LIVE レビュー
見に行って、楽しかったLIVEの感想です。
2009/5/16 西荻窪 アケタの店
出演:明田川荘之
(明田川荘之:p,オカリーナ)
どたばたしてすっかりサイトへアップが遅れてしまった。
今夜の月例深夜ライブは、時々雨のふる涼しい夜だった。0時半過ぎの開演。
まず一曲目は"りぶるブルーズ"から。9月に追悼コンサートが予定されてるという。
冒頭はオカリーナから。ひとつひとつ丁寧に音を乗せ、持ちかえる。
オカリーナをピアノの上へ置き、一呼吸の間を置いて鍵盤に指を落とした。
フリーなイントロから入って、ごつごつした旋律作り。クラスターの部分はさほど強調せず。あっさりとテーマを紡ぐ。これまでとは少し違うアレンジだった。
左足のスニーカーが足踏みで、軽くリズムを刻みつつ。アドリブへ入ると、すぐに唸り声が出てきた。
途中でクラスターも飛び出す。メロディとアバンギャルドを行き来する。
センチメンタルに盛り上がることも出来る曲だが、今夜はあえて抑えたか。符割や左手の感じをちょっとひとひねり。フレーズでの、アクセントの位置もちょっと違うような気がする。さらりと演奏を紡いだ。
間をおかず、次の曲へ。イントロの音使いはふわっとして、うっすらと揺れる。とっさに曲名がピンとこず。
やがて演奏が進むにつれ、曲の骨格が浮かびあがってきた。"Alone
Together"。この曲も好き。
<セットリスト>
1.りぶるブルーズ
2.Alone
together
3.城ヶ島の雨
4.Pop up
(休憩)
5. ?
6. ?
7.コージャク・テンプル
8.Mr.板谷の思い出(incl.
over the rainbow)
今夜は寛いだ進行。ピアノの調子が少々おかしいらしく、途中で調律をはさむ構成だった。ピアノが鳴りすぎる、と手こずっていたようす。
"Alone
together"も音数を減らしたアレンジ。もちろん粘っこいグルーヴは滲む。いくぶん、つっこみ気味に奏でられた。
ときに猛然と爆走する曲だが、今夜は落ち着いた感じ。
次はカバーで"城ヶ島の雨"。オリジナルは歌謡曲かな?別のライブで演奏予定だそう。
「難しい曲なんです」
と、メガネをかけて譜面を覗き込みながらの演奏。ペダルを踏んでたっぷり音を響かせながら叙情的に奏でた。
アドリブや後テーマはあっさりと。ソロの部分は面白かったが、ほんとうにリハーサルっぽく、短い演奏で終わってしまった。
次が早川岳晴の曲、"Pop
up"。新譜のタイトル曲でもある。アップテンポでいきなり疾走した。
もともとはドクトル梅津バンドで二つの曲を、明田川が1小節ブレイクを入れて一曲へ。早川の相方、宮崎正子(vo)のバンド"地球防衛軍"で演奏してたレパートリーという。
交錯する和音。1小節のブレイク後、ふわりと綺麗なメロディが流れる。
唸りながらソロへ突入。間にいくどもこのテーマが現れた。
「ちょっと休憩します」
幾度目かのソロからテーマへ戻ったとき。唐突に曲がカットアウトした。
そのままピアノの調律を始める。
短い休憩のあとは、寛いだ雰囲気で2曲。"テイク・パスタン"と"メニーナモッサ"かな?
ここで初めて今夜、ピアノの内部奏法も。もっともごく短く、指先でピアノ線を爪弾く程度だった。
間をたっぷり持って、ひとつづつ音を重ねる(5)。ミドル・テンポでリズミカルさを保ちつつ、メロディを描いた。
次はリクエストに応えて"コージャク・テンプル"。久しぶりに演奏する曲みたい。
和音を連打し、次第にテンションが高まる。たっぷりじらせて、メインテーマへ突入した。
アップテンポだがクラスターは無し。ストレートにアドリブからテーマのリフレイン、そしてアドリブへと展開した。
左手の強力な連打がアグレッシブにのめりこむ。荒々しく鍵盤をしぶかせるさまがかっこよかった。
最期もリクエストに応え、"Mr.板谷の思い出"。ピアノの短いイントロからオカリーナを取った。ふっくらとメロディを奏でる。
オカリーナを足元のケースにおいて、横に置いたベルをジャランっとひと鳴らし。
鍵盤でテーマをおもむろに弾いた。
ピアノの響きが不思議だった。なんだか小さいものが、ぷちぷちと残響に混じってるような・・・あれはなんだろう。
アドリブの途中、一呼吸置いて"Over the
rainbow"に。まさにこの曲を聴きたい気分だったので、びっくり。嬉しい驚きだった。
曲はなめらかにつながり、所々を大胆にフェイクさせる。アドリブがたっぷり入ったフレーズは、やがてインプロに入った。
テーマが戻ってくる。ゆっくりと着地。今夜は、静かにライブが終わった。
帰りに新譜"POP UP"を購入した。"AKETA
meets 孝・彫刻4タイトル"の第一弾で、今後次々にCDが出るそう。楽しみ。