LIVE レビュー
見に行って、楽しかったLIVEの感想です。
2011/2/5 下北沢 THREE
出演:toddle,Hunting
Pigeons
元24m.FLOATERのイッセキが組んだ新しいバンド、Hunting Pigeonsが目当てで行った。
THREEは場所がよくわからず、しばらくあたりをうろついてしまう。ようやく見つけ中に入ると、思ったよりこじんまりしたハコだった。
ステージ・スペースを小さめにつくり、後ろの通路がずいぶん広くとられてた。
DJ FukuyokaによるBGMが大音量で轟く。低音がびりびりと膝を揺らした。
今夜は"riddle vo.1"と銘打つtoddleの月刊ライブ三回目の初日。toddleのメンバーが
「自分の企画なのに、妙なアウェイ感だ・・・」とライブ中に漏らしてたのが、妙に印象深い。
ちなみに観客はぎっしりの盛況だった。100人くらいいたのかな。
DJ Fukuyokaの選曲はバラエティ豊か。打ち込みリズムのジャズから、歌ものまでまんべんなくかける。2枚ミックスでなく、一曲づつ繋いでたようだ。
インスト曲は聞いたことないのばかり。RCやジョン・レノンなどもかかった。バンド転換の途中、大音量でかかった達郎の"ルミネッセンス"が迫力で、テクノへつなぐ選曲も見事だった。
フロアではミラーボールが回転し続ける。数色の光をあて、きらびやかな光を出す演出が新鮮だった。
時間前にtoddleのベーシストがギターを持って現れ、前説を。
「これがマーシャル・アンプのセッティングで、一番いい設定だ」と告げ、つまみを片端からひねる。フルテンにしたのかな。
轟くフィードバックのなか、ギターをかき鳴らして、Huntin Pigionsを呼び込んだ。
メンバーが楽器を準備する。ベーシストがセットリストらしきメモを取り出し、足元へ置いてるのが見えた。
Hunting Pigeons
普段は神戸で活動するバンド。ギターを弾きながら歌うイッセキと、ベース・ギター・ドラムのカルテット編成。
後で聞くと、この組み合わせでは2回目のライブ。前メンバーは全員変わったそう。ベースは元24m.FLOATERのメンバー。
ギターは神戸でファンク・ベースの名手と言われる人だそう。なのにここではギターを弾くってあたりが妙に面白い。
Hunting PigeonsはMy
spaceで数曲聴いてたが、ライブは初体験。第一印象は、24m.FLOATERより丸くなった感じ。
疾走感は残しつつ、どこかゆとりある。甘酸っぱくきれいなメロディは健在。アレンジもいろいろ凝っていた。
しかしこの日は出音のバランスが妙に極端。意図的かは不明だが・・・。
冒頭はドラムがマスクされ、中低音域ばかり響く。コーラスも聞こえず。
ボーカルすらも聞こえづらい。ベースのもこもこを背後にイッセキの弾くギターだけ、やたら強調されていた。
アンサンブルが妙にばらついて聞こえてしまう。この出音のバランスはつらい。
ライブが進むにつれ若干バランスは改善したが、ボーカルはいまひとつボリューム小さい。次のtoddleでも同様の印象だったので、バランスはハコの好みだったのかもしれない。
45分ほどの持ち時間で、15曲くらいを演奏。 ギタリストに「イッセキは曲順を覚えてない」とからかわれながら、前半の曲は短いものを立て続け。
途中でボーカルにエコーがかかっていた。
予想以上にイッセキのギターがアレンジの中心になっていた。2曲目では、ギターが強調されたバランスなこともあり、イッセキがかき上げるギターの響きがかっこいい。
イッセキは歌いながらザクザクとリズムを刻みつつ、ときにリード・ギターも取る。
ライティングも含め、ボーカルに一点集中の目立たせ方だった。
ノリの芯はベースが担う。着実なフレージングでしっかりアンサンブルを支えた。
ドラムは聞こえづらかったこともあり、あまり目立たない。
てっきりイッセキがリズム、もう一人のギターがリードかと思ったが、二人の役割は頻繁に変わる。
ギターをかきむしり暴れるイッセキが目立ったか。
時にラフな、アレンジの妙味も聴きどころ。
ブレイクだけでなく、時にベースやギターが弾きやめるなど、アンサンブルの抜き差しも配慮していた。
中盤ではワルツや、レゲエっぽい曲も。イッセキの弾き語りから、一気にバンドが炸裂する場面もあった。
大きな武器である、きれいな歌メロもあまり繰り返さない。どんどん歌っては、次のフレーズに向かった。
MCはほとんど無し。エンディングもいきなり終わり、次の曲へ行くのもしばしば。
最後の曲では、5拍子のキメが楽しい。
PAの楽器バランスも次第に整う。中盤で演奏した、ドラムがシンプルに踏むロックンロールの疾走感がいかしてた。
もう一人のギタリストは、かっちりとフレーズを弾く。時にはじけまくるイッセキのギター・ソロと対照的だった。
ベースが野太い響きで統一したのとは対照的に、ギターはかなり音色が曲により変わっていく。
特に響いてたイッセキのギターも、ディストーション利いた歪みっぷりから、ストレートな音色へと、ステージ進行につれ変わっていった。
最後はアップテンポでしめる。大きく口をあけ、シャウトし続けるイッセキが印象深かった。
このメンバーでライブを続けるのかよくわからないが、今後の活動が楽しみ。
当日物販してた音源を聴いて、じっくり浸りたい。
toddle
客電が落とされ、ステージ後方の白熱灯が白くフロアを照らす。目つぶし照明の中、メンバーが現れた。
女性2人のフロントがギターを持ち、後はドラムとベースのカルテット編成。
ボーカルの一人、田渕ひさ子は元ナンバーガール、現在はbloodthirsty
butchers。
曲調はグランジ。しかしメロディはシンコペートを極力廃して、四分音符が連なるアイドル・ポップ。
この違和感が狙いか。いっそ、ボーカルの2人だけでクリーンなアレンジも似合いそう。
後ろのリズム隊は、かなり豪快。特にベーシストが暴れつづける。ギターのようにベースを弾き倒し、振り回した。
音量バランスはこのベースがとにかく目立ち、中低音がみっしりとにじむ。
ボーカルの魅力を塗りつぶすほど。ベースが弾きやめた途端、すっと音像に奥行が出る。
ドラムもパワフルに叩きのめした。ベースとドラムが汗まみれな一方で、フロントのギター二人は涼やかな顔を続ける。
初めて聴くが、前と後ろでステージングがまっぷたつに別れる、特徴的なバンド・スタイルだった。
歌メロは僕の好みだと、もうちょい拍を跨いでほしい。でも、コーラスを生かした歌声はきれいだった。
埋もれる音域から聞き取るようにしてたが、もっとハーモニーを複雑に絡ませても面白そう。
MCでもフロント二人は、すごくおっとり。ワイルドなベースのノリとギャップあった。
一時間で10曲くらいやったかな。どの曲もアレンジはほぼ共通。ハーモニーを前面に出したら、僕はかなり楽しめたと思う。
アンコールはダブル。しかし二回目はドラマーだけが現れ、今日は終わり、と挨拶だけだった。
この手のバンドのライブは久しぶりに聴いた。いろいろと興味を刺激されておもしろかったな。