Galaxie 500
・・・Luna & Demon&Naomi

Pierre Etoile/Damon & Naomi (1991:Rough Trade /Elefant)

Produced by Pierre Etoile
Recorded at Q-Division, Boston 1991

Damon Krukowski - g,ds,vo
Naomi Yang - b,vo

 ギャラクシー500が解散して、ディーンと袂を分かったデーモンとナオミは、二人の苗字をつなげただけの、飾りっけのないユニット名で再デビューした。

 この盤は、ぼくが知る限り彼らの最初期の盤。
 フルアルバムではなく、手ならしするかのようにEP盤での登場だ。
 原盤はイギリスらしいが、ぼくは「エレファント」というレーベルがリリースした、スペイン盤を持っている。

 プロデュースもクレイマーの力を借りず、自分らで行った。
 録音もボストンのスタジオで、余人を交えず演奏している。

 再出発にしてはあまりにもさみしい、素朴な作品だ。
 でも、今後の展開を期待させる佳曲が収録されている。

<曲目紹介>
1)In The Sun


 ミドル・・・いや、スローテンポに傾いたサイケ・ポップス。
 ギターが淡々とコードを鳴らし、その上でリードギターがそっとメロディを乗せる。

 ドラムもベースも、自己主張は控えめで音像を作り上げることに専念。
 さらに歌声が・・・思いっきりけだるい。
 気力のかけらも感じられず、鼻歌っぽいくらい。

 だけど、メロディの切なさが全てをプラス要因に持っていく。
 ハイハットのスチャッと刻む音が、サウンドを引き締める。
 
 ハモってるんだか適当に歌ってるんだか怪しいコーラスも、ほんわかしたニュアンスを曲に結び付けている。

2)Nineteen Sixty-Nine

 前曲に比べれば、若干生気を感じるアレンジ。
 ベース、ギターともに派手さはやっぱりない。

 まず耳に残るのが、フロアタム。
 バックで静かに叩かれつつ、左右のチャンネルをいったりきたり。
 そしてサビでシンバルが、力強くセンターから胸を張って登場する。

 かなりアレンジに気を使っている。
 ボーカルのメロディをそれほど変化させない代わりに、各コーラスごとにキーになる楽器を変え、飽きさせない。

3)This Car Climbed Mt. Washington

 これが一番、本盤のなかで作品として完成されている。
 それぞれの楽器が絡み合い、一体となって音像を作っている。
 いくぶんこじんまりしつつも、おとなしいサイケなポップス世界を構築している。

 ボーカルがヘロヘロなのが玉に傷。
 サウンドのなかでリーダーシップを取れず、器楽的に響いてしまう。

 中盤から始まり最後まで、えんえん続くデーモンのギターソロは、ギャラクシーっぽさを感じさせつつも、微妙に違う。
 地に足がついた力強さは感じられるものの、唯一無ニの世界を提示するところまでには到らない。

 バタバタとタムを回してシンバルを叩くリズムと、ギターソロが絶妙のコンビネーションを聴かせる。
 だけどクレジットによれば、ドラムもギターも全てデーモンの演奏だ。
 何を考えつつ、録音していたんだろう。

 ギャラクシーの亡霊を振り払おうと試みつつも果たせない、デーモンの歯軋りを感じるのは、ぼくだけだろうか。  

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