LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

2006/6/24   西荻窪 アケタの店

出演:マルハウス
 (石渡明広:g、石田幹男:p、上村勝正:b、外山明:ds)

 マルハウスのライブは01年9月ぶりに聴く。コンスタントに活動してたかは、不勉強で知らない。
 ざっと調べたところ、03年1月にアケタで演奏したときは五人編成のまま。しかし04年7月時点ではホーンの二人が脱退(?)し、トリオでステージへ立った。
 今夜はピアノ入り、ホーン無しの変わったマルハウス編成。楽しみ。

 観客はぎっしりで丸椅子も出る満員。20時20分ごろ、おもむろにライブが始まった。
 いきなりシャープな石渡明広のギターが炸裂し、上村勝正の膨らみある高速ランニング。グルーヴがどぷっと溢れた。
 外山明は突っつくようなスティック使いで、シンプルなドラム・セットをランダムに叩き、リズムに幅を持たせる。とても気持ちいい。

 ピアノの石田幹男は初めて聴くが、若そう。身体をつっこみ、立ち上がってピアノを弾き殴る。動きの割りに音数は少なく感じた。
 陶酔してフリーに叩くが、音がちょっと古い。どんなにフリーに叩いても、スピード感もマルハウスの鋭いサウンドとはベクトルがズレて聴こえた。

 曲目紹介はまったくなし。数曲はマルハウスのレパートリーで聴き応えあるくらい。
 石渡は帽子を目深にかぶり、高速フレーズをびしばし決め倒す。エフェクターでほんのり膨らませた音色は、キラキラ輝いて駆け抜けた。

 ソロはギターとピアノの交換がメインで、ベースもドラムも前へ出ない。
 矢継ぎ早にベースを弾き倒す上村だが、かなり譜面が細かそう。曲によっては手を休め、グルーヴを断ち切る場面もあった。
 2曲目だったかな。やたら長い譜面は台からこぼれ、弾きながら首をかしげて覗き込む仕草がユーモラスだった。

 外山は数曲演奏したあたりで、立ち上がって叩き出す。
 トリッキーなリズムを繰り出す一方で、ハイハットが規則的に動くさまがかっこよかったので、座ったプレイが少なく残念。
 どの曲だったか、ハイハットでトリルを出すパターンが綺麗だった。

 ハイハット踏んで叩き、叩いた後に踏んで叩き、踏みながら叩き、叩きながら踏んで余韻を消す、など。
 さまざまなパターンを足で調節し、多彩な響きで楽しんだ。
 別の曲ではスティックを打面へ垂直に立て、上からそっと落とす響きも。
 リズムの頭をさんざんずらし、リムショットやシンバルの特殊打法など、さまざまに自由な奏法を連発した。
 そこでなおかつ、演奏が盛り上がると連打のビートでせまりくる。
 小編成で外山のドラムを聴くと、とにかくかっこいい。
 ちなみに2曲目では、演奏中にクラッシュ・シンバルを交換しだす。響きが気に入らなかったのか。

 ソロ回しでやたらに延ばすことはなく、曲によっては数分であっさりと終ってしまう。
 一曲終ると石渡は、曲名らしきものをメンバーへぼそっと呟き、次々にステージを進行させた。MCはメンバー紹介くらい。

 前/後半ともに50分程度のステージ。
 前半では聴き覚えあるマルハウスのレパートリーを演奏したが、けっこうアレンジを変えてる気がした。曲名思い出せない・・・。

 後半はさらにテンションが上がる。ピアノへスペースを空けるそぶりを石渡が見せ、いざギターソロになると指がめまぐるしく動いた。
 "Hot Brain"ではイントロのリフをたっぷりギターがリフレイン。ピアノがちょっとアドリブを入れ、一気に猛烈なテーマへ流れる。
 ギターでテンポをそのまま弾ききった。

 いきなり後半は立ち上がった外山だが、途中からは座って叩く。
 無造作に圧倒的なグルーヴを繰り出す上村と絡んで、リズムはさらに複雑に鳴った。

「そんなに遠くないので、ぜひ来てください」
 最後に今年の北海道で予定されるイベントの紹介を、軽く石渡が話す。
 そして一曲、アップテンポで激しく弾きまくった。

 ホーン隊が抜けたことで音の輪郭がシャープになり、ギターのソロがたっぷり聴けるのが嬉しい。
 個人的にはドラムとベースのみ、トリオ編成が好みかな。
 着実に活動を続けて欲しいバンドだ。とにかくリズムとギターの絡みが素晴らしいんだ。

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