LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

05/6/11  東高円寺 LosAngeles Club

   〜natural gift - vol.72〜
出演:JINEN/TOMATOHEAD/yokyo/far/キラーコンドルズ

   
 若手バンドを次々に紹介するイベント、natural gift。行くのは去年の11月ぶり。そのときが第59回。今回はもう72回目だ。早いなあ。
 会場へ入ると、ステージに椅子がぎっしり並んでた。体調不良なおっさんにとっては嬉しい配慮ですな。

キラーコンドルズ

 小柄な女性が中央に立って、ボーカルとサンプラー(?)をあやつる。
 てっきり彼女が中心メンバーかと思った。でも、1stCDにもHPにもクレジットなし。ゲスト扱いだろか。
 ベース不在の4人編成で、基本サウンドはミキサーとサンプラーを操っていた男が作ってるみたい。

 その上へエレキギターと、前述の女性によるボーカルが乗るアレンジが多用された。
 ボコーダーを頻繁に挿入して、ストレンジな雰囲気をあおる。
 一本調子なところもあるが、基本はポップで楽しめた。あとでCD買ったもん。
 
 なにより耳を引いたのがドラム。上手いんだな、リズムが。
 打ち込みビートも流れる中、タイトにシンプルなフィルを決める。 
 最後の曲で裏拍から注ぎ込む軽やかな連打や、冒頭の曲でのタム回しなど、さりげなくサウンドをぎっちり固めてた。

 アッパーに駆け抜けたが、しっとり系の曲も聴いてみたかった。

far

 すぱっとユニゾンでキメるアレンジに耳をそばだてたが・・・ちょっとぼくの趣味と違うみたい。
 前半はほぼ全員が客席に背を向け、ドラムを見ながら演奏する。あれは何かの演出?単にスタジオでの練習風景を眺めてるようで、いただけない。

 自分らの音楽を形にするだけのテクニックは持ち合わせてる。でも、いまひとつ好みと合わなかったので、詳述は避けます。4人組のギター・バンド。 
 さくさく切り込むリフは面白いんだけどなあ。

yokyo
 
 このイベントのオーガナイザーが参加するユニット。ライブ見るのは去年の11月ぶり。
 基調は一緒だが、ノイズ役の北村はドラムセットへ座る。前回の生活雑貨によるノイズが面白かっただけに残念。

 エレキギターで二つのコードを渡り歩きながら、ボーカルは言葉を呟く。前回もやった曲かな。
 静寂の中を、ギターの音が貫く。フォーク調ながらエレキギターの響きがゆったりと時を紡いだ。

 ビニール袋をくしゃくしゃにしたり、金具に紐をつけたものでシンバルをかすかに鳴らしたり。北村はそっと音に味付けをする。1曲目はほとんどドラムが目立たず。
 エンディングはフェイドアウトにて。
 ほんとうにかすかな音まで呟きを続けたあと・・・ネックをきゅっとこすって終わりを告げた。

 20分のステージングで2曲を演奏。
 どちらの曲もタッチは似ている。後半ではパーカッションがちょっとにぎやか。
 マレットを取り出し、シンバルをそっと連打した。マレットの先が残像で震える。
 緊張した音世界を保ち続け、前後のバンドとまったく違うサウンドを提示した。
 
TOMATOHEAD

 テクノ風味を振りかけたスペース・ロック。これも気に入って、CDを帰りに買った。
 キラーコンドルズにも参加してた女性が、やはり中央に立つ、ダブルヘッダーだった。今度はカラフルなギターを弾きながら歌った。
 ここでもボコーダーを使用する。低めの音程で鳴らしてたが、オクターブあげても良かったのでは。

 ビートはタテノリが多く、少々もどかしい。たまにはシンコペーションで横へも揺らいで欲しかった。好みの問題だが。
 いくぶんドラムがバタバタするも、畳み込みっぷりは悪くない。
 ボコーダーと生声を使い分け、ハイトーンで彼女はサウンドを牽引した。
 大きな舞台も映えそうな、広がりあるライブだった。
 「だるだるスペース★ロック」がキーワードのようだが、たしかに緊迫感は薄め。しかしコミカルさがいい味を出している。
 織り込まれたテクノの要素が、ルーズな生リズムを引き締めた。

 「U.F.O.」「キラートマト」などを演奏したと思う。
 どうやらステージが押したらしい。
 エンディング間際で中央の女性が「最後の曲です」といったら、ベーシストが戸惑い顔。たぶん、一曲飛ばしたんだろう。
 堂々たるステージだった。これからの活躍が楽しみ。

JINEN

 このバンドはねぇ・・・すさまじくもったいなかった。アイディア一杯なのにそれを使いこなしてない。
 もっともっとかっこよく、魅力的なバンドになれる。
 ぼくの趣味と違うバンドに対して、コメントは触れないようにしてきた。
 でも、あえてこれだけ書かせて下さい。ほんと、もったいないんだもん。

 まず、ステージの立ち位置。中央をぽっかりあけてしまう。
 たぶん、メンバー全員をよく見えるようにって配慮だろう。そのわりにキーボードの女性は隠れてたが。
 しかしこじんまりしたライブハウスでは逆効果。むしろフロントの人間をきっちり立て、視点を明確にしたほうが映える。
 ギターを弾いてた女性がキュートだったから、彼女を前面に出すか、もしくはキーボードの女性と2トップにするか。手はいくつかあると思う。

 次にアレンジ。繰り返しやテンションを落とす揺らぎのフレーズを頻繁に使ってた。これまた、たぶん意図的だろう。しかし逆効果では。
 むしろ繰り返しを極力廃し、次々に場面を切り替えるジェットコースター・アレンジのほうが、何倍もいかしたロックになると信じる。
 かれらは女性2人と男性1人をボーカリストとして、フレーズごとにボーカルを切り替えた。時にハモることも。
 これが素晴らしくよかったんだ。くるくる視点が変わるし、発想も広がる。

 でも、全員が俯き加減に見えるんだよねぇ・・・特に男のギタリスト。マイクの位置をあと3センチ高くするだけでも、だいぶ違うだろうに。
 ファッションに統一感持たせて、目線をあげて演奏したらぐっとカッコよくなるよ。

 演奏もベースの低音が効いてる。停滞しそうなリズムを頼もしく支えてた。
 やはり女性のギタリストへ目が行った。かっこいいんだもん。
 いさましくギターをかき鳴らし、ハイトーンでまっすぐに歌うさまが魅力的だった。
 影に隠れ気味ながらも、そっとユニゾンで太くキーボードを鳴らすアレンジも楽しい。女性二人のハーモニーもきれいだったし。

 あれこれ好き勝手書いたが・・・ほんとうに魅力のポテンシャルを秘めたバンドだと思う。
 バンド自身の方向性と、どう合致するかはわからない。しかし一皮向けたら、とんでもなく爆発しそう。

 というわけで今夜も5バンド。それぞれのカラーが違うだけに、新鮮な味わいが楽しかった。
 このイベントはめまぐるしくバンドが変わるわりに、キビキビした転換もが好感持てる。また行こうっと。

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