LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

04/12/26   西荻窪 アケタの店

  〜サンデー・アフタヌーン・オカリーナ・ステージ〜
出演:AKETAシューリヒト・アンサンブル
   (明田川荘之;p,オカリーナ、土屋孝彦、小山京子、帆足たか子、山本千恵子:以上、オカリーナ、鈴木克人:b)

 "Samurai Nippon Blues"レコ発ライブは、アケタの店(昼の部)で行われた。
 客席は満員の盛況。ふだんと客層が違うのかもしれない。

 まずは冒頭にオカリーナ4人の無伴奏四重奏から。大小4本のオカリーナを使い、不思議と優しい響きだった。
 この日は全てノーマイク。明田川がピアノを抑え目に弾いたため、さほど音量バランスに不満はない。 
 ウッドベースがちょっと聴こえづらかったくらい。

 アドリブもなく、ごくあっさり四重奏が終わる。
 ステージで演奏を聴いていた明田川の司会で、ライブが始まった。

<セットリスト>
楽しいクリスマス
侍ニッポンブルーズ
テイク・パスタン
アルプ
越後の乳配り
賛美歌
(休憩)
賛美歌
アイ・クローズド・マイ・アイズ
餃子ブルーズ
孝の鹿
クルエルデイズ・オブ・ライフ
スモール・パピヨン
楽しいクリスマス
若き蒙古

 ちょっと自信ないが、セットリストはこんな感じ。書いてないが、何曲かはイントロで明田川ソロによる、民謡なども演奏された。
 レコ発らしく、CD収録曲は全て選曲。
 「楽しいクリスマス」と「賛美歌」はオカリナ四重奏のみ。
 「賛美歌」は番号もMCで言ってたが、覚えてないです。ごめん。

 前半セットは音楽をどう捉えようか、戸惑いながら聴いていた。
 オカリーナ部隊と明田川の音楽を、どう融合させるか掴めなかったんだ。
 基本は明田川のピアノ・ソロにウッドベースが絡むスタイル。前半はベースのソロもなかったのでは。

 オカリーナ部隊は伴奏に徹した。アドリブは皆無。
 明田川の合図にそってリフを入れるのみ。
 ほとんどはテーマをユニゾン(オカリーナ間で和声は作るが)をいれた。
 "スモール・パピヨン"だったかな。バック・リフをピアノのアドリブへぶつけることもあった。

 土屋や帆足がパート・リーダー役でオカリーナの挿入位置を合図する。
 明田川が奔放にソロを始めると、リフを入れるタイミングは取りづらいらしい。
 せっかくオカリーナを構えてもピアノ・ソロへ入り込む隙間を取り損ね、楽器を置くシーンもたびたびあった。

 明田川がJBみたいに、オカリーナをホーン隊よろしく有効活用しないかなあ、と思いながら聴いていた。
 実際にはたまにアイ・コンタクトやキューを送るくらい。

 曲によって若干、アレンジが変わってた。
 たとえば"テイク・パスタン"はおしゃれなイントロがつき。
 "アルプ"では、トリッキーな前奏をくっつけて、テンポをぐっとあげて演奏された。

 MCはすべて明田川が行う。深夜のソロライブとは異なり、丁寧に一曲づつ曲タイトルや作曲の背景を説明した。
 演奏はどれも短め。もっとオカリーナ部隊を活用し、一曲くらい延々と展開する曲も聴いてみたかった。
 ぼくは"越後の乳配り"あたりから演奏へのめりこめたと思う。

 オカリーナ四重奏を除けば、どれも明田川なじみのレパートリーばかり。
 後半戦は自分なりに耳のピントを合わせて、楽しんで聴いていた。

 たしか"アイ・クローズド・マイ・アイズ"で、ベース・ソロがあり。
 イントロで明田川によるオカリーナの無伴奏ソロがあったと思う。

 ウッドベースはポジションの押さえ方を工夫してるのか、ときおり金属的な音も差し込むアドリブだった。
 後半でベース・ソロがあったのは、おそらくここだけ。

 "孝の鹿"は初めて聴く曲かもしれない。
 イントロのフレーズは、明田川がオカリーナのアドリブで、ときどき聴けたが。
 中間部でオカリーナ隊が楽器を耳へあて、ぴょんっと身体を揺らして鹿のポーズをとる場面もあった(CD中ジャケにある写真のポーズ)。

 "クルエルデイズ・オブ・ライフ"は、オカリーナのリフが上手くはまる好演だったと記憶する。
 明田川のピアノも次第に熱がこもってきた。

 ステージのクライマックスが"スモール・パピヨン"。ピアノはクラスターもすこし提示したはず。
 
 ほんとうはエンディングが"楽しいクリスマス"だったのかも。
 ところがオカリーナ四重奏が終わった瞬間、明田川が鍵盤を押さえた。
 「あ、弾き始めちゃった」
 明田川自身がぼそりとつぶやき、演奏へ雪崩れた。この奔放さが、ふだんのライブを連想させた。

 オカリーナとのバランスを考えたか、炸裂する熱さはなし。ベースも伴奏に徹する。
 だからイメージはなんだか、おっとりしたステージだった。
 編成は面白いので、さらに楽器が絡み合う演奏も期待したい。

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