LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

01/5/3   調布 GINZ

出演:COSMIC JAM〜鬼怒+早川+田中
 (鬼怒無月:g、早川岳晴:b、田中栄二:ds)


 えっらく寒い夜だった。
 始めて行く店だし、ちょっと早め(開演30分前)に店へついたら観客が誰もいない・・・。
 おもわず日付を勘違いしたかと、店の看板をまじまじ見てしまった。

 GINZはステージのほうが低いユニークな構造。
 店内奥の演奏スペースは客席より一メートルほど深く掘られ、見下ろして音楽を聴くスタイルだ。
 ステージの奥は鏡が貼ってあり、そうとう奥行き深く見える。
 この鏡、ドラムの手元がよく見えておもしろい。

 ステージはかなりひろびろ。
 店自体もフルキャパで70〜80人くらいじゃないかな。
 なのに、観客は正味10人強くらい・・・。とほほ。
 天気が悪いせいかなあ。
 
 演奏は開演時間を20分くらい押して始まった。
 鬼怒は開口一番、
「今日はCOIL・・・らしきものをやります」
 それを聴いたとたん、わくわくがこみ上げてきた。

 すぐさま鬼怒は馬鹿でかい音でギターを弾きだす。
 早川と田中が絡んでいき、一曲目が始まった。

<セットリスト>
1.BIG GAMES
2.ELEKI DRAGON
3.LAND
4.SPOONFUL

 (休憩)

5.SLANT
6.Hoochie Coochie
7.LEFT ALONE
8.ROCKET 99

 COILは鬼怒+早川+芳垣安洋の3人で結成された、ハード・プログレバンド。ただ、先日芳垣が脱退し、今後の活動が不安だった。
 今回参加した田中は、28歳らしい。今日始めて鬼怒と会ったとか。
 正式なCOILのドラマーになるのかなぁ。

 田中のプレイは初めて聴いた。かなりパワフルなドラミングの人だ。
 背中をこごめながら、ハイハットでなくシンバルを叩きまくる。すごく音が大きい。
 でかい音で突っ走るパターンには、けっこうはまっていた。スローやジャズになると、ちょっと苦しいとこもあったけど。

 ともあれ、1曲目はテンション高くぶちかまされた。
 GINZは店内の構造か、豪音だと音がまわってしまい団子になる。
 そのため、細かいフレーズが聞き取れなくて残念。
 ハードなギターを弾きまくる鬼怒って、見るチャンスがなかなか無いのにな。

 鬼怒はソロの途中でピックを弾き飛ばす。
 表情も変えずに激しいアップストロークを、素手で引き続けたのはすごかった。

 1曲目が終わると、すかさず鬼怒がつぶやく。
 「音、でかいですね」
 そのままMCを続けるかと思いきや。
 さっとベースに合図を送り、早川のカウントですぐ次の曲に移って行った。

 2曲目は重たいリフの曲。
 早川のソロも挿入される。ここでベースの弦が切れ、弦を引っこ抜きながらソロを続けていた。

 早川のプレイにつられたか、鬼怒のギターはぐんぐん激しくなる。
 鬼怒は、エフェクターを足元にずらりと並べる。
 さまざまなペダルを細かく足で切り替え、多彩な音色を引き出していた。

 途中で鬼怒が自分のペダルを蹴り飛ばし、シールドが抜けてしまう一幕もあった。
 ステージの構造上か、聴いていて吸い込まれそうな気分になってくる。
 ぼくはぐいぐい彼らのサウンドにのめりこんでいた。 
 
 早川が弦交換の合間に、ちょっとしたMC。妙に鬼怒のテンションが低い。
 次は気分を変えて、スローな曲。
 ここでもベースの長いソロがあり。
 ずしんとメロディアスなフレーズがいっぱい。
 たっぷり早川をフィーチャーして、曲が終わった。

 次はしょっぱなからアヴァンギャルドなフレーズが、鬼怒のギターから途切れなく溢れ出してくる。
 鬼怒が歌い始めて、ブルーズのカバーだとわかった。
 歌う合間に挿入するギターのオブリは、そのままトリッキーな旋律を連発。
 いかにもコイル流のブルーズ・カバーだった。
 早川がおもむろに裏声で、合いの手を入れてたっけ。

 しばしの休憩をはさみ、どっしりとしたリフの曲で第二部はスタート。
 矢継ぎ早に鬼怒がエフェクターを踏みかえる。
 ほとんど小節単位で音色を切り替えていた。
 
 後半2曲目は、またもやブルーズのカバー。
 サビで叫ぶ鬼怒の喉がかっこよかった。
 こんどはかなりオーソドックスなブルーズ・スタイルでギターを弾く。
 ソロになると、ヘヴィーな感触だった。

 次は意外なことに、ジャズのカバー。
 鬼怒は早川に「これも歌うの?歌詞あるよ」とつっこまれてた(笑)

 ギターはイントロこそ混沌としていたが、テーマでは透き通った音色に変化。 
 ストレートにギターが響き渡り、ぐいぐい突き刺すようにメロディが流れる。

 ソロへ展開しても、クリアなスタイルは変わらない。
 ハードロック・スタイルの「レフト・アローン」だった。
 すばらしくかっこいい。
 早川が一音一音、低音を打ち込む。演奏の骨格がぐいぐいしまってくる。
 この曲が、今夜のベストトラックだったと思う。

 最後は「ロケット99」。この曲で、大ハプニング発生。
 冒頭は三人とも、すさまじくテンション高い演奏だった。
 早川もエフェクターを踏み替え、音を歪ませて暴れまわる。
 
 ところが途中でいきなりベースの音が出なくなった。
 鬼怒はすぐさま気がついて、さらに猛烈な演奏でカバーする。
 早川は配線をあちこちチェックしてたが、最後まで音は戻らず。
 とうとう壁へ、手持ち無沙汰に寄りかかっていたのが切なかった。

 そのまま鬼怒は火が出るようなプレイ。
 途中で弦を一本切る。弦も切れよとアームをこすりつけては引っ掻き回し、ハイスピードで駆け抜けて演奏が終わった。

 機材の不具合で尻切れトンボ風に終わったのが心残りだけど。
 スリリングな演奏が随所で聴けたライブだった。

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