LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

02/8/31  西荻窪 アケタの店

出演:明田川荘之ソロ
  (明田川荘之:p、オカリーナ)


 明田川が定期的に自分の店で行っている深夜ソロ。夜中の0時に開場だから、客足は日によってばらばらだ。
 今日はぼくを入れて実質二人。ちょっと寂しい動員の中ライブが始まった。

 観客が少ないせいか、明田川のノリもいまひとつ。
 冒頭の曲は5分ほど弾いて、唐突にカットアウトでエンディング。
 拍手を待たずに、すぐに次の曲へ移る。
 
 今夜はアタックの強い、ラフな演奏っぽく感じた。
 2曲目が終わったところでぼくが拍手をすると、「拍手するほどの演奏じゃないって」と苦笑してみせる。
 といいつつ、ぼくの体調もいまいち。なんだかぼおっとしちゃって。
 明田川のピアノに身を任せ、のんびり聴いていた。

 前半3曲目で、オカリナを二つ取り出す。曲は「リンゴ追分」。
 明田川の唸り声もだいぶ大きくなった。
 いつしかピアノに演奏は移り、ゆったりとうねる。
 けっきょく今夜、オカリナを吹いたのはこの曲だけだった。

 数曲弾いて30分くらいたったかな。
「ちょっと休憩」
 と、10分ほど間をおき深夜1時を廻った頃、後半が始まった。

 まずはスタンダード。たぶん「Fly me to the moon」。
 二人きりの観客が変わらないままなので、さすがに今夜はMCなし。
 後半はメドレーで弾き続けた。
 あれ?ふっと唐突に演奏を止めて、ピアノの調律をはじめたのは後半だったかな。いまいち記憶があやふや。
 目がしょぼしょぼして、何度もこすりながら聴いていた。

 中盤で聴き覚えのある旋律が顔を出す。明田川のオリジナルなはず。
 なんて曲だったかな。グラインドするメロディが素敵なやつだ。
 
 このあたりから、ぼくは朦朧としながら彼のピアノにはまっていた。
 ピアノから音が溢れる。
 ひたすら音符が店内に響き、空気が濃密に鳴る。
 ときおり、明田川は指先でピアノの弦をハープ風にはじいた。

 しばらく弾き続けたあと。いきなりテンポが速くなった。
 「アケタズ・グロテスク」かな。
 ぐいぐいテンションをあげ、旋律を弾ききる。
 肘や腕を鍵盤に振り下ろし、クラスターノイズを取り入れた。

 ガシャンガシャンとノイズの比率が次第に高くなり、ふっと音が途切れる。
 ほんの少し、そっと鍵盤を押さえてコーダ。
 「終わります」と一声かけて、今夜のライブが終了した。

 時間は1時50分ころ。
 ほぼ貸しきり状態で、実質1時間半以上も弾いてくるとは。嬉しいやらもったいないやら。
 次はぼくの体調もばっちりにして、じっくり聴きこまなくちゃ。
 時間的に厳しい頃合だけど。せっかくのすてきなピアノ、もうちょい賑やかな客席で聴きたいんだけどな。

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