LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

01/5/5   吉祥寺 MANDALA−2

出演:渋さ知らズ劇場
 (不破大輔:b、片山広明:ts、泉邦弘:as,ss、北陽一郎:tp、
  佐々木彩子:p、key、吉田隆一:bs、勝井祐二:e−vln、
  さるへん:g、植村昌弘:ds、関根真理:per、オノダテアヤ:fl)

 
今回は渋さチビズ+αと、小規模な渋さ知らズ。
 この程度の編成のときは「劇場」名義になるのかな。

 今夜って混むのかわからなくて、開場三十分前にマンダラへ行ってみた。
 すると、すでに行列が始まっている・・・。
 列はぐいぐい長くなり、開場前に数十人は並んでいたと思う。
 チビズも動員が伸びてるんだなぁ。

 めずらしく時間きっかりの開場。
 店内は椅子とテーブルがずらりと並び、座って聴く渋さの設定。
 観客はがんがん増えてきて、最終的には立ち見もびっしり出る盛況。80人くらい入ってたろうか。
 休憩時間にトイレへ行けず、往生してしまった。

 8時ジャストにメンバーがぞろぞろ登場。
 不破は今回指揮をせず、ウッドベースを弾く。
 北がファンファーレよろしくトランペットを鳴らし、ライブが始まった。

 前半は聞き覚えのない曲が数曲。いかにもジャズっぽいムーディな曲だった。妙に親しみやすいムードが漂うメロディ。
 どっちみち渋さ名義で演奏すると、どんな曲でも単純にしっとり終わらない。
 植村と関根のタイトなリズムにのって、ぐいぐい盛り上がっていく。
 
 片山はぶっといブロウとロマンティックなフレーズと、2種類の表現を使い分けて吹きまくった。
 北はガレスピー風に頬を膨らませてペットをびりびり震わせる。
 泉もコミカルなしぐさを織り込みながら、朗々とサックスを吹く。

 一部はきれいにまとまった印象。どしゃめしゃに破綻することなく、ハッピーに進んでいった。
 前半戦で二曲目に演奏された「アングラーズのテーマ」。
 これがめちゃくちゃ感動的だった。
 何度も聴いたことのあるメロディなのに、なぜかずしんと胸に響いてくる。

 さるへんは第一セットで、存在感のあるソロを何度も弾いた。
 ギターソロを弾きながら顔をゆがめる。
 指先からこぼれるフレーズにあわせて表情を変え、ギターで絶叫していた。
 勝井と吉田は、今日のソロパートは控えめな印象だった。

 いつのまにか、不破や泉が汗だくになっていた。
 思い切り前列で聞いていたせいか、でかいボリュームの音が耳に飛び込んでくる。
 渋さ知らズオケと比較して、厚みこそないが迫力はほぼ遜色なかった。

 ちょうど1時間たったところで休憩。
 「渋さ=休憩なしノンストップ」のイメージがあったので、いまさらながらに「今日は渋さチビズ+αなんだ」と気づくしまつ。
 すでに耳鳴りは始まり、頭からベールをかぶった聴こえ具合だった。

 休憩は、たった15分。メンバーの何人かがぞろぞろステージに戻ってくる。 きっちり30分休憩取るかと思ってたから、慌ててしまった。

 まずは肩ならしか、不破+植村+佐々木のリズムにのって、オノダテが歌う。
 途中で泉がソロをとったかな。
 ほのぼのしたメロディの曲だった。
 オノダテはマイクの高さを調整せず、高い位置のマイクへ伸び上がって声を張り上げていた。

 続いて佐々木の歌。雰囲気はぐっと落ち着いてくる。
 おもむろにステージへ戻ってきた片山が、そのままいきなりソロ。
 このさりげなさがいい。
 吉田もオノダテのフルートを借りて、ソロをとる。
 他のメンバーも思い思いに演奏に加わり、最後は全員そろってゆったりとしたノリのプレイを聴かせてくれた。

 第二部は混沌とした雰囲気が前面に出る。
 渋さの曲(タイトル忘れちゃいましたが)で、えんえん30分以上盛り上がった。
 片時も目を離せない。もちろん、耳も。
 
 だれかがソロを取っているとき、他のメンバーは基本的にバックアップに回る。
 ところが隙さえあれば(てか、興が乗ると)、他のメンバーがバックリフからソロに展開し、複数で同時発生でソロを始める。
 大きなビートの中で、複数のビートが混在し始める。

 てんでに各メンバーが好きなことをやってるのに、グルーヴはとっちらかったりしない。
 植村+不破+関根の三人が、手綱を握り締めているせいだろう。
 うねるように展開する演奏は、とても刺激的。
 音楽性のベクトルは違うけど、サン・ラーを思い浮かべながら聴いていた。

 確かこのあたりで、不破がソロを取った。
 唸りながらハイスピードで弦をひっぱたく。
 左右の指がめまぐるしく指板の上を走り回り、すさまじいテンションのソロだった。

 ひとしきり盛り上がったところで、今度はパーカッション・コンビのソロ。
 植村と関根が、あるときはコール&レスポンス、あるときはユニゾンで叩き続ける。
 顔色一つ変えず、二人とも超高速ビートを打ち続けるのはつくづくすごい。

 ちなみにこの日、植村は口径の小さいタムをふたつセット。
 ソロの途中でタムの皮をスティックでミュートしながら叩き、タブラみたいな音色を作ったりもしていた。

 さて、このパーカッションコンビが盛り上がったところで「Pちゃん」が始まる。
 これが渋さ知らズオケなら、観客はがしゃめしゃに踊りだしてるところだろう。
 そういえばこの日は客層も、いまひとつ違ってたかもしれない。
 何人か踊ってる人もいたが、ほとんどの客は身じろぎ一つせずに静かに鑑賞してたっけ。
 
 「Pちゃん」では、片山らによる恒例の「60年代ソウルレビュー風リフ」ももちろん挿入。
 とことん盛り上がったところで「犬姫」。
 ここからは渋さの曲オンパレードだった。

 片山、泉、北がひっきりなしにソロを取る。
 ダンサーの「乳房知らズ」がいない穴は、オノダテがきれいに埋めた。
 テーマ部分では踊りまくり、ときにはぴょんぴょん飛び跳ねながら盛り上げる。
 
 そのまま数曲を演奏して、エンディング。
 観客の拍手はやまず、すぐさまアンコールが始まった。
 最後の曲は「大沼ブルーズ」。
 次第にテンポが上がって、ファンキーな演奏に変貌していく。

 全てのライブが終わったのは10時半くらい。
 二時間ちょいだけど、腹いっぱいなライブだった。 

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