LIVE レビュー
見に行って、楽しかったLIVEの感想です。
2005/3/12 上野 水上音楽堂
〜「命どぅ宝.平和世コンサート」〜
出演:渋さ知らズ
何年も前からやってる、平和祈願イベントらしい。
「去年はスカスカだったのに、今年はえらい混みようだな」
と、渡部真一がMCで言っていた。
ぼくは初めて聴きに行く。他には寿やソウルフラワー・モノノケ・サミットが出演した。
夕方から冷え込み、薄着で参加したのが大失敗。しこたま寒い。
渋さ知らズをやったあと転換に30分ほどかかり、体が冷え切った。やむなく寿の途中でリタイア・・・すみません。
水上音楽堂は不忍池横の野外ホール。駅から遠く、思い切り道に迷ってしまった。
えっさか歩いて到着したのは、開演15分前。賑やかにリハをやってる音が聴こえる。
ホールの中へ入ったら、ステージはわりとこじんまり。スズキコージスキンのでかい垂れ幕が、ステージのあちこちから下がる。
ステージ前にオーケストラ・ピットのような、ちょっとした緩衝帯があり。客席は木のベンチ。すわり心地は寒いぜ。
イベントの性質上、老若男女さまざまな客層だ。渋さで年配の人が踊ってるのを見られて楽しい。
結局、1200人完売の大入りと司会が言っていた。
渋さが終わると帰った人もそこそこいたので、実際にはもうちょい後に来た人を入れてるかも。
渋さ知らズ・オーケストラ(16:00〜17:30)
(不破大輔:ダンドリスト
つの犬、岡村太、倉持整:ds、ヒゴヒロシ、おのあき:b、関根真理、松村孝之:per、
須賀大郎、中島さち子:key、大塚寛之、斉藤"社長"良一:g、赤坂きよし:ac、
片山広明、小森慶子、立花秀輝、広沢哲、佐藤帆、吉田祥一郎、鬼頭哲:sax、
鈴木新:ss,syn、花島直樹:bcl、北陽一郎、辰巳光英:tp、古池寿浩、田村文彦:tb、
高岡大祐:tub、室舘アヤ:fl,vo、渡部真一、南波トモコ:act、ファン:g、
舞踏東洋、ふる、しも、ちえ、おしゃもじ隊、田中篤史)
メンバー表は配られたチラシからの転記。意味不明なクレジットもありますが。しかも地底新聞の記載とも違うという。
ホーン隊はもうちょい人数多かった気も。女性のトランペッターがいたもの。
渋さ知らズ・オーケストラとしては、中規模編成。
オーケストラ編成のライブを聴くの、ぼくはずいぶん久しぶり。メンバーはすっかり世代交代してる。
時間きっかりにイベントの司会者が登場。諸注意を説明・・・しようとしたが、すでに渋さのライブが始まってた。
後方からホーン隊が登場、小森慶子や高岡大祐らが司会者を囲み、ぶかぶかやかましく吹いた。司会者が苦笑して退場する。
他のメンバーもぞろぞろ現れ、配置に。おしゃもじ隊もド派手な着物にかつらで、ステージ前へ腰掛ける。
いつのまにかホーン隊は客席スペースへも登場してた。"バルタザール"のテーマを吹きつつ、練り歩く。
全員がステージに乗ったころ。渡部真一が、ホーン隊を部隊へ呼び戻した。赤ふんどしにはっぴのみの、"正装"だ。
「寒いぜ〜。膝の裏がプルプルいってる」
ぼやく渡部。そうだろなあ。しかも裸足だもの。
「忘れたかもしれないが、おれたちはジャズ・バンドだ。今日は静かに、クールに行くぜっ!」
静かに音が広がる。ちょっとこもり気味で、細かいとこは聴こえない。
終わったあとに耳鳴りがほんのりしたから、音も大きかったんだろう。大編成なのでボリュームはでかくても気にならない。
室舘アヤが、そっとボーカルを乗せる。"ひこうき"だ。
「高く飛べるよ〜♪」
歌が途切れたとたん、ふわりと垂れ幕が風に揺られ、大きくそよいだ。
最初にソロを取ったのは片山広明。
テナーサックスが太く鳴る。そしてフラジオをきしませた。
"股旅"が始まると、さやかとペロが登場した。
ゆっくりと手や足を伸ばし、客をあおる。
アップ・テンポになったとたん、客が前へ押し寄せた。
緩衝帯も踏み越えてステージ前まで埋まる。前のほうはわっさわっさと人の波。踊り始めた。
演奏はどんどん続く。3人体制のドラムが賑やかに刻み、チューバのソロが猛烈に広がる。
次第に音は熱気を増す。不破は細かく手を振って、ソロへカウンターのアンサンブルをぶつけた。
いつのまにか東洋組の白塗りダンサーが、客席に姿をあらわした。観客の真ん中で身体をくねらせる。
しばらくすると、また一人登場。
ダンスで揺れる人並みをすり抜けつつ、暗黒舞踏を続ける。
さあ、カーニバルの始まりだ。
<セットリスト>
1.ひこうき
2.股旅
3.火男
4. ?
5.P-chan
6.本多工務店のテーマ
7.仙頭
(4)は曲名思い出せず。今までにライブで聴いたことあるんだが。
ほっといたって客は大騒ぎするためか、かなりアレンジにバラエティを持たせてた。
全員で押し寄せるテーマ部分にくらべ、アドリブ部分では奏者を減らしてメリハリをつけていた。
同時多発ソロはサックスで多少見られたくらい。かなり聴きやすいサウンドに仕上げてた。
不破大輔の指揮は、その場でかなり細かくつける。ソロだけでなくデュオでのアドリブも。
まとめて立たせた金管隊はブロックで扱い、バックリフを入れた。
むろん、金管隊から抜き出しだってあり。北陽一郎らが、ソロを取っていた。
不破がさやペロに曲間で、耳打ちする姿が幾度か見られた。曲もその場で決めてるのかな。
両サイドに立った斉藤"社長"良一と大塚寛之のエレキギター2本は、激しく鳴らしてテーマのアンサンブルへ広がりをもたらす。
横に置いたエフェクターを切り替えノイジーなソロを取った社長は、前方の観客に大うけだった。
"股旅"だけで30分くらい演奏してたはず。
細かいところは覚えてない・・・。リマ哲がハーモニカでソロを取ったシーンもあり。
あれはもっと後半かな。どの曲でどんなソロか、記憶があいまいです。
エンディングから、トランペットのソロへ。
北がちょっと戸惑いの音を出す。不破は合図して、かまわず続けさせた。
耳慣れたファンファーレへ。"火男"だ。
いきなりわっさわっさ揺れる客。さやペロは曲にあわせ、左右へステップを踏む。
渡部のあおりにきっちり揃え、観客は「わっしょいわっしょい」合いの手を入れる。へえ。今はこんな風に盛り上がってたのか。
イベント趣旨のままアジるのではなく、「考えろ!」とだけ繰り返す渡部の姿勢が好ましい。
東洋組はさらに二人増え、全4人。白塗りダンスをステージ前で。
おしゃもじ隊も立ち上がり、しゃもじを振り回す。微妙にずれたリズムは味でしょうか。
ソロが交錯。不破はリズム隊を抜き出して、テンポチェンジさせる。カウンターでソロにぶつけた。
アドリブが盛り上がる中。メンバーへ指示する不破の指折りカウントがだんだん減って、テーマへの盛り上がりを促す。
「もう最後の時間が近づいてきた」
渡部の言葉に、当然ながら落胆の声が飛ぶ。だって、まだ1時間しかたってないじゃん。てっきり渋さだけで3時間くらいやると思ってたのに。
曲は勇ましいホーンのテーマへ。前述どおり、曲名を思い出せないが。
ソロを取ったのは片山広明。
ほかのホーン隊は再び客席へ降り、満員の客の合間を吹きながら練り歩く。
近くにきたとき聴こえたが、ユニゾンで吹いてるだけじゃなさそう。歩きながら自由にアドリブを取ってるメンバーが多かった。
"Pちゃん"のテーマが流れると、袖からサンバ・ダンサーの格好したダンサーが二人、登場。
腰を激しく動かして、観客から歓声が飛ぶ。まだ仕込んでたとは。
盛り上がりはとまらない。大塚のソロに合わせ、渡部はエアギターで応える。不破もちょっと加わってた。
不破はドラム三人だけ抜き出し、まとめてアドリブを取らせた。乱打が薄闇のホールへ響く。
立ち上がった片山広明。演歌をソロで吹きだした。
スッと無伴奏に。さやペロが片山へまとわりついて、セクシーに踊ってみせる。
曲は"鉄腕アトム"へ。観客が歌いだした。他のメンバーも演奏に加わり出す。
"聖者が町にやってくる"のフレーズが流れたとたん、いっきに全員で弾きだすあたり、いかにもジャズ・バンドで面白かった。
もう数曲吹いたあと、おなじみ"サティスファクション"に。分厚いホーン隊がいっせいにかっこよく吹く。
最後の曲。リズムが刻みに入った。エレキギターはすでに鳴り始めていたかもしれない。
後ろの扉が開き、南波トモコがさっそうと現れた。ビキニの上下に、ワイシャツ姿。ネクタイを引っ掛けてる。
マイクを掴み、あの曲の前セリフを高らかに唱えた。
ギターのリフにそって、全員が手をぐるり回転させる。観客も腕を動かしてた。
東洋組はステージ前に正座して、観客を見つめた。始まりを待つ。
そして、テーマ。"本多工務店のテーマ"。
アドリブが交錯し、がんがんテンションが上がる。かっこいいなあ。
ホーン隊は演奏を休め、テーマを歌った。小森はマイクに向かって歌ってたから、きっちり声が聴こえてた気がする。
不破も客席を向き、歌って見せた。
コーダへ。間髪いれず、不破がオーケストラへ向かって、大きく手を振った。
駄目押しで"仙頭"。
飛び跳ねる観客。駆け抜けて、ライブが終わった。
ホーン隊の一部がメロディを吹きながら、奥へ消えてゆく。
不破はマイクの前へやってくると、一言。
「ありがとう」
次々、メンバーはステージから去る。最後に残ったのは、さやペロと渡部だったかな。一礼して消えた。
わずか一時間半のステージ。せめてあと一時間欲しい。できれば前みたいに3時間以上ぶっつづけで。
ソロ回しやカウンターのアンサンブルを、もっと聴きたい。イベントじゃなく、単独ライブへ行かなきゃだめか。
しょっぱなからズブズブに盛り上げまくったライブだった。