LIVE レビュー
見に行って、楽しかったLIVEの感想です。
2009/11/10 中洲 River Side
出演:Gianni Gebbia+深水郁+avan
(Gianni
Gebbia:as、深水郁:p,vo、avan:b)
久しぶりにライブへ行った。出張で前乗りの夜、土砂降りの中リバー・サイドへ。もちろん、初めて行く店。中に入ると、2ndセットが始まる前の休憩時間だった。
リバー・サイドはキャパ20人くらいかな。縦長の店でカウンターとステージがフラットな位置。カウンターの最後尾へ座ったけれど、ちょいとステージが見えづらく残念。
店内奥にステージ。ピアノはアップライトだった。店の反対側の壁には、名刺がびっしり貼ってあり面白かった。
ジャンニ・ジェビアはイタリアのサックス奏者。ベースのavanも、初めて聴く。深水郁との共演はどんな感じか、楽しみだった。
休憩時間はけっこう長かったな。店に着いたのが21時15分頃だったか。演奏は22時になろうかというころ、まずジェビアがステージのスペースへ向かった。
無造作にサックスを構え、音を軽く出す。観客の一人がマスターへ声をかけ、BGMが消えた。
アルト・サックスを構えたジェビアは静かに、即興ソロを始めた。まずベルを腿に押し当ててひと吹き。
さらに循環呼吸。ときどき音が途切れる。ピアニッシモで音を出し、重音を鳴らした。
この店はルーム・エコーがきれいに響く。
軋み音が静かに。やがて滑らかな音色も。バロック音楽のように三連符のフレーズを、途切れさせずジェビアが吹き続けた。
軽やかなメロディが広がる。重音なのか、ちょっと別の倍音も聴こえた。椅子に腰掛けたまま、そっとアルト・サックスが鳴った。
この即興が5分くらい。やがてメロディアスなフレーズに移る。決してアグレッシブな炸裂は無い。どこか上品さを残した。
全体を通して10分強のソロを提示した。とてもバランス感覚に優れたアプローチだった。フリー・ジャズの文脈を踏まえつつ、メロディへの目配りも忘れない。
さまざまな要素を、場面ごとの切り替えで濃密にそれぞれ示しつつ、違う世界をひとつながりで見せた。楽しい。
続いてはavanのウッド・ベースが加わった。ほんのりブルージーなフレーズをまずジェビアが吹き、ベースが加わる。身体を動かし、のりのりで演奏。けれども、グルーヴ感が微妙にジェビアと異なる気がした。
あくまでavanは独自のタイム感をキープし、ジェビアのノリとずらしてゆく。テンポが同一ながら、なんだかポリリズミックな展開を感じた。
やがてジェビアが寄り添い、テンポ感をあわせて着地。
深水も加わって、ジェビアの曲を。イタリアの海岸あたりの名前だった気がする。
童謡っぽいメロディをジェビアが奏で、ピアノが加わる。とたんに世界がぐっと深水の世界へ近づいたのが興味深かった。
ソロ回しはさほど強調せず、ふうわりとセッションが続く。深水は柔らかなクラスターを頻繁に織り込み、クールなアクセントを曲へ塗りこめた。
もう一曲、ジェビアの作品。"ブレスレス"って曲だったかな。
深水の柔らかなピアノと、ジェビアの穏やかなサックスがふくよかに鳴った。
ジェビアは曲のたびにリードを頻繁に交換してたっけ。
こんどは深水の作品、"甘酒の唄"を。伸びやかに深水の歌声が店内へ広がる。軽快な歌メロへ寄り添いつつ、サックスが鳴った。
サックスからピアノのソロへ展開するときに、強靭なフリーは無い。けれども音の流れは深水のクラスターが光って、ユニークな雰囲気だった。
エンディングが唐突に終わってしまい、ジェビアが一瞬、戸惑った苦笑をしたのはここだったかな。
次の"栗まんじゅうの唄
"で2ndステージはおしまい。なんかあっという間だ。
軽やかなメロディがふっくらと広がった。
すかさずアンコールの拍手。深水だけがステージに戻った。
「アンコールで2曲、やりたい曲があります」
そう前置きして、まず深水はピアノを弾きながら歌いだした。
"こいごころ"だ。伸びやかに、丁寧に。深水の歌がしっとりと流れた。
最期の曲は、タイトルを失念。一転して明るいアップテンポで。
ほんとはライブって1stと2nd、両方聴きたい。色んな都合で、ままならぬこともあるけれど。
とはいえ今日は出張先のひとときで、ゆったり寛げた。それとジェビアのサックスに興味が沸いた。CDを探してみよう。