LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

2005/12/31   西荻窪 アケタの店

出演:年末恒例アケタの店オールナイトJAM
 (p:小太刀のばら,米田正義,清水くるみ、b:小林陽一,山崎弘一、
    ds:野崎正紀、本多滋世、sax:藤川義明,高橋知己、g:津村和彦
  明田川荘之:p,オカリーナ)

 大晦日恒例、アケタの店オールナイト・ジャム。昨年は第三部のみジャムだった。しかし今年は前回の座長が1部と3部それぞれを受け持つ、拡大企画となった。
 清水くるみが冒頭で一言挨拶。演奏は他の人に任せ、すぐにステージを下がってしまった。そのため今回も、ゆったりモードでセッションが進む。
 曲はスタンダードばかりだでは。曲名思い出せない・・・。フリーな展開は特に無く、ストレートなジャズをたんまり弾いた。
 メモを取らずだったので、記憶頼りで印象を書き残します。

 最初は小太刀のばら、小林陽一、野崎正樹のピアノ・トリオ。やわらかい小太刀のタッチは前のめりな意気込みを、やんわりとなだめた。野崎正紀のビートは、がつがつと刻む。ソロになるとときおり表裏拍を入れ替えた。 
 8バーズ・チェンジをはさみ、ゆったり演奏された。

 ここへ藤川義明が加わる。最近はスタンダードをアケタで演奏してるが、ジャムセッションは初めての体験だそう。
「ふだんはゲボゲボなフリー・ジャズをやってます」
 挨拶のあと、ぱあんと響くアルト・サックスを披露。フリー要素はまったく無し。ひたむきで真面目な響きだった。
 
 彼のサックスが、今夜一番の聴きもの。
 スタンダードを演奏する彼は初体験だが、ここまでまっすぐなジャズとは思わなかった。イースタシアでのサックスともまた響きが違う。
 アドリブのラインも滑らかで迷いが無い。背筋を伸ばしたジャズだった。
 
 次の曲では、のっそりと高橋知己が加わった。テナー・サックスを抱え、客席袖で演奏を聴く。アドリブからおもむろに、ステージへ姿を見せた。
 サックス二本から、リズム隊へ。まわされるソロはどれも寛いだ響き。

 ライブは数曲ごとにメンバーがくるくる変わる。小太刀が下がり、米田正義が現れる。
 風邪なのかマスクをつけていた。巨体を屈めるように、繊細なピアノを。
 続くピアノは清水くるみ。こちらは小柄な体から、豪快で迫力あるピアノを響かせた。
 すでにリズム隊は山崎弘一と本多滋世に。藤川は下がり、フロントは高橋だけだったと思う。
 山崎弘一のベースは、粘っこくて良いな。大きな身体でわしづかみにするベースは、小さく見えた。本多滋世は初めて聴いた若手女性ドラマー。
 手首を立てて、シャープにライド・シンバルを刻む。今後の活動が楽しみ。彼女は2曲叩いた。スローな曲だと、ちょっと堅いところも。

 いったん休憩を挟み、2ndセットはギターで津村和彦も加わった。
 エフェクター無しでアンプへ直に繋ぎ、するするとアドリブを伸ばす。
 津村が加わって"アローン・トゥギャザー"を弾いた。あれ?津村は1stセットで登場してたかな。記憶があいまいです。
 確かこのとき、サックスは高橋。リズム隊は山崎、野崎に清水だと思う。

 遠慮がちにセッションが進む。ぴりっと場が閉まるのは、やはり藤川がサックスを吹き、山崎がベースを持ったときか。清水のはじけるピアノも良かったな。
 ゆったりした気分で、セッションは幕を下ろした。

 第二部は明田川荘之のピアノ・ソロ。23時半をまわった頃、無造作に演奏が始まった。
 最初の曲は"Dear old forks"と聴こえたが、今ひとつ自信ない。呑んで酔っ払ったと呟いてピアノを弾く。そのせいか、ふだんより奔放な演奏だった。

 続いて"Strange wood blues"。早くもクラスターが次々飛び出す。いきなりのハイテンションだった。演奏は休まず弾きつづける。ふっと時計へ目をやったのが、ちょうど0時。あの時間感覚がすごいな。
 オカリーナでトッカータ風の演奏を挟み、"侍日本ブルーズ"へ。テーマはみるみるフェイクされる。唸りながら、ピアノを弾きまくった。
 
 次々と曲が続く。粘っこくピアノが奏でられた。クラスターは肘打ちから尻落としまで。足でガツンと鍵盤を踏みつけるシーンもあった。
 ときおり弾きやめ、ピアノの上に置いたグラスをぐびり。客席から笑いが漏れる。
 時間はおよそ一時間強か。クラスターがみるみる激しくなり、最後はピアノの譜面台をえいやっと持ち上げ、ライブを終らせた。
 センチメンタリズムは控えめ。正月をパワフルに迎えたステージだった。

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