LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

2008/1/3   吉祥寺 Mandala-2

   〜年の初めのおおばんぶるまい〜
出演:白くまアリス、ねこカフェ、パンタジア

 年明けライブを聴きに行きたく、あちこちスケジュールを探す。インストと想像して聴きに行った。予備知識なし。
 今日は白くまアリスの企画。同じ顔ぶれにて数年間、マン2の新年初ライブをつとめているらしい。

 正月らしく開演は5時半と早め。子供がいたり、メンバーの知り合い比率が多そうだったり。普段と違う客層と雰囲気が新鮮だった。ステージにはスティール・パンがずらり。迫力だった。

パンタジア
 
 6人編成のスティール・パンのみのバンド。本来はドラムも加わるそうだが、今夜は欠席。宮城道雄の"春の海"からライブが始まった。
 音が出たとたん、陶然とする。響き渡る各種のスティールパンが、正月らしいこの音楽を奏でると、妙なる響きだった。シンセとも違う倍音の響きが心地よい。
 ちょっと高音がきつかったが、次第に気にならなくなる。

 大小のスティール・パンを使い分け、アンサンブルを組み立てる。一人の演奏してたスティール・パンは底面に穴が開いており、動きにつれてちらちら光が動ききれいだった。
 アドリブ要素は基本的になし。ライト・クラシックやポピュラー音楽をレパートリーにして、イベント出演が映えそうなバンド。
 冒頭こそ音の交錯が耳にきつかったが、次第にPAが馴染んできた。

 2曲目にTVの"三分クッキング"で馴染みの"おもちゃの兵隊のマーチ"を演奏。性急なシンセで馴染んだメロディが、スティール・パンの金属質な響きにはまっていた。
 続けてカリプソと称し"さらばジャマイカ"を。ビートよりもメロディへ軸足置いたアレンジのようだ。

 "In the mood"なども取り混ぜ6曲程度、40分位のステージ。
 新年早々、「また来年、お会いしましょう」と挨拶して笑わせ終わった。

ねこカフェ
 (田部井雅世:fl,per、田部井泰和:ag)

 実の兄妹ユニット。アコギとフルートで、キメの多いテクニカルな曲を連発した。フュージョン系かな。アコギはハードロック的なタッピングも曲によって多用した。
 
<セットリスト>
1.春雅
2.負けない
3.ノラネコアワー
4.Acute
5.ピエロ
6.明日時計
7.空へ
8.Under the moonlight

 配布されたアンケートに記載のセットリストより引用。
 (4)がフュージョン系ギタリスト、グレッグ・ハウの曲。8曲目が八文字裕紀が作ったボサノヴァで、(1)、(3)、(5)が田部井雅世、(2)と(6)が田部井とおるの作曲とクレジットあった。
 
 田部井雅世は両足に鈴をつけ、手首にも。曲によって、シェイカーやカスタネットでリズムを取った。数本のフルートを使い分ける。
 ふたりとも譜面台を置いていたが、ほぼ暗譜に近そう。アドリブはほとんど無く、インプロでびしばしとユニゾンをぶつける。

 (6)までほとんどMC無し。メドレー状態で続けた。複雑なメロディを繰り出しても、寛いだ面持ち。アコギの弦がちょっともやけて聴こえたのが残念だが、シャープなハンマリングの連発で、爽やかな展開だった。
 曲調はフュージョン系のポップスか。くっきりしたメロディで変拍子は無さそう。
 田部井泰和はときおり立ち上がり、ピック無しでギターをかき鳴らした。

 一曲目の途中で、最前列に座った観客が紙ふぶきを二人へ撒き散らす。一片が大きめなのか、すぐ手前でばらばら落ちてしまうのが面白かった。
 けれども吹きながらくるりと回る雅世に降りかかり、いったん前へ向いた時に身体を降って、紙ふぶきを散らした。

 次の曲ではフルートのキーへ紙ふぶきが詰まったか、ちょっと吹いたとたん口から離した。強く振って紙片を落とす。持ち替えのときも、フルートへかぶったふぶきを除けていた。

 この紙ふぶきを巻いたのが、作曲家の八文字裕紀。最新作へ雅世が参加の交流があるそうだ。
 最後に、八文字の曲を演奏。くっきりしたメロディの穏やかなボサノヴァだった。約40分ほどの演奏。

白くまアリス
 (おおばんぶる舞:Steel pan,ds、笠原孝昭;b,g、山上晃司:p,key,b、にゃおい笑子:ds,p、菅原和輝:ss,ts)

 シンプルなポップスを基本はインストで演奏するバンド。スティールパン奏者のおおばんぶる舞がハイテンションでMCをつとめた。山上晃司はグランド・ピアノへ置いたキーボードをときおり弾く。

 ドラムが3拍目をモタったリズムで叩き、ベースがさりげなく締めるリズム。アンサンブルのPAバランスが難しく、後半でやっとピアノとキーボード、サックスとスティール・パンが上手いこと混ざって聴こえた。

<セットリスト>
1.この島で生きたい
2.Good morning
3.遠い昔の話
4.チャルダッシュ
5.くれないGirl
6.TOMATO
7.Change your heart

 アンケートに記載されたセットリストを引用。作曲クレジットは無し。
 突っ走る、舞の喋りの合間に演奏が続く感じ。ソロをピアノやサックスが取るが、あくまで飾り。書き譜が主体のアンサンブルだった。
 リード楽器をスティール・パンとサックスが分け合うアレンジが多かった印象あり。

 ピアノは基本的にあっさりした演奏だった。ところが(4)でピアノとスティール・パンのみの編成へ。ここではイントロから、流麗な鍵盤使いを聴かせた。
 モンティの"チャルダッシュ"は幾度か演奏したレパートリーらしい。緊張して「ちょっと祈るね」と告げる舞へ、「前に祈ったら間違えたじゃない」と、ピアノの山上が突っ込んだ。
 真剣な面持ちでスティール・パンが叩かれる。きれいな響きでまとまった。

 メンバーが戻り、舞がギロを弾きながら"くれないGirl"を歌う。次の曲だったか、歌の途中でいきなり舞が袖へ消えた。サックスからピアノへ、じっくりソロが回る。
 再び現れた舞は風船を身体や頭に巻きつけて、鏡餅のコスプレで現れた。
 そのままのスタイルで、ステージ最後まで通す。

 最後の曲は中盤で持ち替え発生。まずピアノがベースを持ち、ベースはギターへ行く。ほとんどギターが聴こえなくて残念。スティール・パンは鏡餅の風船を脱ぎ捨て、ドラムへ。ドラムはピアノへ向かった。
 舞のドラミングはシャープで、リズムがきれいに埋もれた。

 一曲終わったところで、ピアノに座ったにゃおい笑子がメンバー紹介。楽器は持ち替えた状態で紹介するのがおかしかった。約40分のステージ。

 ライブ本編はここで終了。3バンド共演のセットチェンジで、ちょっと時間かかる。実質、アンコール扱いか。スティール・パンはさすがに全部は乗らず、全部で3台。
 ギターとフルートが、ちょっと聞こえづらかった。

 演奏は3曲。1曲目はタイトル失念。あとは"スタンド・バイ・ミー"と"ラ・バンバ"を。
 ビートやグルーヴはさほど強調せず、煌びやかなスティール・パンを活かし、ポップなアレンジを取った。
 それぞれでソロが挿入される。田部井泰和が小節線を思い切りはみだすソロを、アコギで奏でた。アドリブはどれも3〜4コーラスくらいかな。

 "ラ・バンバ"でリード楽器へ順にソロが回る。舞が指揮状態でテーマの合間に、ソロを各ミュージシャンへ促した。
 最後がかなりどたばたに崩れて終わり、幕引き。休憩時間を入れて3時間ほどのステージだった。

 どのバンドも初めて聴いたが、ほのぼのポップスに和んだ一時だった。特にねこカフェの爽やかな演奏が面白かった。

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