LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

02/7/14   吉祥寺 Silver Elephant

出演:Strings Arguments
 (島秀行:b、鬼怒無月:g、壷井彰久:e-vln、小田島伸樹:g、松田"gori"広士:ds)


 シルエレへ行くのは、97年くらいにボンフルを見に行って以来かな。
 店内は記憶より広々していた。ステージ後方高く貼られた鏡が懐かしい。ライティングが暗めで、ドラムの手元はほとんど見えなかったけど。

 固定ファンが多いのか、ほぼ満席の入り。
 今夜のセッションは、大阪を中心に活動する6-stringsのメンバー(島、小田島、松田)が、ゲストに鬼怒や壷井を招いて弾きまくってもらう、という主旨らしい。
 鬼怒以外は初めて生演奏を聴く。

 てっきりインプロを前面に出したセッションかと思いきや。
 きちんと構築されたプログレを、えんえん弾き倒すライブだった。

 開演時間をちょっと押してメンバーが登場。
 挨拶代わりか、まずはインプロを短めに演奏した。
 5弦のエレキベースを、胸に高々と掲げて弾く島のスタイルが印象的。

 そこからは全員が譜面と首っ引き。変拍子の高速フレーズをユニゾンで叩き込む、テクニカルなプログレを繰り広げた。
 前半セットは全てオリジナル。6-stringsのレパートリーらしい。
 
 なお鬼怒は前日のライブハウスに譜面を忘れ、壷井にfaxで朝方に送ってもらったとか。
 鬼怒と壷井は、先日のflying teapotでの共演ライブでなんかあったのかな。
 鬼怒がMCで「壷井君はプログレをぜんぜん知らなくて、『幻惑のブロードウエイ』を・・・」と言いかけたとたん、壷井が強引にさえぎっていたのが面白かった。

 ドラムがちょっと重たいけど、ベースもドラムも手数が多い。
 そこへ三人のソリストが、入れ替わり立ち代りソロを繰り広げるさまが痛快だ。
 前半セットで鬼怒はほぼエレキギターのみ。アコギはほんの少しだけだった。

 5弦エレクトリック・バイオリンを弾く壷井は、つい勝井祐二と比べてしまう。
 壷井のほうがクラシックよりに聴こえた。
 エフェクターで音を変化させてはいるものの、スペイシーな演奏が得意な勝井に対し、壷井のバイオリンはふくよかな音色を前面に出す。
 メロディを奏でると、しっくり耳に音が滑り込んだ。

 圧巻は1stステージ最後の曲。規則正しいビートをバックに、3人がソロバトルを始めた。
 最初は8小節づつかな。テーマをほとんど気にせず、豪快にエフェクターで歪ませた音をさんざん弾き殴る。
 
 次第に各自のテンションが上がっていき、4小節ごとでフレーズを交換しだす。
 めまぐるしくソロが交錯し、アイコンタクトが飛び交った。しまいに2〜3音だすだけですぐさまフレーズを叩き込み合い、激しい音が響き渡る。
 今夜のステージの中で、一番の聴きもの。

 とにかく、鬼怒のハードなギターをたっぷり聴けるのが嬉しい。
 オーソドックスで、猛烈な早弾き。バンド編成上、ソロの時間が限られてたのが残念だった。
 
 前半は4曲ほどで約1時間。30分弱の休憩を挟んだ後半は、まずカバーから始まった。

 最初はジェフ・ベック。曲名不明です。メロディ聴き覚えあるのにな。
 (なんでも、ベックが練習してる時の手癖を作品にした曲だとか)
 続いてはマハヴィシュヌ・オーケストラの「火の鳥」(ジョン・マクラフリンの曲、と紹介していた)

 つづく3曲目から、再びオリジナルへ。
 演奏した曲は鬼怒のアコギを前面に出し、静かできれいだった。

 さて、最後の曲で再びソロ大会が始まる。
 ソロの時間をたっぷり取ってくれたのは嬉しい。でも、音楽的な必然性がほとんど感じられなかったな。機械的なソロ廻しの感触がぬぐえない。

 リズム隊はえんえんリフを続けず、ソロに絡んで複雑なアンサンブルをきめて欲しかった。せっかくの生演奏なんだし。
 画一的になってしまい、バンドの個性がにじみ出なくてつらい。
 構築美のプログレが好きな人には、文句ない演奏だったと思うが。
 
 とはいえ、鬼怒や壷井のハードなソロを聞けたのは収穫。
 今度、二人の共演は8月にやるKIKIの「プログレ・ナイト」らしい。さて。どんなライブになるのかな。

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