LIVE レビュー
見に行って、楽しかったLIVEの感想です。
05/9/26 西荻窪 音や金時
出演:JAZICO
(井上憲司:Sitar、宮野弘紀:g、山田晴三:b、吉見征樹:tabla、太田惠資:vln)
JAZICOの音楽は初体験だ。音金の7周年を記念し、5年ぶりくらいのライブという。店はファンで満杯になった。
なお、結成は1991年12月12日。井上憲司は「1992年結成かな?」と言うが、太田惠資が訂正。当時のチラシを持ってきていた。物持ちいいなあ。
井上らも「すっかり忘れてた」と感嘆する。
ステージは中央に高台を置き、シタールを持った井上が座った。その左右に他のメンバーが位置する。全員が座っての演奏がなんだか新鮮な絵面だ。
素足を隠すためだろう、井上は足にタオルをかけていた。仕草がシタール奏者の正式スタイルなのかは知らない。でも、印象に残ったよ。
<セットリスト>
1.クリスティ
2.アクア・バラクーダ
3.ドボン
4. ?
(休憩)
5. ?(宮野+山田)
6.エリナー・リグビー(太田+吉見+宮野)
7.アレキサンドリア
8.シタール・ソロ〜桃山桜
(アンコール)
9.クリスティ
JAZICOはCDを出してるが、聴いたことなし。
当日のMCを基にした不完全セットリストです。
ワイン片手にした太田が「酔っ払った〜」とステージ開始から言い出す。
「なら、早い曲からやろう」
そんな井上の提案で"クリスティ"が演奏された。今夜のレパートリーで、一番気にいった曲がこれ。
すっばらしく軽快なメロディと、ふくよかなアンサンブルにやられた。
シタール、バイオリン、アコギが産むメロディだけじゃない。吉見征樹のタブラがぶいぶいリズムを揺さぶる。
そして山田晴三のベース!柔らかく弾む低音が、とんでもなく気持ちよかった。
冒頭は太田が長尺のソロを、アコースティック・バイオリンで弾く。
しだいに井上や宮野がメロディアスなバッキングで絡んだ。
ソロはシタールやアコギへ。井上のシタールは柔軟なフレーズ作りで、アイディア豊富に展開した。
続く"アクア・バラクーダ"は山田がカリンバも披露する。
オルゴールのようなメロディが心地よかった。宮野のアコギのソロも凄い。
ガット・ギターのフレーズはめまぐるしく躍って止まらない。
曲の間は太田と吉見のMCが繋ぐ。
シタールは特にチューニングが時間かかるため、昔からの流れだそう。
太田や吉見と二人はトークショー的ライブすらあるけど・・・切っ掛けはJAZICOだったんだ。
"ドボン"はくいくい押すテーマのフレーズがキーかな?山田がじっくりベース・ソロを奏でた。
とにかくアンサンブルが聴き応え満点。ユニゾンから全員の絡みへ繋がる響きが抜群だ。
チラシで楽器編成を見たとき、もっと異物なサウンドを予想してた。とんでもない。
全員の楽器がしっくりまとまり、ふわりと膨らんだ。
この日は控えめながら、太田はボイスも聴かせる。最初に歌ったのは("ドボン"だっけ?
別の曲では、さりげなくタールも叩いてた。
吉見のターラも(4)で炸裂。高速口タブラに挨拶を織り込み、観客から喝采を浴びた。
とにかくどの曲もソロが長め。しかも全員がアイディア満載のフレーズを提示し続け、まったく弛緩しなかった。
「解散した覚えはない。これからまた活動したいと思います」
後半セットで井上が宣言し、大きな拍手が起こる。
「月に一回とか。・・・これが週一回になったら、『もういい』って言われるんだよな」
まぜっかえしたのは、吉見だっけ?
後半セットは"ばら売り"と称し、小編成のアンサンブルが2曲あり。
まず宮野と山田のデュオ。山田が英詩のポップスを歌う。"Hundred
miles〜♪"ってリフレインが耳に残る。カバーかな?原曲は思い浮かばず。
山田はカリンバを弾きながら歌った。渋く通る、いい声だよ。歌モノのライブも成立しそう。
カリンバはパーカッションとしても、鳴るようなセッティングらしい。大ぶりなボディを前後に振って、しゃらしゃら鳴らしてた。
宮野が前面に出たのは続く"エリナー・リグビー"にて。むろん、ビートルズのカバー。インプロ中心のインストでアレンジした。
太田はこの曲だけ、エレクトリック・バイオリンへ持ち替え。
アコギからバイオリンへ。冒頭の旋律が繋いでつむがれた。
ソロになったらスリルたんまり。いきなり宮野が超高速フレーズで駆け抜ける。ソロが終わるなり、大きな拍手が飛んだ。
負けじと吉見もハイテンションなテンポで貫き、ガンガン盛り上げる。
太田はちょっとひねって、早弾きとゆったりしたアドリブを織り交ぜて、多彩なアプローチで攻めた。
"アレキサンドリア"は寛いだ雰囲気で。だけどソロでは盛り上がる。
太田と宮野が4小節交換のソロ合戦を繰り広げたのは、ここ?次の曲だったかな。
エンディングでは太田がメガホンを持ち「・・・アレキサンドリア」と、低く呟いた。
最後の曲は井上のシタール・ソロから。インド音楽はあまり聴いたことなく、どう解釈してたかは分からず。残念。
太田が微かに、ドローンをバイオリンで奏でてた。
最後は大団円にふさわしい、明るく賑やかな演奏だった。
ソロまわしからテーマへ戻り、コーダをばしっと決める。
そこらじゅうから大きな拍手が沸き起こった。
井上は満面の笑顔。すっごく楽しそうだった。
アンコールはそのまま、ステージを降りずに弾く。
「ひさしぶりにやったから、レパートリーがない」
ってとぼけてみせ、"クリスティ"を再演した。
ソロ回しはさすがに短め。だけど誰かのソロにほかのリード楽器がからむ妙味は、充分に味わえた。
かっちり活動してきたバンドらしい、練られたアレンジだった。
響きがぴたりはまった快感なアンサンブルがすごい。丁々発止な斬り合いではなく、寛いだ雰囲気がメインか。たっぷり満足できた。