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LIVE レビュー
見に行って、楽しかったLIVEの感想です。
02/4/26 荻窪Rooster
出演:宮之上貴昭セッション
(宮之上貴昭:g、宇多慶記:org、太田耕平:ds)
東京で活躍するジャズ・ミュージシャンは大勢いるが、音楽性にそった人脈ってやつが確かにある。
ぼくが普段聴いてるのはいわゆる「中央線ジャズ」。
おおきく仕切ってしまえばフリーやアヴァンギャルドに目配り効いたアグレッシブなジャズだ。
たとえば生活向上委員会~アケタ~渋さ知らズあたりに拡がるミュージシャンの人脈。
またはティポグラフィカから派生したジャズ・ミュージシャン人脈(菊地成孔、水谷浩章、外山明などから南博、大友良英、芳垣安洋とか)かな。
ここらへんのミュージシャンはしょっちゅうライブをやってるから、追っかけてるだけでぼくのスケジュールが埋まる。
だからなっかなか他の人のジャズ、違ったタイプのジャズを聴く機会がない。
なので今夜は楽しみにしていた。
今日のライブはこにさんが掲示板で話題に出してくださったミュージシャン。
普段は横浜が活動の中心なのかな?不勉強なため、全員が初めて聴く人だ。
そういやルースターも初めて入った。ライブよりもバーに比重を置いた店作りみたい。
演奏中にもひっきりなしにつまみや酒の注文を受けてたのが新鮮だった。
仕事が押しちゃって、入店したらライブがすでに始まっていた。
店に入ったのが20時10分過ぎくらいかな。
「開演時間:20時」ってあったから「どーせ『ライブハウス時間』で30分くらい押すだろ」って甘く見たのがまずかった・・・。
ステージは客席と同じ高さのスペース。左側に宇多慶記、右で太田耕平がドラムを叩く。
そして中央に今夜のリーダー、宮之上貴昭が椅子に腰掛けてギターを弾いていた。
ちょうど演奏の真っ最中。MCによれば「ネイチャー・ボーイ」ってタイトルの映画の挿入歌らしい。
エンディングにちらりとブレイキーの「モーニン」を一節、ギターで紛れ込ませていた。
これがステージ2番目か3番目の曲だったようだ。
入店して最初は落ち着かないまま聴いており、つい散漫になってたかも。
演奏は「ラブ」(ジャズのスタンダードだそう)へ続く。
宇多のkeyを前面に出した短めのプレイだった。
さすがにkeyはハモンドB-3を持ってこなかった。二台シンセを積んで、各種オルガンの音色を出す。
MCによれば、ちゃんとB-3の音色をサンプリングしてるとか。
もっと派手にぎゃんぎゃん弾きまくると予想してたが、ちょっと違う。
keyはときおり早いフレーズが飛び出すものの、基本的には落ち着いたバッキング中心だった。宮之上を立ててたのかな。
ソロをとるときも、ほとんど左手は低音部をキープする。
ベース不在なトリオに欠けがちな低音を、しっかり補強。
ときおり、いやに低音をぶぉおんっと響かせてた。
ステージを見ていた印象は「宮之上はステージなれしてるなぁ」ってこと。
フレンドリーにMCをはさむさまが、妙にこなれていた。
普段はもっと満席になるようなライブが多いらしい。今夜は十数人くらい。
ライブ中にぞくぞく来店し、30人分くらいある椅子席が最終的にはほぼ埋まったけど。
「ラブ」の次に演奏されたのが「ザ・ジョーカー」。このあたりから、ギターのエンジンがかかってくる。
ピックを使わず親指中心に弦を撫でる。他の指も補足的に使い、滑らかに早弾きをしていた。
ときおりハンマリングだけでフレーズを組み立てたりも。
エフェクターで変調はなく、明るい音一本で攻める。
ピッキングじゃないから耳に引っかかる強い音は出ず、どんな早いフレーズを使ってもリラックスした雰囲気になる。
高音部を弾きまくるときに、細かいフレーズが聴き取りづらかったのが残念。
「ジョーカー」のエンディングでは「007」のテーマを織り込んでいた。
どの曲でも各人のソロを強調するより、アンサンブルやアレンジの構築をきっちり意識した演奏だった。
普段フリーよりのジャズ中心に聴いてる僕には新鮮だ。すっかりリラックスしてビール飲みながら聴いていた。
第1セットは、他にあと二曲を演奏。曲名は聴き取れませんでした。すみません。
多分今夜はオリジナルじゃなくて、カバーばかり演奏ようす。
ギター演奏はぐいぐいノってきて、奇麗なフレーズが次々溢れ出す。
そのぶん宇多が突っ込んで欲しかった。時折ソロは取るものの、抑え気味に聴こえていまいち印象が薄い。
つらかったのがドラミング。タムとスネアひとつのシンプルなセットで、オーソドックスにシンバルを連打しリズムを刻む。
ところがこのリズムがぼくの体感ビートより微妙にモタる。連打するだけに、よけい気になった。
第一セット最後の曲でドラムソロもあったが、フィルの合間で一拍タメを入れる構成が、趣味とちょと違う。ビートを止めずにがしがし叩いてくれたほうが好き。
そんなこんな細かいツッコミを入れつつ聴いてたけど。
演奏自体はまったく破綻がない。すごく聞きやすいジャズだった。
しばしの休憩をはさみ、第二セットはジャンゴ・ラインハルトの曲だと言う「クモ」からスタート。
素早く動き回る指がうまいなー。落ち着いて彼のギターを楽しめた。
第二セットは構成を決めていなかったとか。休憩中にリクエストを受けたらしい「抱きしめたい」をボサノヴァ風に演奏。
ビートルズのパンチあるオリジナル曲を、さくっと穏やかなアレンジに変化させる。
即興で弾いたわりに、ユニゾンでブレイクするところがちゃんと決まってた。
続く曲はギターでしばし爪弾いた後、そのまま演奏へ雪崩れ込む。曲名はわかりませんでした。
それぞれの曲をえんえん演奏することはない。5~10分くらいで次々ステージを進めて行く。
「ベサメ・ムーチョ」が後半セット4曲目。このあたりから、だいぶミュージシャンは盛り上がってきたようだ。
テンポがいくぶん上がり、宮之上がギターを弾きまくる。
もう曲紹介もせず、どんどん曲をこなしていた。
後半ではドラムのビート感も気にならなくなり、ひさびさに飲んだビールに酔ったか、すっかりゆったり気分。
曲名はわからないものばかりだったが、ジャズ以外も盛り込んでいた。
テディ・ランダッツォ「Going out my head」も弾いてた。
ムーディな演奏で最初曲名を思い出せず、えらく自分自身がもどかしかった(笑)
キラキラっとテーマを弾くアレンジがかっこよかったな。
立て続けに数曲演奏したあと、おもむろに宮之上がマイクを取ってメンバー紹介。ステージがクライマックスとなった。
そのままアンコール代わりか、演奏はまだまだ続く。
パーシー・スレッジの「When a man loves a woman(男が女を愛する時)」だ。
やたら盛り上がった数人の観客が、歓声上げまくってたっけ。
そのままメドレー形式に、今度はかなりアップテンポな曲へ。
フレーズは早いけど、きちんとまとまっていた。
終演は22時45分くらい。
普段、テンション高く切りあうジャズばかり聴いてるから、こういう破綻がないきっちりしたジャズは新鮮だった。
客層も落ち着いて飲み食いしながら音楽を楽しむ。いろいろ面白かったな。