LIVE レビュー
見に行って、楽しかったLIVEの感想です。
01/6/16 新宿 ウルガ
出演:UNDERGROUND MIDNIGHT
PARTY~地底の宴5~
(MUMU、カリストEXP、川下+木村+不破+佐々木)
オールナイト・ライブもひさびさだなあ。
ウルガに行くのは初めて。わかりやすい場所にあったおかげで、なんなくたどり着けた。
店内はずどーんと奥行き深い。うなぎの寝床みたい。
舞台も懐深く、せっかく前のほうに座ったのにステージがすっごく遠い。
席は40人くらい分の、パイプ椅子が並べられた。
最前列とステージの間には、5メートルくらいのスペースが空けられている。
「別に今日はダンスで暴れたりするような演目じゃないのに」
首をひねった配置の謎は、ライブが進行するにつれ解き明かされていく・・・。
さて、開場は多分0時ぴったり。0時10分過ぎくらいに店内に入ってみると、すでに観客が集まっていた。
最終的には40人近く入ったんじゃなかろうか。
店内はいまいち暗く、演奏が始まるまで本も読めない。手持ち無沙汰なのが辛かった。
0:45~1:40 MUMU
(植村昌弘:ds、中根信博:Tb、坂元一考:Key)
今夜、一番楽しみだったのがこのバンド。
今まで何度もライブを見逃していたもので・・・。
出演時間をちょっと押して、メンバーがおもむろに登場。
植村がシンバルに譜面を貼り付け、演奏が始まった。
ステージ奥に植村が陣取り、向かって左に坂元。
トロンボーンを抱えた中根とあわせて、三角形をつくる。
中根と坂元はステージに顔を向けず、互いに向かい合う立ち位置だった。
三人とも、ずっと譜面を見ながらの演奏。
すばらしく複雑で、なんと魅力的な音楽・・・。
こじんまりしたプログレってところかな。
音量も控えめ。個々の音符がきっちり聴こえて嬉しい。
しょっぱなから植村は変拍子を無造作に叩き込む。
坂元が和音で膨らまし、中根が低音で可愛らしいメロディを吹く。
メロディ楽器が低音なせいか、音の重心がどっしり感じた。
4/4が連続することなく、片っ端からリズムが変化するので、聴いててしょっちゅう拍の頭を見失う。
でも、PON(ライブは見た事ないけど)よりもずっと聴きやすい、ポップな感触のサウンドだった。
三人とも、とても複雑な構成の曲を、かろやかに駆け抜ける。
たぶん、アドリブはまったくなし。
オーラスまでMCもいれず、ストイックに彼らは演奏を続けた。
<セットリスト>
1.役人#7
2.役人#6
3.99/5/23 #3
4.役人#5
5.98/3/10 #2
6.役人#4
セットリストは、MUMUのHPを参照させて頂きました。
曲のタイトルは完全に植村のセンス。
二曲目は新曲らしい。なぜに「役人#8」じゃないのか謎だけど・・・。
たしか3曲目くらいで、ステージ上で相談を始めた。袖に坂元が譜面をとりに行く。
どうやらその場で、いきなり曲順を変更してたみたい。
ほとんどの曲が、植村のカウントで始まる。
ドラムはリバーブを軽く効かせてずしんと鳴り、とてもここちよい。
タイトな植村のビートに、着実にコードを弾くキーボード。
そこへトロンボーンが無骨にメロディを奏でていく。
どの曲もメリハリが効いておもしろかった。
「役人#4」の前で、やっと中根がMC。
ほんのりほのぼのさせて、複雑ポップスなステージが終わった。
また彼らのライブを聴きたい。CD出ないかなぁ。
2:05~2:30 カリストEXP
(吉田隆一:bs,fl.syn、後関好宏:DJ,syn)
どたばたとセットチェンジが始まる。
ここで客席とステージの間を、5メートルくらい空けてた理由がわかった。
機材を片っ端からその隙間に置いてしまい、ステージ場では吉田や後関が準備を始める。
なるほど、機材変更を素早くする為に、スペースを空けてたんだ。
不破のウッドベースがステージ奥に準備される。
「なんか遠いなあ」と残念だった。
そうこうしているうち、ステージ上ではケーブルまみれの機材がセッティング完了。
場つなぎに不破がステージ前で、メンバー紹介の前説をしてたっけ。
後関はぺたりと地べたに機材を起き、座っての演奏。
吉田もバリトンサックスは後方に置き、シンセをあれこれいじくっていた。
ステージのライトはブルー一色に染められる。
サウンドチェックのように静かな電子音が流れ出し、そのままライブが始まった。
コンセプトは、スペイシーなクラブサウンドだろうか。
アンビエント・テクノ風の音像が、次第に大きくなる。
後関が手元を懐中電灯で照らしながら、ひっきりなしに機材をあちこちいじる。
かと思うとせわしなく二人の音量バランスをPAにハンドサインで要求し、いまいちおちつかない。
今流れている音が、彼らの望む音像なのかどうか、聴いてる限りはさっぱりわからないから。
静かで混沌としたサウンドがしばし続く。
ディレイでぶよぶよに歪んだ、UFOを呼ぶ子供たちの声が挿入された。
「ベントラ~・ベントラ~」って淡々と祈る声が、恐ろしくうさんくさい(笑)
アップテンポなビートが断続的に加わるが、いつしか消えてビートがなだれこんだりしない。
15分くらいスペイシーな音が続いたろうか。
後関の合図で吉田がバリトンをもち、フリーキーなソロを始めた。
吉田のサックスは、ビートとかみ合いそうでかみ合わない。
フレーズ展開は早いのに、依然として重心が定まらず浮遊感が漂う。
ひとしきり吹いて、音像は再びアンビエントに戻る。
次への展開を期待したところで、いきなり吉田のMC。
どうやらこれで終わりらしい。
へたしたらセッティングの時間と、ステージの時間が同じくらいじゃない(苦笑)
えらくあっけないステージだった。
2:40~4:35 川下+木村+不破+佐々木
(川下直広:ts,ss、木村勝利:ds、不破大輔:b、佐々木彩:key,vo)
すばやくカリストEXPがバラシを始める。
佐々木のキーボードや木村のドラムセットは、ステージ前のスペースで組み立てられ始めた。
「これからステージにえいやっと載せるのかな」
見ていると、ステージ奥のベースすら目の前にセッティングされる。
つまりステージに上がらず、観客の目の前で演奏しようというわけ。
これには驚いた・・・。
演奏者と、3メートルと離れていないんだもん。
あっというまにセッティングが終わり、不破が佐々木や川下と1曲目を相談。
「ベサメ・ムーチョ」でライブが始まった。
川下は立ち上がり、テナーを前後にゆすりながらメロディを高らかに吹く。
佐々木がそっとオルガン風の音色でバックアップ。
木村は無表情に、シャープなリズムを刻んでいた。
不破のベースは、いまいちよく聴こえなくて残念。
二曲目から、佐々木が唄い始めた。牧歌的な世界がとつとつと広がる。
川下が、テナーで絶妙のオブリを入れていた。
もっとも深夜になって、ぼくの集中力が欠けてきたせいかな。
焦点が定まらない、まったりした演奏だった。
ライブの曲順は決めてなかったらしい。
その場でぱぱっと不破が佐々木と相談して、曲を選んでた。
4曲目で「レイディズ・ブルーズ」を演奏。
ここからぐいぐい演奏のノリが上がっていった。
川下はパイプ椅子に座り、おとなしくサックスを吹き鳴らす。
流れるメロディがとても美しい。
あまりフリーキーにサックスを軋らせず、素直な音色を多用。
続いて不破も、落ち着いてグルーヴたっぷりのソロを披露した。
セットリストはいまいち覚えてない。
全部で6~7曲演奏したかな。
休憩無しのノンストップで、暖かい雰囲気のジャズを堪能できた。
木村のドラミングは、ソロで全面に出る機会こそ少なかったけど。
ノリにあわせて軽やかにテンポが変化する、着実でうまいプレイだった。
ちょっととりとめのないステージだったかも。
とはいえ尻上がりに、サウンドはよくなっていったと思う。
4時半ころに不破がメンバー紹介をして、演奏が終了。
「始発まで演奏してくれ~」という観客の希望にこたえ、アンコールで「青空」を演奏した。
この曲でも佐々木の歌声が中心。
川下は優しくソプラノサックスを吹く。
ふんわり音に乗って聴いているうちに、そっと演奏が終わった。
最後にメンバー紹介をもいちど不破が行い、今日のライブが終了。
ほんわか落ち着いた気分で音楽を楽しめた夜だった。
表に出ると、もう外は明るい。
まだ始発にはちょっと早いか・・・。
のんびり駅まで、ぼくは歩いて行った。