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Guided by Voices

Suitcase failed experiments and Trashed aircraft(2000:Luna)

Producer:Robert Pollard,Matt Davis,& Kevin Poindexter
Recording engineered and Produced:
John Croslin,Dave Doughman,Gary King,Steve Wilber,John Shough

<ミュージシャン名略:凡例>
 RP:Robert Pollad, DG:Doug Gillard, DT:Don Thrasher,
 GD:Greg Demos, JP:Jim Pollad, KF:Kevin Fennel,
 MM:Mitch Michell, TS:Tobin Sprout,

<曲目紹介>→曲名:ユニット名

DISC 1  

1. THE TERRIBLE TWO: STYLES WE PAID FOR
(RP- g,vo, GD- b, DT- ds):1993年

 トリオ編成による、ぶっとい感触のロックンロール。
 ロバートのギターソロが、ひずんでぶわわっとはじけたまま歌がかぶさり、エンディングへなだれ込むところがいいな。
 音質はいかにも宅録のデモテープ。ドラムなんか上下幅がなくなり、ドンカマみたいな音になっちゃってる。
 暑苦しくなりがちなアレンジの曲なのに、チープな音質のおかげでかわいらしく変わった。

2. BLOODBEAST: STANDARD GENERATOR
(RP- g,vo):1993年

 一曲目と同年の録音。
「スタンダード・ジェネレーター」はこのころロバートが、弾き語り専用にやってたユニット名かな。
 だけど、甘く見ちゃいけない。もしかしたらこの一曲の録音のために、きまぐれでつけた名前かも。
 さらに意表をついて、この名義で山ほど録音・・・してる可能性もすらあるからあなどれない。

 ざくざくのギターでシンプルなリフを弾きながら、けだるげにメロディーをつぶやいている。
 曲の展開はほとんどないけど、サビでいきなり喉を張って歌う。
 ここらへんは聴いてて気持ちいい。

3. THE KISSING LIFE: HUGE ON PLUTO
(RP- vo,g, DG- G, GD- b,Jim Macpherson- ds) :1998年

 比較的新しい録音。キーボード風の音が入ってるけど、クレジットはなし。
 まさかリック・オケイセックかな。時期やメンバーから言っても「DO THE COLLAPSE」のアウトテイクと考えておかしくない。

 もっとも。録音音質は比較的ましだけど、ラフだなあ。
 デモ音源かな。
 ミドルテンポで楽器が次第にかぶさって、音が厚くなっていく。
 少々メロディが単調かな。

 イントロにギター一本で「らら~ら、ら~」ってフレーズを弾く。
 このフレーズ、エンディングではボーカル→シンセ→ギターとリレーされていく。
 このトラックをデッキでループさせて聴いていた。
 するとひたすら、ぐるぐるとメロディが頭の中を駆け回り、曲への印象が深まっていく。

4. BOTTOMS UP! (YOU FANTASTIC BASTARD): WHITEY MUSEUM
(RP- vo, TS- g, Dan Toohey- b):1993年

 いったい93年にはいくつバンドを作ってるんだぁ!
 この年はGbVとしてもアルバム一枚、EPを二枚リリース(僕が持ってるだけで)
 トリオ編成ながら、一曲目のSTYLES WE PAID FORとは、全員メンバーが違う。

 3人の共作とクレジットされている。
 トビンの家でセッションしながらできた曲なのかも。
 せわしなくギターがランダムなフレーズを垂れ流し、そこにロバートが饒舌なボーカルをのせる。
 ベースはクキクキとしゃくりあげるように、リズムを刻む。

 数箇所バスドラが聴こえるような気がするけど、これはアンプの歪みかな?
 さらにギターソロを何本かダビングして、はい一曲できあがり。

5. TEAR IT OUT :(THE AMAZING) BEN ZING
(RP- g,vo):1988年

 いきなり録音がぐっと古め。
 曲順を考慮する際、あくまで曲の傾向だけで選んでるのかな。
 年代順、とかロジカルな考え方をしないのが、いかにもGbVっぽい。
 す、すると曲をかたっぱしから覚えてるってことか?!すげ・・・。

 BEN ZINGは本「スーツケース」に数曲収録されているが、僕がまっさきに気に入ったユニットだ。
 甘いメロディを、エレキギターの弾き語りでサイケチックに歌い上げる。
 これこそ、ライブを見てみたい。小さな店でビール飲みながら聴いたら、しこたまかっこいいだろうなぁ。

 コードを無造作に弾きながら、最初はしっとりと始まる。
 ところが曲展開にそってリフをチョコチョコ変化させ、しまいにはロカビリーっぽいギター・ソロになだれこむ。
 4分半にもわたる、ロバートにしては珍しく長い曲。

6. CINNAMON FLAVORED SKULLS:MEAT KINGDOM GROUP
(RP- lead & backing vo, TS- backing vo, KF- drum):1993年

 おいおい、これも93年だよ・・・。恐ろしくなってきた。
 4曲目のWHITEY MUSEUMとは、ドラムのみ違う。
 
 ドラムのカウントであぶなっかしくはじまる。
 バックリフは、ぽやぽやふらつくサイケな歌声。
 そこにロバートが、泡がはじけるようにメロディを置いていく。
 35秒の小品。

7. BUNCO MEN: ELF GOD
(RP- vo,g, TS- b, MM- g, KF- ds):1995年

 地味だけど、きっちり録音・アレンジされている。
 ミドルレンジの王道サイケポップ。ボーカルがオフ気味で惜しいな。
 メロディもきれいないい曲です。
 リズムをさらに威勢良くきめたら、とびきり名曲になったろうな。

 なんでこういう曲をボツらせるのか。贅沢な話だ。

8. BAD AND RARE: JUDAS & THE PILEDRIVERS
(RP- g,vo):1992年

 ここから三曲、91~92年のロバートによるソロユニットが続く。
 なのに、すべてユニットは別名義。
 音楽性の違い=別名義だ、ってシビアに考えてるか。
 「今日は『ジューダス&パイルドライバーズ』って雰囲気だな。ういいっ」って感じか。
 どっちだろう。 

 さて、バックはアコギを何本か重ねる。メロディがアラブ風の雰囲気。
 さらに歌声も多重録音。もやもやっとしたメロディをたどっているうちに、あっさり終わってしまう曲。

9. DOROTHY`S A PLANET: ERIC PRETTY
(RP- g,vo):1991年

 デモテープ風に、冒頭にロバートによる曲紹介が入る。
 こちらはぐっとコケティッシュ。
 やはり何本かアコギを重ね、プチプチはじけるギターにあわせ鼻歌気味に歌われる。
 後半になるに従い、メロディはどんどん魅力的になる。 

 「Concert for Todd」からの曲と、ブックレットにはのっている。
 そんなコンサートがあったのかな。

10. PLUTO THE SKATE: GLOBAL WITCH AWAKENING
(RP- g,vo):1992年

 コラージュ風の曲。ふたつの音像が、交互に現れる。
 ひとつは複数のエレキギターによる混沌としたリフ。
 その合間に、カッティングのみのバックにのって、シンプルなメロディをすがすがしく歌い上げる。
 だんだん歌声はキーを上げていき、緊張感を増す。

11 LET’S GO VIKE: MAGIC TOE
(RP- lead & backing g,vo, JM- g, MM- b, KF- ds):1989年

 未完のアルバム「Learning to hunt」用に収録された曲。
 跳ねるリズムが気持ちいいポップス。聴いていて身体が弾んでくる。
 シンプルなリフに支えられ、メロディを歌い上げるエンディング部分が最高。

12 SABOTAGE: HAZZARD HOTRODS
(RP- vo, TS- g, MM- b, Larry Keller- ds):1990年

 ライブ録音された音源。ひしゃげた音像で、ブルージーに歌う。
 録音のせいか、喉をコントロールしているのか。
 くうっと絞った声を使ってむせび泣くように歌うところがいいなあ。
 エンディングでは、トビンのギターソロが比較的じっくり聴ける。
 フェイドアウトで消えてしまうのが惜しい。

13 PINK DRINK: TAX REVLON
(RP- g,vo):1995年
 
 未発表に終わったアルバム「Power of suck」用に準備された曲のデモテイク。
 シンプルにエレキギターを弾きながら歌うだけでなく、しっかりオーバーダブがされている。
 デモ版と言いつつ、ちゃんと作りこむところがすごい。

 にしても、このアルバムってGbVのことなんだろうか。それとも「TAX REVLON」ってバンド名義でリリースつもりだったのかな。
 後者の場合、どんな音世界になっていたのか。他のメンバーはだれだったのか。
 なんだかとても気になります。

 すくなくともこの音源を聴いている限りでは、とっぴな音像を作ろうとしてないみたいだけど。
 メロディがとてもかろやかな佳曲です。

14 JAMES RIOT: CHAMPION HAIRPULLER
(RP- vo, DG: Lead g, GD- b ,Jim Macpherson- ds):1998年

 ひさびさに新めの曲。「Do The Collapse」のアウトテイクかな。
 サイケにくねるダグのギターにのって、ゆったり進行していく。録音は本アルバムの他の曲と同じようなこもった音。
 わざわざマスタリングのために、音質を落としてたりして・・・まさかねぇ。

 とはいえ、曲そのものは丁寧にアレンジされている。
 ギターを何本も重ね、ブレイクをかませて構成をきっちり作りこむ。

15 IT’S EASY: BURNS CARPENTER
(RP- g,vo):1984年

 かなり古い録音だ。84年といえば、アルバムデビューの3年前。
 教師生活をするかたわら、コツコツ溜めたデモ録音かな。
 フックはしっとりしてるけど、覇気がない。
 なので少々陰のある感触になった。
 アコギ一本のシンプルな録音。わずか45秒の小品。
 
 しかし「バーンズ・カーペンター」って・・・既に当時から、こんなペンネームをいろいろ考えてたのだろうか。

16 DANK STAR GROUND CONTRO
L: A A BOTTOM
(RP- g,vo Dan Toohey -b KF- Ds):1993年

 94年のアルバム"Be thousand"のアウトテイク。
 どたばたとタムをならすパターンを繰り返すリズム隊に、ジャキジャキとエレキギターで切り込みながら歌う。
 デモテープ段階の録音かな。しょっぱなからヒスノイズが、ドローン的に流れる。

 メロディはいまいち上滑り。アウトテイクになったのはわかる気がする。
 たとえば今のGbVのように、アレンジをがっしり固めてドラマティックな展開にしたら、そこそこ聴けるようになるかも。

17 SPRING TIGERS: CRUSHED BEING GROOVY
(RP- lead & rhythm g,vo, JP- g,MM- b,KF- ds) :1992年

 未発表に終わったアルバム「Back to Saturn X」のアウトテイク。
 当時の一軍GbVメンバーによるタイトなリズムにのって、甘酸っぱいロックンロールを奏でる。

 中盤くらいで「オウ・・・オウ・・」と唸ったあと、コードチェンジして歌い上げるメロディが好き。
 ギターソロをはさんで、コーラスと盛り上がる部分もかっこいい。
 テープの損傷か、一部サウンドが揺れる部分があり残念だ。

18 BORN ON SEAWEED: REX POLAROYD
(RP- g,vo):2000年

 ぐっと新しい録音。この前のオリジナルアルバムは1999年の「Do The Collapse」だから、ある意味新曲か!?
 やっぱりヒスノイズが聴こえる。いいかげん、カセットじゃなくてDATかなにかで録音すればいいのに(苦笑)

 かなりヌケのいい録音だ。(15)と対照的。
 静かなアコギの弾き語りなのに、歌声にパワーがあるので風景が明るい。
 メロディが魅力的なせいもあるけど。
 朝日が昇る時のように、聴き手に期待感を持たせる曲だ。

19 FLESH EARS FROM JUNE: MONKEY BUSINESS
(RP- g,vo GD- b, KF ds):1992年

 録音は(15)あたりと同じ1992年。ただしベースがグレッグだから、(15)とは別の時期のセッションらしい。
 からっと明るいメロディ。ロバートの声は、妙にドスが効いている。
 
 ちょっとつかみ所を見つけにくい曲。歌い出しはめちゃくちゃキャッチーだけど、展開するにつれてぼやけた感触がする。
 しかし、「モンキー・ビジネス」ねぇ。GbVに一番馴染まないビジネスだなあ。

20 DRIVING IN THE U.S. OF A.: GHETTO BLASTER
(RP- voice,MM- Noise):1992年

 またも92年録音。タダでさえ混沌としたどしゃめしゃサウンドなのに、もこもこの音質で輪をかけて迫力を産んでいる。
 ミッチが伴奏を担当してるかのようなクレジットだけど。
 ギターとパーカッションを弾いてるのかな。

 ノーリズムでぎゃんぎゃん鳴るバックトラックに対し、ロバートが平板なメロディを叩き込む。
 吠えた瞬間の音のひしゃげ具合や、ロングトーンで叫ぶときにビブラート風に太くぶるぶる震えるノイジーな声がとてもかっこいい。

 なんかで読んだけど、ユニット名の「ゲットー・ブラスター」って、肩に担ぐ馬鹿でかいラジカセをさす、隠語だとか。音のイメージでユニット名をつけたのか、録音そのものにラジカセが重要な役割を果たしてるのかな。

21 MY BIG DAY (3 VERSIONS): TURNED UP TURNER
(1st ver:RP- vo, JP- g)
(2nd ver:RP- vo, Metal trash can Tobin Sprout- g,b)
(3rd ver:RP- vo,g John Shough- b, KF- ds) :1990年

 3種類のテイクをつなげた曲。特に編集の技をつかわず、あっさりと順番につなげている。
 一聴したところでは同じ曲に聴こえなかったけど(苦笑)
 最初のテイクは90年のアルバム"Some Place the Fly Got Smashed"時に録音、ボツったもの。
 デモテープっぽい音質そのもので、ざくっと荒っぽく仕上げている。
 フラットするロバートの声が不安感をあおる。

 2番目は詳細不明。
 多少タイトなリズムになっている。
 針金をはじくようなギターをイントロに、ぐしゃぐしゃの音質でギターが鳴る。
 ロバートのボーカルは、かなり抑え目。だけど、ところどころで力んで見せるところがかっこいい。

 3番目のテイクは92年にアルバム自身がボツった「Back to Saturn X」用にセッションされたもの。
 もしかしたら、このテイクは92年の録音かも。
 きっちりバンドアレンジに進化して、小粋なギターロックに仕上げている。
 ロバートの歌がさらに洗練されている。
 最初の2テイクを聴いたあとでは、物足りなく感じるほど。

 だけどこの曲、根本的にメロディが弱いのが難点かな。

 しかしGbVのアルバム用に録音した音源を収録してるのに。なんで「チューンド・アップ・ターナー」と違うバンド名をつけるんだろう。謎だ。
 今回、この曲を聴いてロバートに対するイメージが代わった。
 かたっぱしから作曲しては、ボツった曲はいさぎよく捨て去るのかな、と思ってた。
 こんな風になんども録音しなおしていたとは。イメージ変わったなあ。

 ロバートが手を変え品を変え一つの曲を磨き上げていく過程を、垣間見れる貴重な収録曲といえよう。

22 HAVE IT AGAIN: MAXWELL GREENFIELD
(RP- g,vo):1991年

 アコギの弾き語りであっさり演奏する。
 つまびくギターにのって、つぶやくようにメロディを置いていく。
 意図してるかどうか不明だけど、上下をブーストした声が荒削りでおもしろい。
 盛り上がりもなく、一瞬で流れていく小品だけど、飾り気のないアレンジが魅力。 

23 LITTLE JIMMY THE GIANT: LITTLE BOBBY POP
(RP- g,vo):1974年

 めちゃくちゃ古い録音だ。こんなものが取ってあるとはすごい。
 ロバートの声が、妙に若々しい。

 音質が悪いせいでいまひとつ楽器が不明だけど、これはアコギかなあ。
 微妙にリズムが走ったりモタったりする。
 メロディは正直単調だけど、サビらしき部分でいさぎよく突っ走るところはかっこいい。 

24 TACO, BUFFALO, BIRDDOG AND JESUS: BOZO’S OCTOPUSS
(RP- g,vo, JP- g, MM- b, KF- ds, Steve Wilbur- Lead guitar)1989年

 (11)と同様、未発表に終わったLP、「Learning to hunt」用に録音されたテイク。
 なのに、なぜか(11)とバンド名が違う。
 録音参加メンバーが違うせいかな。

 かなりきっちりアレンジされた曲。
 多重録音でハモりながら歌うメロディは、なめらかで魅力的だ。
 スティーブ・ウィルバーのギターは、オーソドックスながら堅実にリズムを刻む。
 ギター・ソロは、ほんのわずかな時間だけど、けっこう耳に残る。
 
 どたばたしたケビンのドラムに、メロディアスなミッチのベースライン。
 初期GbVの黄金メンバーによる本作品は、いがいと佳曲だった。

25 DING DONG DADDY (IS BACK FROM THE BANK): MOOSHOO WHARF
(RP- vo, TS- Instruments, Pete Jamison- Yeah):1993年

 一枚目最後の曲は、トビンとの共作。
 へなへなリズムにほややんボーカル。
 うわずる歌声は、ロバートじゃないみたい。

 トビンによる3ピースのリズムにのって、とぼけたメロディを歌う。
 あんまり真剣なレコーディングじゃなく、遊びで録った作品じゃないかな。

 ピート・ジョンスンは、曲の最後にオフ・マイクで「イエー!」って叫んでるだけかも。

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