LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

2005/3/21   吉祥寺 Star-Pins Cafe

 〜ソウル・タペストリー〜
出演:ハシケン+太田惠資
 (ハシケン:vo,g,p,etc.、太田惠資:vln、村田陽一:tb、森谷佳奈:vc)

 ハシケンはシンガー・ソング・ライター。デビューから10年たっており、アルバムを4枚ほどリリースしている。名前はライブハウスのスケジュールで見かけたことあり。
 が、白状すると・・・彼がSSWだと知ったのすら、開演の10分前。それまではてっきり、インプロ・デュオ・ライブとばかり思ってた。

 しかもステージには椅子がいくつもある。デュオでもないんかい。
 禁煙なのか、フロアでタバコを吸う人を見かけず。ロビーで吸ってると、スタッフ同士の会話が聞こえた。
 「今日、どのくらいライブやるんでしょう?」
 「どうだろ・・・太田さんとのトークの盛り上がり次第かな」
 ってことは、ややっの夜風構成かな(注:実際は大違いでした)、と想像してみる。

 開演時間を15分ほど押し、ハシケンが登場した。
 観客からぱらぱら、拍手。
「もういっぺん、出直したほうがいい?」
 苦笑するハシケン。文字通り、一旦ステージを去った。

 あらためて、ひょこっと顔を出す。今度は大きな観客の拍手に迎えられ、ステージへ現れた。
 手にはウクレレ。爪弾きながら、"テーゲー"を歌った。
  
 今夜は全て演奏前後に曲紹介あり。が、すっかり寛いでたので、メモ取りそびれました。すみません。
 "テーゲー"のあとウクレレからアコギに切り替える。ここで太田恵資を呼び出したかな?

 デュオっぽい告知だったが、実際の主役はハシケン。
 福岡のイベントでアンケートへ「トークが長い」と書かれたとかで、喋りもほとんど無かった。
 ハシケンの歌はフォーク系がバックボーンなのかなあ。沖縄音楽も入ってるみたい。

 塩辛い声で口を四角にして歌う。
 声量がかなりあり、ステージが進行するにつれて声に張りが出た。
 悪くない。あまり曲調にバラエティを持たせないのと、シンプルなアレンジのため最初はちょっと戸惑った。

 太田はバックアップ体制。アコースティック・バイオリンのみを使った。
 リバーブをかけたふくよかな音色で、甘いオブリを入れる。
 全曲かは不明だが、いわゆる譜面は見て弾いてないらしい。歌詞カードにコードが書いてあるだけかな。
 アンコールでNHKみんなのうたの「空へ」を演奏したとき(作詞がハシケン)、太田が「難しい〜」とぼやいてた。転調が多いそう。

 「譜面じゃないですもんね。音符書いてあったほうがやりやすい?」
 「いや、このほうがいいです。自分らしく演奏できるから」
 尋ねたハシケンへすかさず答えた、太田のコメントが印象に残った。

 ハシケンはボーカルに軸足を置いた演奏で、ギターはほとんどコード・ストローク。
 バイオリンのバックアップで、音世界を広げた。
 
 数曲やったて、いったん太田が下がる。森谷佳奈(vc)を次なるゲストで呼び出し、デュオで一曲。
 今回は変則的なアレンジが主眼みたい。きれいな響きに、ハシケン本人が大喜びだった。
 森谷は肩を出した黒いドレス。青白いライトに照らされた、腕の筋肉がボウイングにそって、みりみり動くさまはセクシーだった。

 太田も加わり、弦二本での演奏。さらに村田陽一のトロンボーンも加わる。
 もっとも華やかで聴き応えあったアレンジは、やはりこの箇所だった。
 あれは"走る人"だった。"ぐん、ぐんぐん〜♪"と畳み込む歌声と、包み込む全員の演奏が素晴らしい。

 ハシケンは曲により、アコギやピアノを弾きわける。
 恐ろしくシャープな村田のトロンボーンがアクセントをがっちりきめ、太田と森谷のストリングスが厚みを増やした。

 特にピアノをハシケンが弾いた曲が、すごく良かった。
 イントロで太田がバイオリンの高音部で、鳥の鳴き声を出す。
 くいくいっとひねるフレーズに、微笑むハシケン。ピアノの鍵盤へ指を乗せる。静かに曲が広がった。
 
 R&Bっぽいフレーズをピアノが弾き、トロンボーンが飛び込むシーンもあった。
 ステージを通し、さまざまなアレンジの組み合わせを使う。弦の二人を下げて、トロンボーンとのデュオも。
 かなり村田はボリュームを下げる。顔を真っ赤にして吹いていた。
 いっそ思い切り後ろに下がり、オフマイクで音を拾うのも面白かったのでは。譜面が見えないか、そうすると。

 ソロのコーナーも交えつつ、多くは太田とのデュオ。
 特に太田は技を使わず。本編ではボーカルも取らず、拡声器も無し。

 2時間くらいの本編が終わったあと、アンコールへ。これがまた長かった。
 弾き語りと太田のデュオが中心だった。

 一旦下がった後、また登場。"ぴちゃぴちゃ"って曲をやったと思う。三線をハシケンが引いたのはここか。
 この曲はアンコールの定番なのかな。ボーカルの掛け合いで、太田がホーメイを披露する一幕も。 
 最後が"ワイド節"だった気がする。観客の手拍子とコール&レスポンスを踏まえ、陽気に盛り上がった。

 今夜は休憩無し。アンコールを入れて2時間45分にもわたる、長尺のライブだった。
 観客は熱心なファンが多そう。ハシケンが曲名を告げるたび、歓声が上がってた。
 そういう観客の中で聴いてるのは、なんか申し訳ないような・・・。
 とにかく聴き応えあったよ。
 変則的なアレンジでかもす音像は、たっぷり楽しめた。もうすこしあの4人編成で聴きたかったもの。

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