LIVE レビュー
見に行って、楽しかったLIVEの感想です。
2007/5/1 入谷 なってるハウス
出演:渋さチビーズ
(小森慶子:as,ss,per、立花秀輝:as、不破大輔:b、磯部潤:ds)
磯辺潤がドラムのチビーズはほとんど聴いたこと無く、どんな叩き方か楽しみだった。
15分ほど押して、メンバーが舞台へ。立花秀輝がいそいそと電気を消す。後半セットでは「すっかり照明係が馴染んだな」とつぶやいてた。電気消してステージに戻るとき、妙に晴れ晴れした表情で面白かった。
不破大輔がメンバーへ一言、曲名のささやき。ウッドベースを弾く。
最初はアルコをちょっと。すぐに指弾きへ。スネアの響き線が共鳴し、びりびり音を立てた。
目を閉じて聴いてた小森慶子が、アルト・サックスを構えなおす。
一音、音を出した。さらに、音を足す。
磯部がシンバルを中心に、柔らかくスティックを回した。
やがて、小森のソロが口火を切った。
<セットリスト>(不完全)
1.行方知れズ〜犬姫〜大沼ブルーズ
(休憩)
2.?〜ダスト・ソング(*)〜股旅
3.行方知れズ〜仙頭
(*)"Lady's
blues"の間違いでした。Thank's to
よしのぎんじさま
上記はかなりあやふやなセットリスト。全ステージを通じて曲目紹介は無し。
テーマの明示すら無く、コード進行の感触から曲名を当てはめたのみ。まったく間違っているかも。
小森のソロは甲高く奏でられ、立花へ受け継がれた。がっつり太い響きで、メロディアスに組み立てる。次第に熱っぽさを増し、体を上下に振りながら激しいアドリブ。
メガネが今にも落ちそう。かまわずソロを続ける。
フレーズがついに一区切りつき、やっとメガネをかけなおした。
小森はステージ横で、パンデイロを勇ましく叩く。
今夜は立花が骨太に活躍。フリーキーさとメロディの操るバランスがばっちりだ。
フロント2管の掛け合いから互いのソロ回しへ。小森がフラジオ連発でぎしぎしとサックスを軋ませる。
立花も舌の上でマウスピースを咥える変則奏法で、強いタンギングを連発。
ぶかぶかと吹き継いで、猛烈なアドリブへ突入した。
不破はウッドベースを頭の上へ掲げ、音数は少なくグルーヴさせる。最初はハチロク、やがて5拍子。4拍子を挟んで3拍子、だったかな。場面ごとにリズムを変化させてるように聴こえた。
ずっしりとシンプルなリフが繰り返され、ぐいぐいとバンド全体を揺らす凄みがさすが。
磯辺はライブ冒頭のシンバル使いから、次第にスティックで鋭いドラミングへ。
前半はビート感を希薄に、やがてつんのめるリズムを提示。リフを組み立てながら、フィルもさりげなく挿入する。グルーヴの中で個性を滲ませるドラムだった。
場面によって、かなり拍子をぼやかせたリズムを取る。
不破のリズム・パターンと頭を合わせつつ、ドラムは4拍子でまわす。ぼくの耳では3拍子のベースに4拍子のリズム、7拍子や9拍子っぽい小森のサックスのフレーズに聴こえて。刺激的だった。
たぶん、1曲目は"行方知れズ"だろう。誰一人、テーマを奏でない。
やがてテンポがふわりと下がり、バラードへ変化。フロントのサックスが滑らかに旋律を漂わす。
コード進行の感覚が"犬姫"に似て聞こえた。汗を噴出させた不破は、ベースをじっくりとはじく。
この曲がいつの間にか、ぐっとゴツいイメージに。途中でドラム・ソロも挿入あり。
リフの連打からオカズが増え、力強く打ち鳴らす。ときおりひっくり返るが、基本はそれまでの演奏から、拍の頭を動かさない。
変拍子で音像を動かすでもなく、自己満足なロールに没入もしない。
クールな雰囲気を踏まえ、あくまでストレートにリズムと格闘するドラム・ソロだった。
そしてフロントのホーン隊のソロへ。ぎっしぎしにフリーキーなサックスのソロが轟き、二人で切りあったのはここだったか。
最後はテーマの変奏がサックスから飛び出す。
フェイクさせつつ、流れでコーダへ。すぱん、と着地した。
「・・・終わっちゃいました。ちょっと短いけど、休憩にします」
不破が苦笑いしながら、1stセットの終わりを告げる。約40分の演奏。
後半セットもウッド・ベースの無伴奏ソロから。今度もアルコを弾いた。
じっくりと低音を響かせ、指先でつっつくように弦を押さえフラジオを出す。
しばしのアドリブから、アンサンブルへ。磯部がシンバルを軽く打ち、小森がサックスを持ってステージへ上がった。
冒頭はミドル・テンポの曲。立花が熱くソロを繰り広げる。今度もメガネが今にも落ちそうな熱演。
小森が袖で、切なげなリフをそっと吹いた。聴き覚えあるが、曲名思い出せず。
ベースのリフが変わり、サックスも加わってコード感覚がうっすら出る展開に。"ダスト・ソング"の印象を受けたが、もしかしたらスタンダードかも。
小森がソプラノでソロを取ってたとき。袖に座った立花が、ボディへマウスピースをねじ込んだアルトで、鋭い音の茶々を入れる。
フラジオの数音ですかさず小森も反応。対話のような高音の飛びかいが産まれ、リズム隊は手を休めて二人の応酬を笑いながら聴いた。
2管のハイトーン合戦はやがてフレーズに収斂、リズムがすかさず入る。
いきなりディキシー調で盛り上がった。
改めてネックを戻したアルトで、立花がサックスをとどろかす。
不破のソロが無伴奏で登場。一瞬だけ早弾きもあり。全体はじっくりとフレーズを組み立てた。
弦が大きく震え、豪快で暖かいアドリブだった。
ドラムがハイハット中心の4拍子を叩いては消し、また叩く。シャープなアクセントでベース・ソロを盛り立てた。
フロント二人がステージへ上がり、すぱっと曲変換。
"股旅"だ。テーマ最後のドラムとベースによる、アンサンブルがすさまじくかっこいい。
ソプラノへ持ち替えた小森が優雅なフェイクで駆け抜け、立花はきっちりとテーマを吹く。そしてフリーに雪崩れた。
テーマを幾度か表へ出しつつ、アドリブに戻る。次第にテンションが高まる。
きっちりとコーダを決めた。大きな拍手。
そのまま不破ががっしりとベースのリフへ。即興から、2管による高らかな"行方知れズ"のテーマへ突入した。
ディレイのように音符を足す小森のフレーズが心地よい。
途中での咆哮もあり。裏声で叫ぶあまり、咳き込んで苦笑する立花。
インプロをはさみつつ、アウトロがきっちりと展開する。混沌を見事に着地させる、豪腕のエンディングだった。
一気に着地。
が、小森は切らずに残り、ぶぶ、ぶぶっ、と半身でサックスを静かに鳴らす。
いきなり不破が「わんわんわんわん!」と吼える。"仙頭"に向かった。
高速テーマをサックスはフェイクさせつつ、かっちりと吹く。でっかい音で猛然と決まった。
フロント2管が快調で、アドリブ合戦にアンサンブルにと大活躍。互いが遠慮せず長尺に吹き倒し、さらにバンドの組み立ても意識。リズム隊の威勢さもあいまって、濃密なライブだった。
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