LIVE レビュー
見に行って、楽しかったLIVEの感想です。
2007/1/26 東高円寺 LosAngeles Club
出演:natural gift - vol.127
(One
Chord Ensemble、AIRMAIL、waste of youth、アニュウリズム)
若手バンドが立て続けに登場するイベント、natural gift。この日は5バンド出演中、4バンドを聴いた。目当てはOne Chord Ensemble。
アニュウリズム
アコギの男性弾き語り。昨年10月にライブ聴いたときは好みと違ったが、今夜は目当てのバンドの次に楽しめた。椅子の高さを時間かけて調整すると、とっととセッティングを終わらせてポットから暖かいお茶を飲む。コップから口元へ、湯気が小さく立った。
PAチェックもギターを構えず、横へ置いたままぽろぽろと爪弾く程度。
7曲ぐらい演奏。曲間にお茶を飲む。ファルセットの響きを幾度か確かめた。
3種類の音楽性を披露した。まず1曲目、2曲目と最後の曲。英詞のソフト・サイケなタッチ。4ADあたりを連想し、心地よかった。
あとは4畳半フォーク風の、日本語的なメロディライン。これは叙情すぎて好みに合わず。そして音楽性は二つ目に似てるが、シュールなユーモアを提示した歌詞。「渡しきれいになりたい」とか細く歌ってゲイ的なアプローチを見せた。
さらに「ドラ焼き食べたよ」とシンプルな歌詞を、童謡風の穏やかなメロディへ載せたもの。ほぼ無伴奏で譜割を解体し、ルバートを強調する。後者はユーモアが楽しめた。
ソフト・サイケな曲ではリバーブを思い切りかける。ファルセットは喉を震わせるように、かすかな感触で。リバーブまみれの声が、たっぷりとスピーカーから響いた。
ギターは爪弾き程度。ソロっぽい場面もあったが、基本はぱらぱらと弦をはじくのみ。
waste of
youth
3ピース・バンド。16音符でタム回しする歯切れのいいドラムと、ときおり旋律を紡ぐベースのコンビネーションが爽やかだった。
間をおかず小刻みに畳み込むドラミングで、しゃきしゃき進める。ベースもさりげなくぐいぐい押した。
ボーカルは激しくシャウトする。英詞でもメロディ・ラインは日本語風。4曲目くらいでの日本語歌詞がメロディにはまっていた。ぼくの趣味とはちょっと合わず。
AIRMAIL
客電が落ち、ドラムのソロから。ベース、ギター、そしてボーカルと順繰りに登場する演出のイントロで始まった。ギター2人の5人編成。服装はまちまち。70年代王道ロックからパンク、ブルース・スプリングスティーン風、メタル風、そしてニューウェーブ風と。
歌詞は日英両方かな。日本語のメロディでフォークにも通ずるラインを、轟音ロックでまとめた。ぼくの趣味とはちょっと違う。
最後はどしゃめしゃになって終了。
One Chord
Ensemble
今日の目当て。新曲も投入したらしいが、メドレーのため、区切りがよくわからず。
ちなみに演奏中、どこからかベースの太い音がノイズとなって響いてた気がする。幻聴だろうか。このバンドはダイナミクスも大切な要素のため、あのノイズは本当に邪魔だった。
「バンド名のとおり、コード一つで演奏します。開放弦を中心に」
ドラムを中央に据え、エレキギターを抱えた4人が半円を作る。唯一の女性メンバーがMCを簡単につとめた。
指揮者の北村は舞台中央に座る。進行表と推測する紙と、携帯で時間を計る。さらに今夜は、いくつかのキュー・シートも準備していた。
まず全員が開放弦のストロークから。北村のキューで、一人づつ単音の同リズム、四つ打ちが始まる。シンプルなドラムの刻みにあわせ、音がみるみるシンプルに。最後の一人も単音へ移り、きれいに揃った響きで単音が鳴った。
最初は2拍目で刻んでた気分だったが、いつのまにか小節の頭として聴いていた。
ドラムは手数を控え、北村のハンドキューでシンバルをアクセントで入れる。16音符から8分、4分。どんどんシンバルの音数が減り、ついにギター単音と合わせて軽く鳴らした。
ギターは次第にピッチが緩み、響きが揺れ出す。
北村がメンバー一人ひとりにキュー・シートを示し、カウントで何らかの指示を飛ばす。一枚だけ見えた紙には「Free」と書いてあった。
聴こえる音は拍頭のズレだったので、ユニゾン刻みでなくズラシをくわえたか。
4人のギターが互い違いに単音を出し、パンニングを強調した。
ドラムは音を止めている。
さらに単音の音域を変え、和音をあらわしていたような。D,G,Bかな?
細かな進行は記憶がまぜこぜになっている。もう一度、開放弦のストロークで勇ましくかき鳴らしたと思う。
ストロークもリズム・パターンを変えて複層させる。単音とシンプルな頭刻み、さらにちょっとかき鳴らしを混ぜたストローク。
さらに北村のキューでダイナミズムも操る。時に揃って、時に半々で。
彼は両腕をゆっくり大きく上げ、そして下げる。テンションをあげず淡々とした面持ちながら、腕に力がこもっていた。
幾度も音量が高まり、静まってゆく。リズムは破綻せず、単一テンポで。
同一コードの一本勝負ながら、爽快なコンセプト。途中で全員が弦をミュートさせてかき鳴らす、カッカッカッと軽やかに刻む音色も楽しかった。
最後は一人づつ、指揮者のハンドキューで音を止めていく。低音弦でベースラインを弾いていた男が最後に残り、ついに音を止めた。
ロックンロールの快感原則をシンプルな提示と感じた前回のライブ。今回はよりアンサンブルのバリエーションに軸足を置いた。テンポはおそらく、変化させず。
ユニゾンのみならず単音で相互に飛び交わせ、パターンの組合せで膨らみを出す。
シンプルな構成ながら、とっても刺激的で楽しめた。
ぜひ長尺のライブも聴きたい。次々と変化をつけながらぶっ続けで、いっそ1時間くらいのライブも面白そう。
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