LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

02/10/5   吉祥寺 MANDA−LA2

  〜秋の夜の夢ライブ〜
出演:takami、タテヤマユキ

 ひさびさにライブを聴く。
 ほのぼのしたポップスが聴きたいな、とあれこれライブハウスのスケジュールをチェックし、聴きに行ったのがこれ。どちらもはじめて聴くミュージシャンだ。
 音楽性はヤマカンだったけど、だいたい予想どおりかな。

 観客の入りは好調。一通り満席になり、立ち見も出ていた。
 ライブの開始は19時半過ぎ。

 タテヤマユキはほぼ時間どおり登場し、ステージ中央に座りアコーディオンを構える。
 ところがマイクの調子がおかしいのか、ちょこんと座ったまま開演を待っていたのがおかしかった。

19:40〜20:30 タテヤマユキ(vo,ag,accordion)from マルカート

 マルカートは、タテヤマユキがやっているソロユニット名。
 なのになぜ今夜のライブがマルカート名義じゃないのか、よくわからない。
 
 歌い方は矢野顕子の影響をそこかしこに感じたが、アコーディオン一本でシンプルに歌うアレンジは楽しめた。

 視線をふっとアコーディオンに落としたり、観客に笑いかけながら身体を揺らしたり。
 あるときは長く、ときにはこじんまりとアコーディオンのカーテンをひろげるとき。
 ぴたり、ぴたりと体の動きが止まる瞬間、絵になるポーズが多かった。ステージ馴れしてるなぁ。

 東京のライブは4ヶ月ぶりとか。
 秋を想定したファッションで衣装を選んだのに、東京は29度だかの異常気象。
 「もしかしたら店内で一番厚着してるのは私かも」と笑っていた。

<セットリスト>

1.秋のワルツ(新曲)
2.いつもあなたと二人
3.商店街
4.ホントね
5.手を取って
6.まちあわせ
7.雪野原
8.新しい私
9.ロマンチック航空
10.桃の花

 MCで紹介した曲名をメモしてました。間違ってたらご指摘お願いします。

 アコーディオンの生演奏をじっくり聴いたの初めてかも。
 はずかしながら、低音を左手のボタンで出せるって知らなかった。
 今まで左手側にごそっとならんだボタンって何に使うんだろ、と思ってたけどこうやって使うのか。謎が解けた。

 右手の鍵盤で単音のメロディこそ弾くものの、左手側のボタンを押す演奏を多用。
 ぶかぶか和音っぽい響きは、目をとじて聴いてるとオルガンの伴奏みたい。

 (1)は今夜のために書き下ろした新曲。3/4拍子で秋の曲だから、このタイトルになったとか。
 ソプラノの声が伸びやかに店内へ広がる。
 声量は控えめだがマイクへきれいに乗り、ふくよかに響いた。

 曲調は多彩だった。アコーディオンひとつのコンパクトなアレンジが似合う曲から、バンド形式で聴いたら似合うだろうなって曲まで、
 どこか切なさが漂う日本風メロディが多い。

 (4)と(5)ではアコギの弾き語り。
 正直あまりうまくない。コードを3フィンガーで訥々と爪弾くスタイルだが、ミスタッチが目立った。
 でも、素朴なフレーズが曲に似合ってた。
 アコーディオンでのびのび弾いてる時と比べ、ギターだと演奏にも気が飛んでしまうみたい。

 ぼくが気にいった曲はボサノヴァっぽいアレンジの(5)。
 「ほんとね♪」って部分のメロディがキュートで、帰り際にCDを買っちゃった。
 ほかにメロディが生き生きしていた(8)も良かった。
 
 何曲かで聴かせた、ボーカルによるスキャット風のソロもきれい。
 最後の曲なんて、普通にスケールを歌ってるだけなのにすごく魅力的だった。

 センチメンタルすぎる雰囲気の曲では馴染めなかったが。
 ほとんどはタテヤマユキの音楽を楽しみながら聴いていた。
 ほぼ一時間があっという間に過ぎる。

20:40〜21:35 takami
 (
takami:vo、鬼武みゆき:p、加藤千晶:vln)

 ミュージシャンの名前をクリックすると、各人のHPに飛べます。
 もう今は、ほとんどのミュージシャンがHP持ってるんですね。しみじみ実感。

 さて。セットチェンジは短い。すぐにtakamiのライブが始まった。
 チラシによるとデビューが98年、フルタイムのミュージシャンは00年からだそう。
 ステージは積極的にこなしてるようだが、どこかしぐさがぎこちない。
 緊張してるのか、これが彼女のスタイルなのかどっちだろう。

 バッキングは生ピアノと生バイオリンのみのシンプルなもの。どちらもエフェクタは特にかけていないようだ。
 takamiは特に楽器は演奏せず、ステージ中央に立ってスタンドマイクで歌う。

 (1)イントロが流れる時、キッと厳しい視線で中空を見つめ集中してた。
 ひたすらほのぼのムードで押し通したタテヤマユキと対照的だったな。

<セットリスト>
1.?
2.一輪の花
3.トースト
4.ひとりぼっちばくだん
5.季節が過ぎて
6.月光
7.風の吹かない日
8.夢の形

 これまたMCでの聴き取り。(1)は聴き取りそびれました。
 のんびり聴こうとビール飲んでたのに。MCで曲目紹介されると、このHPで紹介したくてついまじめにメモをとってしまう。なんだかなぁ。

 一曲目。ピアノとバイオリンが力づよく音符を連打するイントロの、クラシカルなフレーズに惹きつけられた。
 takamiの歌い方は、きっちり腹から声を出す。
 でも声量はさほど響かせてない。一曲くらい、とことん声を張る歌を聴いてみたかった。

 メロディはかなり耳馴染みのいい日本風ポップス。
 ぼくは耳がひねくれてるので、残念ながらのめりこんで聴けなかった。
 もうちょっと突飛な引っ掛かりが合ったほうが、ぼくは好み。
 でもたいがいの人なら、ほのぼのと楽しめるんじゃないかな。

 リズム隊がいないアレンジだから、音像は間延びしがち。
 変な話だが、だからこそ最後まで聴けた。
 普通のバンド形式だと、トゥー・マッチすぎたかも。

 (2)、(3)はピアノのみで伴奏。
 演奏はピアノの鬼武みゆきがアレンジしている。
 基本的にほとんどピアノは目立たず、伴奏に徹していた。
 アクセントを付けるのは加藤千晶のバイオリン。
 ときおり聴かせるオブリガートがすごくよかったな。

 演奏で気にいったのが、ピチカートも織り込んだ旋律の流れがきれいな(4)。
 二音のみのリフをひたすら弾く(6)のバイオリンもいいぞ。
 サビでふわっとメロディが拡がる組み立てがよかった。

 ドライブする感覚が気持ちよかったメロディの(7)もなかなか。
 
 (7)が終わったところで、加藤が一足先にすっとステージを去る。
 最後は(8)をピアノの弾き語りで歌った。

21:40〜21:50 takami with タテヤマユキ

 ちょっと間を置いてtakamiとタテヤマユキが登場。
 もともとアンコール用にこの共演を準備してたみたい。
 takamiのステージが終わっても拍手が全然ないから、二人して袖であせってたとか。

 うーん、無理ないよ。二人とも「共演がある」ってMCで言ってるんだもん。 てっきり普通のプログラムとして、準備されてるかと。
 
 気を取り直して、4人で演奏が始まる。これが今夜のクライマックス。
 すっごく楽しめた。

<セットリスト>
1.こもれびまなざし
2.スープ

 まずはタテヤマの初期の曲(1)から。
 タテヤマが1番、takamiが2番、というふうに歌い継いでゆく。
 一人がメロディを歌い終える瞬間、切れ目なく次の一人が歌い始める繋ぎがきれいだ。

 takamiが歌ってるときに、さらりとタテヤマがカウンター・メロディをぶつける。
 ハモリは最後の最後。サビで少しだけ聴かせてくれた。
 二人の声の溶け方が絶妙で、心地よいったらない。

 続いてはtakamiの曲。
 こちらも歌い継ぐ形だが、さりげなくタテヤマが入れるカウンターがはまってた。
 中盤でアコーディオンのソロも披露。
 右手のメロディのみに専念し、きれいにソロを組み立てていた。

 最後はまた二人で歌う。素晴らしかった。
 二人ともそれぞれのキャリアで活動するミュージシャンだが、ぜひこのコンビでまたステージをやって欲しい。
 ハーモニーがとってもきれいなんだもん。

 2曲演奏したとこで、ステージを降りるミュージシャンたち。
 ここぞとばかりに盛大なアンコールの拍手が飛ぶ。

 ところが曲を準備してないとの事で、タテヤマとtakamiふたりの挨拶でライブが終わった。
 うーむ、演出をミスりましたな。気持ちはわかるが。
 事前にアナウンスせず、アンコールでいきなり共演して終わらせたら。確かに見事なステージ構成だったろうな。

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