LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

2004/12/12  西荻窪 アケタの店

出演:江藤直子セッション
 (江藤直子:key vo、大津真:Laptop g、西村雄介:b、藤井信雄:ds)

 ライブスケジュールでこの予定を見たとき、胸が弾んだ。
 セッション名義だが、実際はジュリエッタ・マシーンに西村雄介が加わった編成になる。
 ぼくが知る限り、03/11/20ぶりのライブだ。

 しかしあちこちネット見てて驚いた。
 ジュリエッタ・マシーン+是安則克(b)の編成で、岩崎良美ライブ(2004/12/1:南青山マンダラ)の伴奏をやっている。他にも活動してそう。

 もっとも公式HPでは「セッションライブですが、Giulietta Machineの曲をとりいれる」と定義。ジュリエッタ・マシーンでないと断っていた。
 なぜこの名義でライブをやらないんだろ。

 ライブは8時をまわった頃スタート。
 江藤はピアノの横へキーボードを置き、下をくぐってピアノの前へスタンバイした。
 ステージへテーブルを起いた大津は、白いパワーマックを載せる。横にはミキサー。
 そして足元にはエフェクタが並ぶ。

 まず大津がマックを操作。サンプリングされた声をループさせる。
 「Giulietta Machine・・・」と女性の声が、幾度も繰り返された。

 無造作に藤井がハイハットを刻む。もしかしたら後ろで江藤がピアノを弾いていたかも。
 マックの出すループと絡み合い、どれがピアノの実音か、最初は分からなかった。

 バスドラやスネアも組み合わせたリズム・パターンへ、ドラムは次第に変化する。おもむろに演奏が始まった。
 最初の曲はエレキギターのソロが中心。
 大津はギターの音を軽く歪ませ、サイケなアドリブを取った。
 リズムパターンが、あくまでクールでいかしてた。

 曲が終わるとそのまま、ギターをアコースティックへ持ちかえる。軽やかなボサノヴァ風の刻みを入れた。
 ピアノのソロがさりげなく入る。フランス語風の歌を、軽く江藤が入れた。

 「こんばんは」
 一言、江藤が告げた。それだけ。
 MCはなにもなし。すぐに次の曲へつなげる。

 前半は6〜7曲やったかな。残念ながらセットリストは書けない。あまり聴き覚えのないメロディが多かった。
 ドラムがクールにビートを提示し、ピアノやギターがバッキングと調和したアドリブをさりげなく載せる。

 江藤はときおりシンセも使用した。ソロも取ったが、アクセントで使用するイメージが強い。
 ベースのフレーズはかなりシンプル。しかし的確に音をグルーヴさせた。
 とにかくドラムのリフが聴きもの。2曲目以降ではブラシを多用した。
 打ち込みのようにパターンを連ねる一方、ポイントでは多彩なフィルをさりげなく挿入。サウンドにふくらみを与えた。
 クラッシュ・シンバルは、鋲付きのもの。穴がいくつか開いていた。鈍く渋く、シンバルが幾度も鳴った。
 
 ステージ全般を通してMCは皆無。粛々と紡がれる一連の音楽が、ロマンティックな雰囲気も醸し出した。
 前回見たときよりも、アンサンブルがぐっと締まってる。全員の出す音が必然性を持って響いた。

 静か目の曲が続いた1stセットだが、最後はアップテンポのファンクで締める。
 ジュリエッタ・マシーンの"tudo"かな?
 エレキギターに持ち替えた大津が、シャープなリフを繰り返した。

 ドラムとベースがぐいぐい音をあおり、ピアノはソロをたっぷりと。
 江藤はキーボードへ向き直り、レスリー・スピーカーでのオルガン風な音色で、がんがん弾く。
 そしてピアノへ。ギターとユニゾンでテーマを幾度も繰り返した。

 前半のステージは約50分。わずかな休憩を取って、2ndセットが始まった。
 まずはピアノのソロ。ゆったりと音が積み重なる。
 音楽がギターとベースのアンサンブルへ受け渡された。ドラムがシンプルなビートで補完する。

 ディストーションを効かせた、ベースのソロはこの曲だったかな。
 江藤のフランス語による歌も、ここで提示された。

 後半もMC抜き。メドレー形式で4曲を演奏する。
 静かなムードが続く。ボサノヴァだけでなく、別の要素も取り入れた。ラテンかな?とにかく独自の、訴求力あるノリだった。
 
 2曲目以降ではマックのループも挿入する。後ろで常にループが鳴ってたのかな。
 音像が静まると、店内にハムノイズっぽい音がそっと漂った。
 
 ドラムは曲によってブラシとスティックを使い分ける
 片手にブラシ、もう片手にスティックを持つ瞬間もあった。
 
 印象に残っているのは、曲の合間にタオルでスネアの打面を拭く姿。あれはどういう効果を狙ってたんだろ。
 音を出すつもりで拭くのでなく、単純に打面をきれいにしてたようだが・・・。

 2ndセットの最後も、やはり大ファンク大会。
 エレキギターをかき鳴らす途中で、弦が一本抜けてしまう。かまわず大津は弾きまくった。

 ここでもドラムのフィルがアレンジの舵取り役を取る。ひたすら刻む合間に、シンバルやスネアの連打でブレイク。
 終わると思わせ、がっと次のブロックへ誘った。

 ライブが終わったのは22時前くらい。観客の誰もが席に座り、余韻に浸ってた。
 西村のベースは他の3人が作る音にばっちりはまる、大正解のセッションだった。

 音数少ないベースを、タイトなドラムががっしり支える。
 ソロとアンサンブルが一体化、時にピアノとギターで同時にアドリブを取るシーンも。
 いわゆるソロ回しのようなお約束は無し。メドレー形式で進行する構成は、幻想世界の音構築に一役かう。

 わくわくするサウンドにたっぷり触れたライブだった。
 準備中という、ジュリエッタ・マシーンの2ndも楽しみだ。

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