LIVE レビュー
見に行って、楽しかったLIVEの感想です。
2007/8/12 吉祥寺 Mandala-2
出演:渋さ知らズ劇場
(片山広明,立花秀輝,小森慶子,川口義之,鬼頭哲:sax、辰巳光英:tp、スガダイロー:p、大塚寛之:g、関根真理;per,vo、藤掛正隆:ds、室舘彩:fl,vo、不破大輔:b)
ヨーロッパツアーを目前に控えた渋さの中編成。総じて満席程度の入り。
とにかく音がでかかった。あっという間に音が充満し、細かな部分は聴き取りづらい。音色も心なしかエッジが立っていた。
不破大輔はエレベのみを弾く。開演ぎりぎりに会場入りしたのかな?演奏前に一人、早弾きを取り混ぜながらベースを弾いていた。
開演時間を少し押し、メンバーが舞台へ乗る。ドラムの藤掛正隆は下手奥。
中央に関根真理の配置が新鮮。これまでぼくが見たステージでは、関根が藤掛の位置にスタンバイすることが多かったため。
不破の提案でいきなり"P-chan"から。ソロ回しはほとんどが片山広明の指示かな。
小森慶子は小さな笛らしきものをいくつかと、パンデイロを持ち込む。演奏の合間に奏でていたが、轟音に包まれほとんど聴こえず残念。
まっさきにソロを取ったのが立花秀輝。大塚寛之や小森、太田惠資らへソロが回された。
太田は赤の五弦エレクトリック・バイオリン。足元にメガホンを置くが、今夜は使わずじまい。豪快なフレーズで展開した。
ライブを通じて、ソロではあまり見せ場なし。むしろバッキングのストロークやリフでアンサンブルを支えた。
スガダイローがアクセントの位置をずらすピアノでリフをつくり、ほんのり抽象的な展開の"P-chan"だった。
立花と太田のチェイスでソロの応酬も、この曲じゃなかったか。
中盤で片山が無伴奏であれこれソロ。そしていきなりテーマへ戻った。
鋭い室舘彩のフルートが、僅かに耳へ届く。スガのソロは無伴奏で。
不破の合図で、ベースとドラムの強烈なビートがぶちかまされる。
「"犬姫"をやろう」
不破の掛け声で、室舘が"Song for One"を、そっと歌いだす。
"Song for
One"ではエンディング間際でドラム・ソロ。
シンプルなビートが手数多く、強靭に繰り出される。激しい打ち鳴らしが鮮烈だった。
鬼頭哲の長いバリトン・ソロも挿入された。メロディがじわじわと展開する。
前半はそれぞれ1曲を30分程度。たっぷりと演奏した。
<セットリスト>
1.P-chan
2.Song for One
<休憩>
3.股旅
4.サリー
5.ナーダム
8.仙頭
後半は"股旅"から。太田のバイオリン・ソロが厳しく轟く。脳髄へ突き刺さるような、ぎざぎざの響きだった。
小森のソロが関根や室舘のみのシンプルなバッキングで構成され、コンパクトな音像で展開した。
1stセット後半では全く弾かなかった大塚も、いくつかソロを。ボトル・ネックも使うが、アンサンブル全体を引っ張るまでには行かない。
むしろバイオリンの爪弾きが、ギター的な刻みを司った。
川口がハーモニカ数本を握り、立ち上がってソロへ。マイクスタンドのネジが締まらないのか、辰巳光英のマイクからネジを取り上げる。
半固定になったマイクを指で軽く押し、くるくるマイクを回しながら辰巳が苦笑い。
"大沼ブルーズ"を不破がいったん提案したが、曲は"サリー"へ。じわじわとテーマが侵食し、アドリブへ向かった。
この日はソロが回しの間、フロントの管は寛いだ面持ち。ペットボトルをミュートっぽくいじったり、扇子で扇いだりとリラックス。
しかしベースがしっかりと低音を受け持ち、藤掛や関根のビートとあいまって、音像はタイトさを維持した。
いきなり"ナーダム"のテーマが広がる。中編成ではありえない展開なのはわかってるが、たまにはこの編成で"本田"も聴いてみたいと思うのは贅沢か。
ソロ回しからテーマに戻る。太田はテーマを弾きながら、メロディを歌っていたようだ。大音量の中で、いまいち声まで聴こえず。
最後は"仙頭"でしめる。フルートを手に持つ室舘は、ぴょんぴょん跳ねた。
ショットガンっぽくフルートをかまえ、テーマの合間に客席へ向かって撃つそぶり。
演奏時間は2時間強とぶっ続けな展開。奔放な渋さを楽しめた。
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