LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

2006/4/8   表参道 BLUENOTE TOKYO

出演:アル・ディメオラ 
 (Al Di Meola:g,Mario Parmisano:key,Victor Miranda:b,Ernie Adams:ds,Gumbi Ortiz:per)

 約1週間のブルーノート公演の終盤、土曜日の1stセットを見た。このセットはソールド・アウトだったらしい。熱心なファンも多く、アル・ディメオラらが登場した瞬間から、大きな声援が飛ぶ。アルもごきげんで熱いライブとなった。
 ちなみにぼくはこの日、初めて彼の音楽聴いた。名前は知ってたが、早弾きのフュージョン系ギタリストってイメージくらいかな。そのためかなりピンボケな感想になってるかも。

 冒頭に軽く挨拶し、あとは1時間10分ほどのステージを駆け抜ける。曲の切れ目は一応あるが、間を置かず次の曲へさくさく進む、スムーズなステージングだった。かなり計算されてそう。
 ブルーノートは初めて行ったが、どうも低音が良く聞こえない。もこもこの団子になっており、キーボートとギターを強調するPAだった。

 エレキギターを中心に弾き、仕草はショーマンシップに溢れる。
 早弾きしながら体の方向をあちこちへ満遍なくかえた。観客にネックの上を走る指先が、良く見えるような心配りだろう。
 その冷静さゆえ、アル自身が音楽へ没入するように見えなかったのが残念。

 サウンドは予想以上にラテン風味が強い。あとはスパニッシュやタンゴか。アドリブあっても、全て書き譜みたいにキッチリしたメロディ使い。バンド全体のサウンドも、あまりにタイトで破綻なかった。
 
 バンドは、とにかくベースが抜群。エレクトリック・アップライト・ベースを中心に、ときおりエレベを弾く。リズム感が素晴らしく、すぱすぱ貼りつくように低音リフを決めた。
 こういうミュージシャンがさりげなく来日するあたり、アメリカの層の厚さをしみじみ思う。

 次にリズム感良かったのがパーカッション、そしてドラムかな。キーボードはいまいち。
 サウンドに厚み出す役割と思うが、むしろギター一本でソリッドなアレンジのほうが、いろんな意味でアルが映えたろう。
 確かにキーボードのオブリで分かりやすい。しかしリズム感が他のメンバーと違うために、アンサンブルがボケてしまう。

 アルは縦のリズム感はばっちり。前後にアクセントをずらすことなく、ただただフレーズを叩き込んだ。
 イントロが流れるたびに大きな歓声が飛んでいた。たぶん有名曲が中心なセットなんだろう。

 ソロ回しは終盤まで無し。ほぼギター中心の構成。しかしアルが3曲目あたりでアコギへ持ちかえるときなど、さりげなくガンビ・オーティスのジャンベで間を繋ぐ。
 いったんパーカッションがフレーズを叩くと、アルがじろりとガンビを見つめる。手を止めて照れ笑いのガンビ。
 また視線を伏せてアコギを準備するアル。再開するガンビ。またアルが見つめる。
 "だるまさんが転んだ"みたいな、笑いを誘う演出もあった。

 ドラムはアクリル板でパーテーションされた。シンバルの繊細な響きがスピーカーからこぼれたので、細かな音を拾うためにアクリル板を立てたのかも。
 客層と店のカラーから考えにくいが、ドラムをもっと奔放に叩かせて即興度を強めた演奏も聴きたかった。

 ライトがちょっと凝ってるくらいで、派手な演出は何も無し。それでも華やかさを常にキープしたのは、アルの人柄とアップテンポでハイスピードな曲調のなせる業か。
 弛緩せずに1セットを聴けた。1時間強で退屈させたら、話にならないか。時にガンビが観客へ手拍子を促し、盛り上げを加速させる。

 最後は各メンバーにソロを取らせ、ぐっと盛り上げてエンディングへ。
 メンバー紹介をしたあと、「そして知っての通り、わたしの名前は"渡辺香津美"です」と、アルが笑わせてステージを降りた。

 幾人も観客が立ち上がり、アンコールをうながす。大声援の中、再びメンバーがステージへ戻った。
 「グレート・オーディエンス!」
 と、アルはにっこり笑う。最前列の観客とがっしり握手し、ピックを握らせた。

 「ブルーノート・"ロック"・クラブへようこそ!」
 にこやかに宣言し、ハードロック調のギターリフ。観客の声援が、ひときわ大きくなる。
 存分に早弾きをアルがきめまくり、ベースのヴィクター・ミランダもステージ前方へ。アルは上手から下手まで歩き、存分にギター弾く姿を披露した。
 約1時間半。ぎゅっと自らの魅力を凝縮させる、計算の行き届いた緻密なステージだった。
 
<参考セットリスト>ブルーノートのHPより引用。
2006 4/6(thu.)1st setのリストです。ぼくが聴いた日と、曲名違っているかもしれませんが、参考として記しておきます。

ONE NIGHT LAST JUNE
INNAMORATA
AZZURA
C#m
Dm
SENOR MOUSE
FUGATA
RACE WITH DEVIL ON SPANISH HIGHWAY

目次に戻る

表紙に戻る