今お気に入りのCD

最近買い込んで、気に入ったCDを中心に感想を書いてます。
したがって、特に新譜だけってわけじゃないですが、お許しを。

KOREKYOZIN/是巨人(1999:TZADIK)

 吉田達也氏(dr)率いる強力トリオのファーストアルバム。98年から「そろそろ出る」ってニュースがあって、まちにまったリリースだ。(ま、出たのは数ヶ月前なんだけどね)ギターが鬼怒無月氏(ボンデージ・フルーツ他)で、ベースがナスノミツル氏(申し訳ないけど、こちらはよく存じ上げない)の編成。もともとのコンセプトは、ディスヒート(是)+ジェントル・ジャイアント(巨人)の音楽性を実現、らしいから、どっちのバンドも聞いたことない僕が書くこの項は、とんちんかんなものかもしれないけどね。
 で、ぼくの感想は「ポップなルインズ」。メロディをギターが引き受けて心地よい高音が走り回り、ルインズよりさらにとっつきやすい。変拍子だらけ(なのかな?)のころころかわる曲調をベースがしっかり支えて、ドラムがあおり、ギターが暴れまくる。きっちり構成された曲と、インプロが混在するこのアルバム、たった一日で録音されてる。刺激的な一日だったんだろうなあ。
 ぼくが一番すきなのは、最終曲の「POET AND PEASANT」。ギターの細かいリフで始まって、ドラムとベースがユニゾンでからみ、はじける。雄大な景色が見えてきて、創造的な曲だ。

RIGHT ON THE FREE/THE VOICES OF EAST HARLEM(1970:electra/east west japan)

 イーストウエストジャパンの「名盤探検隊」の一枚として、このあいだリリースされたもの。「名盤探検隊」シリーズは、ここのところホワイト・ブルースや
カントリーロックが多い気がしてなかなか食指が動かなかったんだけど。もともとコーラスグループが好きな僕は、グループ名を見ただけで「ドゥワップかな?」とつい買ってしまった。
 聞いてびっくり、ゴスペル系の子供のクワイア(合唱隊)をフィーチャーしたとってもいかしたアルバムだった。とはいえ、最近はアバンギャルド系を中心にジャストな音楽を聴いてばっかりいたんで、この音楽の中に入り込むまで違和感あった。
 ま、通勤途中にウオークマンで聞いてたせいもあるだろうけど。こういうやつって、せせこましく乗り物の中で小さな音で聞いても楽しくないもの。でも、聞き込んでるうちにこの手の音楽のカンがよみがえり、ずぶずぶはまってとっても楽しめた。
 選曲的には、ディランやCCR、スティーブン・スティルスの曲や、エヴァリーで有名な「レット・イット・ビー・ミー」なんかを取り上げ、黒っぽさはあんまり意識してないみたい。もっとも演奏はとってもファンキー。ベースがやけにかっこよく弾きまくる。ちなみにチャック・レイニーが参加してた。要するに、キング・カーティスのキングピンズがバックをつとめてるみたい。
 あら捜しをすれば、アレンジが荒っぽいとか、歌のリズムが甘いとか言えるのかもしれないけど。変にだらだら暴走させずに商品としてのアレンジは意識してかっちりまとめてる。逆に、とことんいっちゃったら、それはそれでおもしろかったろうけどね。
 このアルバムの一番の魅力は歌うことの楽しさ、それも一人で歌うんじゃなく大勢でわいわい言いながら、リズムに乗って歌うことの楽しさね。わくわくする気持ちがつたわってくる、素敵なアルバムです。

JAZE/JAZE(1999:UNIVERSAL)

 4人組の男性グループ。打ち込みが基本だけど、曲によっては生演奏も入る。デビュー盤かなあ・・・?
 黒人のヴォーカル・グループは大好きなジャンルのひとつだ。93年くらいの頃が一番はまりまくって、レコード屋で新譜を探しては、いろいろ買ってたと思う。ところがいつの頃か、元気があるのはヒップホップばっかり、ってイメージが強くなり、レコード屋の新譜をみてもヴォーカル・グループの新譜で、ぴんとくるのが全然ない時期がしばらく続いてた。
 でも、このジャンルがすたれるわきゃないだろうってことで、ひさびさに買い込んだのがこのCD。予備知識なんもなし。ジャケットも20年くらい前のセンスでいまいちだったし。ぜんぜん期待してなかったんだけど。何度も聞き込んでみると、捨てたもんじゃない。いや。かなりいいです、このアルバム。特に奇をてらったところはない。ごくごく普通のヴォーカル・グループ。歌があんまりうまくないのが残念だけどね。JAZEならではって個性がまだ僕には聞こえてこないのが、一番の難点かな。
 歴史に残る名盤にはなりそうもないけど、折に触れて効きたくなるようなアルバムです。

オンステージアットアムステルダム/渋さ知らズ(1999:NEW GATE)

 不思議なアルバムを入手した。内容は、渋さが去年ヨーロッパツアーとしたときの、オランダはビムハウスでの録音。多分アンコールまで含めた、全曲収録だろう。CD3枚組の堂々たる物だ。しかも安い。僕は3千円で入手。
 何が不思議なのかは、リリース形態。渋さは今、自分のレーベル(地底レコード)をもってるから、音源は全部そこから出るはずなのに、NEW GATEからでてる。しかもインナーには「ひらたくいうと海賊版ですが、収められた楽曲の著作権は一部を除き渋さ知らズに帰属します」とある。しかもHPのURLはおろか、レーベルの住所まできっちり書いてある。HPを覗いてみると「もう海賊版はやめた」ってメッセージがあったけどね。単なるブートなら、別になんとも思わないんだけど。まあ、日本のミュージシャンのブートってのは、それなりに珍しいとは思うけど。いったい、権利関係とかどうなってるんだろうか?音質的にはノイズもまったくなくとてもいい音だ。もしかして、リリース前提で録音した音を元に出してるのかな。 
 そんな風に、ちょっとあやしいリリースではあるものの、肝心の音楽はばっちり問題なし。ダンドリスト不破氏のキューのもと、ユニゾンを基調にした大人数でのドガチャガに壮大なジャズを聞かせてくれる。合計150分以上。渋さはライブを見なきゃ、完全には楽しめないのは百も承知だけど。ダンスもあっても渋さ知らズだからね。ヨーロッパの地でも何も気後れせず、いつも通りのファンクやロックや演歌まで(絶叫の「天城越え」を演奏してる」)懐にかかえこみ、ごちゃ混ぜにした、わくわくする音楽を奏でてます。

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