LIVE レビュー
見に行って、楽しかったLIVEの感想です。
05/11/3 上野毛 多摩美大
〜多摩ダ美:多摩美術大学造形表現学部 芸術祭〜
出演:渋さ知らズ
(sax:片山広明,佐藤帆,小森慶子,立花秀輝,川口義之,鬼頭哲,広沢哲、tb:田中あにき(?)
tp:北陽一郎,辰巳光英,tuba:高岡大祐,g:大塚寛之,斉藤社長良一,
b:ヒゴヒロシ、key:中島さちこ、per:関根真理、ds:磯部潤,倉持整
vo:渡部真一、室舘彩、dance:さやか,ペロ,東洋,ちえ,シモ,
ダンドリスト:不破大輔)
学園祭へいくのひさしぶり。キャンパスはあんがいこじんまり。
美大の中へ入るのは初めて。教室の床に散った絵の具すら新鮮だった。
進行は50分ほど押して始まる。メンバーが三々五々ステージへ上がり、マイク・チェックを綿密にやっていた。
ところが演奏始まったとたん、かなり細部がもやける音像で戸惑う。あの落差はなんなんだ。PA前の中央で聴いてたのに・・・。
ソロの過半数が音圧しか聴こえず。フレーズの細かいとこはさっぱりという、しんどい状況だった。
メンバー表は地底新聞をもとにしています。若干入れ替えがあるかも。
嬉しいことに室舘も参加。元気に飛び跳ね、フルートにテーマのハミングに参加した。
<セットリスト>
1.?(新曲?)
2.股旅
3.ライオン〜fishermans's
band(?)〜ライオン
4.ナーダム
5.本田工務店のテーマ
6.千頭
サウンド・チェックが終わるなり、順繰りに音を出していく。なし崩しに演奏が始まった。
大きく上がる、学生たちの歓声。じきにさやペロも登場する。
ガウンを着た白塗りも姿を見せ、中央のせり出しを使って舞った。
上手奥ではVJあり。ステージ後方ではペインティングまでいる。同時進行でいろいろ進む渋さのステージングらしい演出だ。
じわじわ音が膨らみ、ビッグバンド調のテーマが流れた。どうやら新曲らしい。
不破はまさに指揮者のポジションだった。ずっと4拍子や3拍子を腕を降り提示する。なぜだろう。リズムキープがそんな難しい曲なのか。
たしかにドラムス二人がジャストで叩きつつも、ダンサブルではなかった。
時にくわえタバコで、不破は幾度も両手を高く上げる。
曲をブロックにわけ、ハンドキューで飛ばす。このアレンジは渋さで目新しくないが、ソロと入れ子構造が新しい。
かっちりコントロールされ、不破の指一閃できれいに音を切り落とす。
聴こえる音は尖がっているのに大騒ぎする観客、って構図の異様さが痛快だった。
今の渋さは複数のソロが並行する混沌を控えめに、よりアンサンブルへ軸足置いたアレンジって気がした。
ハンドキューがシャープに決まるからこそ、PA不調が無念・・・。
ホーンズのソロを抜き出し、全体のブレイクをいくどか織り込む。
全員でテーマを盛り上げ、とつぜん休符でホーンやドラムが完全ソロで演奏するさまがいかしてた。
1曲目かどうかあやふやながら。川口のハーモニカや、ドラムス二人とヒゴのみが抜き出される瞬間はゾクっときた。
一曲目だけで30分ほど。手をかえ品をかえ、さまざまにアヴァンギャルドなジャズを膨らませる。とにかく楽しめた。
コーダから間をおかず"股旅"に。観客の体は揺れるが、まだまだ渋さは踊らせない。
これまた30分近く。上手奥の台で、白塗りの女性がくるくる舞う。
片山のソロが強烈に轟く、オリエンタルな"股旅"だった。
ダンサブルさより、濃密なソロとアンサンブルの交錯に重点が置かれた。
バンドをブレイクさせ、小森と立花、鬼頭の並行ソロにエレキギター二人をぶつけたのがここかな・・・。
もっとやれ、と不破がエアギターで斉藤をあおった。笑いながら斉藤は、ギターを差し出す。残念ながら不破はギターを受けとらなかったが。
むくりと、耳馴染みあるメロディが流れる。
リズムは堅くテンポは遅め。"ライオン"あたりから、渋さの音楽がシンプルになった。
そして渡部のあおりで"fishermans's
band"に。
ここからはずぶずぶの盛り上がり。観客が前へ押し寄せた。
ソロは依然聴き取りづらいがアレンジがシンプルなため、ノリやすい。わっさわっさとステージ前でモッシュ。
白塗りダンサーは入れ替わりたちかわり登場した。現れるたびに、体の表面がカラフルにかわる。
あれは東洋かな?体の半身が黒の斑点でおどろに塗りたくられた。
渡部が熱唱した"fishermans's
band"はゆるやかに"ライオン"へ着地し、"ナーダム"へ繋がる。
サーチライトがぎらりと、ステージを照らした。
すでにとっぷり暮れている。宵闇へ凝らしてた目へ、光がまばゆく刺さった。
ステージはとにかく一曲をたんまり時間とった。すでに1時間半くらい経過のはず。
民家に密着したキャンパスのためか、時間制限ありとのこと。
早くも"本田工務店"のイントロ。ギターが鳴って、ホーン隊がぐるりと手を回した。
ダンサーも全員あらわれた。幾人かは、どっぷり真っ黒。黒塗りだったな。ステージ前はわやくちゃになっていた。
最後は"千頭"。渡部が観客をあおりまくる。地響きするほど観客がいっせいに飛び跳ねた。
そのままアンコールなしで幕を下ろした。だいたい2時間くらいかな。
ステージにはダンサーや渡部、さやペロが残る。カーテンコールのように手を繋ぎ、なんども頭を下げた。
メンバーはどんどんステージを降りる。そして不破も、姿を消した。
オーケストラをここ何度か、イベントで聴いている。混沌さがぬぐわれ、シャープさが前面のアレンジが興味深い。ソロの長回しも控えめで、くるくる場面転換あり。
学園祭なのに、実験的なシーンも演奏してしまう太っ腹が渋さらしい。遠慮なく煮詰めるのは、ピットインだろうか。
今志向するアレンジをもっと聞いてみたい。5日の渋さ劇場で味わえるかな?