LIVE レビュー
見に行って、楽しかったLIVEの感想です。
2006/8/19 西荻窪 アケタの店
出演:明田川荘之ソロ
(明田川荘之:p,オカリーナ,key)
数ヶ月ぶりに明田川荘之ソロへ行った。アケタの店の深夜月例ライブに。
店へ入ると、ステージ中央にキーボードが一台。明田川がスタッフとセッティングの調整をしていた。
彼の深夜ライブで、キーボード聴くのは新鮮だ。ピアノの調子が悪いのかと思ったら、そんなことはない。マイクはすでにセッティングされている。たまたま、かな。
0時15分頃ステージは始まった。まずはピアノの前へ座り、リバーブを効かせずにアドリブを奏でた。"I'll close my
eyes"だろうか?曲はいつしか、"テイク・パスタン"に変わった。
テーマを生かしながら、常にフェイクさせるアドリブを多用する。
ビーチ・サンダル姿の気楽な足先が、ペダルをおもむろに踏んだ。ためを少なくし、平板な音のつらなり。まだピアノの一部はホンキートンクなままのよう。
ルバートを控えめに、ころころと音が弾んだ。
今夜はMC無し。メドレーで曲を続ける場面も多数あった。俯き加減で次々曲を変える。無造作にオカリーナを取り出し、ふと立ち上がってピアノからキーボードへ移る。自然体の演奏スタイルだった。
10数曲演奏したと思うが、セットリストは不明なため割愛させてください。
3曲目くらいで、すっとキーボードの前へ。曲名を呟いたようだが、拍手にかき消され聴こえなかった。エレピの音色のみを使って弾く。
指がすいすいと鍵盤上で動くさまを、じっくり見えて新鮮だった。さっそく右腕全体を使ったクラスターも登場する。
左手は単一コードを、延々とランニングする。右手がテーマからフェイクし、グルーヴィに動く。とうとう最後までワン・コードだった。
聴き覚えあるが、タイトルを思い出せず。"マジック・パルサー"かなあ?"
これ一曲でキーボードの前から離れてしまう。ピアノの前へ再び腰掛けた。
次はメロディがくっきりした佳曲。聴き覚えがあまり無い。
明田川流のロマンティシズム溢れる、いい曲だった。
小さなオカリーナを持ち出し、汽笛のように鳴らす。ピアノをぽろんと鳴らし、しばらくソロを、そのまま吹いたと思う。
ピアノの上へオカリーナをおき、ピアノのアドリブへ。やがて、テーマがくっきりと現れる。"A列車で行こう"だ。
オカリーナとピアノで交互に即興を入れながら、軽快にピアノは響いた。
もう1〜2曲、ピアノでやったかな。そのあとで、再びキーボードの前に明田川は座った。
今度も聴き覚えあるが、タイトル思い出せず・・・。腰を据えたセンチメンタルさが滲んだ。
テーマはすぐにフェイクされ、果てしないアドリブにもつれた。
アドリブでは区切りごとに、演奏中に音色を変える。プリセットボタンを押して、フレーズのポイントで切り替えていた。
リバーブのかかったエレピ、チェンバロ、オーケストラ風など。
後半ではエレピとオケの音源を交互にボタンで呼び出し、素朴な温かい演奏を提示した。
弾いてるうちにテンション上がり、ぐんぐんテンポが速くなった。
ピアノへ戻った明田川は、ごそごそとアタッシュケースを探っていくつものオカリナを持ち出す。特大のオカリーナをそっと吹いた。ひとしきりアドリブ。持っていたのを横へ置き、極小のオカリーナへ持ち替える。
鍵盤へ移ると、日本調のメロディに鳴った。アドリブではひとフレーズ毎に楽器を持ちかえる。僅かに空白時間が発生するが、気にしない。
慌てたり、せわしない楽器交換がない。あくまで体内ビートに沿って、落ち着いて楽器交換する。
足ふみでかすかに聴こえるビートは変わらない。だからノリが断続されずに心地よく聴けた。
ピアノのアドリブが高まり、早いパッセージへ。クラスターに雪崩れる。
幾度か激しく鍵盤を叩きつけ、すっと演奏を終らせた。
「ちょっと休憩します」
明田川が微笑んで呟く。時間は深夜1時半くらい。まだ続けるのか。すごいな。演奏開始、しばらくしてから入店した観客へ気を使ってるのかも。
10分ほど休憩あり、ピアノの前へ座る。軽く調律をして再開した。
すぐに熱っぽいピアノ・ソロへなだれ込む。コード進行は"アローン・トゥギャザー"。テーマの旋律は断片だけ残し、アドリブの連なりで曲を表現する。
じわじわとアドリブが高まり、テーマの比率が強まった。テンポがころころ変わり、柔軟にノリが揺る。
そのままメドレーで"アフリカン・ドリーム"へ。クラスターが幾度も炸裂した。
さらに別の曲へ行ったと思う。激しく鍵盤が炸裂、内部奏法も飛び出した。
クラスターまみれのコーダへ。明田川は顔を高潮させ、肩で息をしていた。
しかし、まだライブは終らない。さらにキーボードの前へ座った。まずはエレピ音色でテーマを弾く。曲が思い出せない・・・"シチリアーノ"かな?
テーマの一節をループさせ、その上でアドリブをかぶせた。ストリングス音源とエレピ音源を交互に呼び出し、ずぶずぶとソロが深まる。
めったに明田川のキーボード演奏は聴かないぶん、ストリングス音色のソロが新鮮だった。べったり指を押し付け、白玉も効果的にアドリブへ盛り込んだ。
キーボードではクラスターを炸裂させず、そっと終ったと思う。
にっこり笑って、終演を告げる明田川。そのままステージを去る。
時間はすでに夜中の2時20分。2時間近く弾きまくってたのか。特大ボリュームなライブに大満足。