

 "いかるが桜"は冒頭に、小ぶりなオカリーナのソロを差し込む。
 ピアノでは幾度となくテーマを繰り返した。
 明田川がピアノで多用する、テーマとアドリブの境目にこだわらない自然体の演奏だ。

 テーマのフレーズの端々がほころび、ゆっくりと変容してゆく。
 切々と日本情緒あるメロディが幾度もなぞられ、アドリブの森へ溶けた。
 しみじみ優しい旋律にたっぷり耳はほぐされ、のんびりと聴いていた。

 ここでちょっとMC。"りぶるブルース"は12月に発売予定の新譜「テイク・パスタン」に収録予定だそう。
 いままで"りぶるブルース"ってCD化されてたかな?もっともライブ(特に深夜の)ではおなじみな曲。
 市川にあるライブ居酒屋「りぶる」に捧げられた曲だ、と以前MCで話していた。
 この曲、テーマの和音の並びがきれいで大好き。

 イントロはオカリーナのソロ。大小のオカリーナを持ち替え、低く高く吹き鳴らす。
 スニーカーでリズムを取る音が、店内へ静かに、しかし高らかに響いた。

 ピアノに移ると、今度はテーマの演奏は控えめ。
 曲名どおり、ブルージーで硬質なタッチのアドリブに突入した。

 ときたまテーマのフレーズが顔をのぞかせる。
 だがそれは一瞬。再びゴツゴツと鈍く鍵盤が鳴った。

 「りぶるブルーズ」が終わったところで、「調律おかしいな・・・直してる時間ないしな」と、独り言を言う明田川。
 そのままかまわず、ホンキートンクっぽく弾き出した。
 
 この曲は名前が頭に浮かばなかった。
 中でスタンダードっぽいメロディも弾いていたから、もしかしたら数曲のメドレーだったのかもしれない。
 
 せわしなくランニングするリズムはするっと4ビートへ変形し、右手のムードも変わる。
 気の向くまま、さまざまな曲へ変化させているようだった。

 続いて"チンギスハーンの二頭の駿馬"は新鮮なアレンジで演奏された。
 テーマの合間にグランドピアノの中へ手を突っ込み、弦を指でグリサンドさせるのはいつもどおり。
 だがこの曲では、弦の爪弾きをリズムのアクセントに使ってきた。
 
 ゆったりテンポでテーマを弾き、おもむろに指はピアノの中へ。
 ぽろろろん、とピアノ線をひくのは、さらにゆっくりなテンポ。

 テーマの展開に一呼吸置くようなイメージで、何度も何度も弦が静かに鳴らされた。
 アドリブへ曲が移る。メロディをなぞるように唸り声が響く。
 スケールの大きいピアノがしばし奏でられたあと。
 
 唐突にフリーで弾き出した。
 がんがんテンションが上がり、肘打ちやケリが飛び出す。
 鍵盤の上から下まで身体を動かし、クラスターノイズはぐんぐん激しくなった。
 両肘を叩きつけ、息を切らす。
 
 「これで今夜の演奏は終わりかなぁ」と思っていたら。
 そのままメドレーで"アケタズ・グロテスク"に引き継がれた。
 性急なメロディが素早く噴出す。
 
 ライブはまだまだ終わらない。
 一転してメロディが静かに変化する。これも曲名わからなかった。
 ゆったりと弦を爪弾くが、こんどはテンポを変えない。
 ハープのように何度も何度も指を、グランドピアノの中に差し込んだ。

 たっぷりとスローの曲を弾いて、演奏終わったのは2時ちょっと前。
 しめて1時間半弱か。
 たゆたうピアノの音に寛いで楽しめた、素敵なライブだった。

 時間が深夜とはいえ、観客4人に聴かせて終わりは惜しい。
 今回も録音してたから、いつかはCD化して欲しいな。

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