LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

2006/11/21   新宿 Pit-Inn

 〜plays PINK FLOYD〜
出演:ALTERED STATES
 (内橋和久:g,Effects、ナスノミツル:b、芳垣安洋:ds、岡本 洋:Key,p、
  Guest::MAX:vo、久保田安紀,原みどり:cho、鬼怒無月:g、勝井祐二:vln、
  松本 治,青木タイセイ,足立恵子:tb、村上基,榊原聖人:tp、金津朋幸:sax、塚田珠美:SE)

 昨年に続く企画の、"Plays〜"ライブ。ピンク・フロイドを題材にした。
 実はさほど、フロイドは聴いたことない。今夜の豪華メンバーにつられて聴きにいく。
 そしたら会場は超満員でびっくり。立ち見が鈴なり、座った客は幾度も椅子を前につめるよう指示が飛ぶ。すさまじい混みっぷりだった。
 アルタードの動員力とゲストの豪華さ、フロイドのファン(?)が詰め掛けたか。
 曲が終わるたび、野太い歓声が立見席から飛ぶ。客層も心なしかスーツ姿を普段より多く見かけた。

<セットリスト>
1.原子心母
(休憩)
2.The Dark Side of the Moon(全曲?)
(アンコール)
3.Shine on You Crazy Diamond

 ちょっと自信ないセットリストですが。
 ライブを聴くまで、フロイドの曲を題材にインプロ混ぜるかと期待してた。ところが完コピ状態で唖然。ここまでストレートなカバーか。

 ちなみに小文冒頭に記載のメンバーは、ピットインのHPより引用。実際はコーラスとトランペットにもう一人づつ加わった。
 ゲストの使い方もめちゃめちゃ豪華で贅沢だった。たとえばホーン隊はサックスを除き、(1)のみに参加。
 勝井に至っては、(1)でバイオリンのフレーズを弾くのみ。ソロもなし。鬼怒はアンコールにだけ登場なありさま。すごい。

 演奏開始にてこずったが、まず客電が落ちる。下手側に集まったホーン隊へ、松本が指揮をした。若手メンバーが多かったが、松本の生徒たちか。
 松本が振る腕の動きが、なんだか奇妙で目を引く。変拍子かな。

 ホーン隊による、ちょっと歪んだファンファーレにのって、一気にバンドが弾けた。
 "原子心母"を聴くのは"20年ぶり。細かなところは覚えてないが、聞き覚えあるフレーズが連発し、コピー状態とわかった。曲をちゃんと聴いてたら、面白さが増えたろうな。
 ちなみにブラス・アレンジは松本だそう。休憩時間にカウンターへ彼が歩くとき、持ってる譜面が一瞬見えた。丁寧な音符がぎっしり。

 これまた豪華な女性コーラス陣がぶあついハーモニーを乗せる。
 なお内橋はこの曲でのみ、譜面を使う。あとは暗譜。"原子心母"ではコーラス隊にくわわり、ハーモニーを混ぜる活躍ぶり。ときおり楽しそうに笑顔をこぼした。
 立ち上がった勝井がバイオリンのフレーズを弾く。終わると座っているのみ。これで出番、終わりなんて・・・もっと聴きたかった。
 
 途中で内橋のギター・ソロ。これはアドリブ?完コピなら、別の意味ですごい。
 この日はギターへさまざまなエフェクトを噛ませる。ときおりピックを口にくわえ、ボトルネックも多用した。

 ベースとドラムのサウンドも肝。着実なベース・ラインがそっくり。ドラムはシャープながら、時折ずしんと響かせる。
 ホーン隊やコーラスを駆使し、"原子心母"を再現して、約20分強。ここであっさりと休憩に入った。

 セッティング変更やスピーカーから漏れるノイズ除去にてこずったあとで、2部の始まり。
 ぐっとシンプルな編成で、アルタード+keyとsaxにサンプラー、そしてMAXのボーカル&ギターに、久保田安紀、原みどりのコーラス編成。
 曲はLP"Dark side of the moon"。10年以上聴いておらず自信ないが、どうやら1曲目から最終曲までLP一枚をカバーしたようだ。
 演奏時間は40分強。若干短いので、もしかして数曲カットしたかも。

 キャッシャーの音やモノローグをはじめ、さまざまなSEまで完全再現する凝りっぷり。
 MAXのボーカルが入ると、つい彼へ目が行ってしまう。"Money"などでは、腕をぐいぐい振りながら演奏に載る。インストの間も、のりのりだ。声はリバーブをずどんとかけ、曲によってはディレイ効果もきっちりと。
 発音はもちろん問題ない。ボーカルの感じもオリジナルと似ている。

 なんだかアルタードをバックに、フロイドのカラオケを見てる気分になってしまった。ぼくがフロイドの大ファンじゃないせいか。キーボードが延々とリフを連ねるのは、どうも冗長さを感じてしまう。
 オリジナルと変わらないのは、良くわかってるんだが。
 ちなみに今夜はライティングもピットインの機材で凝った。スポットがあちこちで派手に切り替わる。

 全てメドレーで"Dark side of the moon"を披露。
 しみじみと歌い継ぐ曲は、とてもこなれたつくりだと実感した。
 コーダのとたん、大きな野太い歓声が、いっせいに起こった。

 アンコールでついに鬼怒無月が登場。MAXやsax奏者も残る編成で、"狂ったダイヤモンド"をがっつりと。
 ギター・ソロでは鬼怒のチョーキングが冴え渡る。たっぷりと熱いギターをばら撒いた。
 とはいえ彼も出番ここだけって物足りない。もっと聴きたいな。

 ライブはここで終わり。22時半くらいか。特に2部の濃密さが心地よかった。アルタード名義だと即興を求めてしまうが、こういうアプローチも愉快だ。

 "吹けよ風、呼べよ嵐"や、"The wall"からの曲も聴きたかったな。"コンフォタブリー・ナム"〜"ラン・ライク・ヘル"へ至る部分とか。
 最後に全員をステージに上げて、内橋がメンバー紹介。次回も考えているらしい。楽しみ。
 希望を言うなら、シカゴの1stとか、ザッパの"YOU ARE WHAT YOU IS"とか。ぜひ。

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