LIVE レビュー
見に行って、楽しかったLIVEの感想です。
2009/5/4 秋葉原 Goodman
出演:渋さ知らズ・オーケストラ
(片山広明、佐藤帆、立花秀輝、鬼頭哲、北陽一郎、辰巳光英、高橋保行、松本和志、ヒゴヒロシ、
磯部潤、藤掛正隆、関根真理、斉藤良一、ファンテイル、ギデオン・ジュークス、山口コーイチ、
渡部真一、ペロ、東洋、たかこ、しも、片桐夕夏、すがこ、横沢紅太郎、スギゴチ、
ダンドリスト:不破大輔)
Goodman13周年記念の一環で渋さの登場。フロアはスタンディングでぎっしりの入り。
今夜は地底新聞とも一部メンバーが異なった。トロンボーンは二人、パーカッションは3人・・・いや、さらに奥でもう一人かな?上の表記は不十分です。
開演時間をちょっと押して、メンバーがぞろぞろと上手から登場。一人が山口コーイチのキーボードを押してしまい、音が出る。真似して(?)あとからあとから鍵盤をちょっと押しては登場となった。
不破大輔が渡部真一へ耳打ち。まずはGoodmanへの祝いも含めた、渡部の口上から幕を開けた。だんだんテンションがあがってくる渡部。不破が立ち上がった。両手を挙げる。
渡部の叫びにスパッとあわせ、"ナーダム"が始まった。
<セットリスト>(不完全)
1.ナーダム
2.大沼ブルーズ
3.股旅
4.ライオン〜Fishermans
band〜?
5.犬姫
6.ひこーき
7.(新曲)
8.本多工務店
9.仙頭
たしかこんな感じだったような。間違ってるかも。
客層はなんだか若い。しょっぱなからいきなり盛り上がった。モッシュまでは行かなくてなにより。
"ナーダム"のテーマが高らかに鳴り、不破と渡部が歌いながら、客席をぐるり見渡した。今夜はこのパターンが多かった気がする。
テーマと入れ替わりに片山広明が立ち上がってソロ。舞踏の面々がゆったりと客席を通って現れた。ペロが大きく舞台で腕を振った。
お銚子組合は今夜、すがこひとりだけ。舞踏は主にサブ・ステージで舞う。
サブ・ステージは背後にスクリーンも貼り、なにやら映像を流してたようす。ライティングで客電をこうこうとつける場面多く、上映はよく見えず残念。
ステージのソロはファンテイルに変わる。ディストーションを効かせて。不破が鋭い目でソロに耳を傾けていた。
斉藤良一はぐしゃぐしゃにフレーズを歪ませ、痛快なフレーズをばら撒く。
いきなり30分くらいぶっ続けの"ナーダム"。この時点でステージはぐるりとさまざまなソロが回された。どのソロも長尺でじっくりと。
立花秀輝の静かでメロディアスなアドリブが素敵だった。対照的に佐藤帆はしゃくりあげるフリーキーなフレーズで畳み掛ける。
バックのリズムは次々ドラマティックに変化する。リズムだけやテンポ・チェンジなど不破がキューを出した。
時にリズム隊のみ疾走。アップテンポ一辺倒でなく、バラードまで落ちる場合も。
場面を切り替え、豪快にテーマへ戻る瞬間が力強い。
コーダから間をおかず"大沼ブルーズ"に。管が明るい響きだった。最初のソロがトロンボーンだったかな。どの曲で誰がソロか、記憶あやふや。
ギデオン・ジュークスもアドリブを。チューバとは思えぬ高い音域からフレーズを組み立て、次第に低音へ。幅広い音域を巧みに使った、物語性強いソロを披露した。
山口コーイチのソロではアヴァンギャルドな、間の多い音使い。いっきに世界感が怒涛のフリージャズに突入する。不破は他を絞り、山口に音像を収斂させた。じわじわとフレーズが膨らみ、猛然と炸裂。アンサンブルも加わり吼えたてた。
ヒゴヒロシが不破のキューへ頷きながらリフで煽る。
トランペットは辰巳光英が真っ先にソロ。矢継ぎ早にフレーズが注がれる。今夜、数度のアドリブを取る機会あったが、一番最初・・・"ナーダム"だったかな、ソロが特に鮮烈だった。
"股旅"あたりでソロを取った、北陽一郎は抑えた感じも。鬼頭哲も静かめ。どれかの曲で、佐藤帆と組んでチンドン的な音像を、ほぼリズム隊のみの静かな場面で披露した。
"股旅"では渡部のソロも登場した。ラップ風スキャットでメロディ感を抑え、隙を作らずまくし立て、かっこよかった。
舞踏も頻度よく変わっていた。お銚子のみ着々とバナナを脚立の上で振り続ける。
最初はしもが登場。さらにたかこが加わった。しもはサブ・ステージで身体を激しく振り続ける。たかこはステージの前を舞いながら通り、じわじわとサブ・ステージへ。手を伸ばす。しもも手を伸ばし応えた。
ふっと気づくと、ふたりは舞台から消えている。あらたな白塗りの女性が、そっと客席に登場していた。しとやかにサブ・ステージで舞った。
東洋は2曲目あたりで登場。体の何箇所かをカラフルに塗っている。ステージ前で踊りながら、やはりじわじわとサブ・ステージに向かった。
曲は"ライオン"から、"フィッシャーマンズ"に。JBスタイルのファンクで突き進む。ねっとりとステージがグルーヴィに塗りつぶされた。
中盤で語りを音楽無しで渡部がじっくりと。忌野清志郎へ哀悼を表明した。湿っぽくならず、力強く。
何かやろうよ、と渡部が言ったとたん。斉藤が"雨上がりの夜空に"のリフを弾き始めた。
わさわさと客席が盛り上がり、合唱する。片山の青白いオブリガートが耳に切なく馴染んだ。
渡部があおりながら歌い続ける。構成があやふやになり、後ろから片山がつっこんでて面白かった。もちろん、中盤のソロは片山。
不破のキューで、"雨上がり"が終わるとすぐにテーマへ突入した。何の曲だったかな。
口に手を当てた不破が、メンバーへ何か叫ぶ。テンポが落ちて、"犬姫"へ。ペロやすがこ、舞踏の面々はいったんはけて、音楽のみとなった。
立花が切なくソロを吹いた。ときおりフリーな要素も混ぜて。ソロが回ってゆく。空気がゆったりと変化した。
確かこのあたりで舞踏と入れ替わりに、白衣姿の男が現れた。僅かに目のみ残し、顔は全て包帯で覆われてる。ステージ中央で身体を捩りながら、ゴム手袋つきの手を大きく上げて。包帯で目を覆い、サブ・ステージに向かった。
"ひこーき"は関根真理が朗々と歌う。にっこりと微笑みながら。渡部もオフマイクでコーラスを入れた。
たかこが身体に電飾を巻きつけて舞ったのは、この辺だったろうか。
再びステージはアップテンポに変わる。曲のタイトル失念。不破と渡部が客席とテーマを吼える。フロアがわさわさと盛り上がり始めた。
ペロも衣装替えで登場、すがこは頭に電飾を付けて現れた。
ぞくぞくと舞踏の面々が現れる。白衣の男は包帯を取り去り、ペロの横で元気よく腕を振り回した。
斉藤とファンのギター・バトル風のアドリブが聴けたのは、ここだったろうか。不破が大きく腕を広げ、交互にソロへ持ち込んだ。
関根のイントロが小気味良く鳴る。"本多工務店"へ。客電がこうこうとつけられ、ステージとフロアで大きく手が上がった。
エンディングまで轟然と突き進む。耳鳴りがして、低音はほとんど聴こえず。
ファンが客席を見ながら煽るようにギターを。ついにソロへ突入した。
クライマックス。不破が叫び、"仙頭"へ。渡部が、客席が飛び跳ねる。フレーズはもはや混沌だった。
"ステキチ"を奏でつつ、メンバーはフロアの中央を通って去ってゆく。後ろに不破も。一緒にはけるのかと思いきや、途中で曲がる。カウンターでドリンクのおかわりを貰いにいってた。
舞台は渡部や舞踏の面々。渡部の口上で、大きく頭を下げる。「ありがとう〜!」と不破がカウンターから叫んだ。
もういちど、メンバーが客席を通ってステージへ。楽屋へ入りきらないよな、と渡部がぼやく。
最期に不破がステージから去って、幕を閉じた。
約2時間半、休憩無し。若い客層を踏まえダンサブルに疾走かと思いきや、メリハリを大胆につけ聴き応えあるステージだった。熱気でフロアは暑い。耳もやられてる。
パワフルさを常に感じさせつつ、個々のアドリブはじっくり聴ける。楽しかった。