LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

2004/11/6   新宿 シアターPOO

   〜酔いどれギタァの夜 vol.02〜
出演:小野祐介,オクセイジ,yokyo

 小野祐介(元:メルカトル)の企画イベント"酔いどれギタァの夜"の第二回目へ。
 予備知識なしで行ったが、弾き語りがテーマのイベントか。
 
 このハコも初めて。キャパ40人くらいかな。椅子が作りつけの、バーみたいな店。
 ステージはちょっと高くなった台で、10畳くらいスペースあるかな。小劇場っぽい雰囲気だった。
 
yokyo
 (戸田圭亮:vo,ag,harm、北村仁志:noize)

 次回のライブも決まり、継続活動しているユニットみたいだ。
 戸田(元:メトロ)が弾き語りでフォークっぽい歌を静かに歌い、北村が生活雑貨でノイズを挿入するアレンジ。
 北村の横にビニール袋につまった雑貨が色々置かれる。マイクを床へ近づけて音を拾ってた。

 まずはピアニッシモで戸田がアコギを爪弾く。そっと、声を載せた。
 舞台の床にぺたっと座り込んだ北村が、A4の紙束をそろえる。
 マイクの前の床に紙束を置き、ゆったりめくり始めた。
 わずかにかかったリバーブが、紙のこすれる音を強調する。

 戸田の歌が静かに流れ、紙の音がかぶさった。ドラムでいうブラシの効果を狙ったか。
 歌声は激しくならず、静寂のテンションを継続する。
 店内のエアコンの響きが大きく耳に触れる、まるでこのノイズも音楽の一要素みたい。

 紙をめくる仕草は次第に激しくなり、紙束がくしゃくしゃに。
 破る音も音楽に取り込む。エンディングはフェイドアウトよろしく、北村はゆったりと紙を破った。

 曲は似たような感触で、耳へ馴染む。フォークのスタイルだが、いくぶん洗練されていた。
 全部で3曲。つい目は北村が出すノイズのほうへ行ってしまう。
 一曲目は紙束だけで押し切った。しかし以降は曲の途中で、場面ごとに使う機材は変えていた。

 缶に入れたコインをジャラジャラ鳴らし、金属ボウルへ投げ込む。
 飲み物のビンにドリンク剤のビンをクラベスやギロ風に使い、かすかにビートを刻んだ。
 ドラムのスティックを床に転がる音をベースに。
 その横に空き缶をずらり並べ、床にぶつかる音をパーカッションっぽく使用した。

 単なるリズム楽器でなくランダムだからこそ、ビートがユニークになる。
 ライブで映える演出と思うが、音単独でも成立するだろう。

 わずか20分ほどのステージ。最後の曲では、わずかに音世界が激しくなった。
 ステージングの構成を意識した展開にも好感が持て、面白いライブだった。 

オクセイジ

 エレキベースの弾き語り、という突飛なスタイル。
 ファズっぽく歪ませた音色で、伴奏はリフを強調する。したがってエレキギターでも成立する。
 しかしあえて楽器をエレキベースにすることで、響きをトリッキーにしたんだろう。
 
 ベースの響きを生かしたチョッパー奏法や両手タッピングも使いつつ、ギター風にカポをはめたりストロークしたり。
 なんとも豪快な演奏だった。

 曲はコミカルでナンセンスな物が多い。
 エンディングに向けて盛り上げたりもせず、唐突にカットアウトする。
 のんきなMCで飄々とステージを進めた。

 かなりラフなリズムだったが、それなりにベースを弾きこなすテクニックはありそう。
 最後の曲だったかな。ファンキーに唸るリフが面白かった。
 彼も20分ほどのライブ。

小野祐介

 アコギの弾き語りという、オーソドックスなフォークのスタイル。
 演奏前に缶ビールを大きくあおり、タバコをふかす。火をつけたまま横の灰皿へ載せた。
 上から照らす強いライトへ向かい、紫煙がけむる。ちょっとしたスモーク代わりか。

 まず一曲目を聴いて、たまげた。もろに60年代フォークなんだもの。
 字余りをわずかに見せつつ、早口で言葉を叩き込むスタイル。
 60年代後半の歌声喫茶へ、タイムスリップした気分だった。

 小野は20代前半だとおもうが・・・4畳半フォークをリアルタイムで選択する人がいたとは。
 といいつつ、さほどフォークを聴いてないので、どのフォークに影響を受けてるか言えないのが残念。

 ただし曲が進むにつれ、「ああ、今は21世紀なんだな」と改めて思う。コードの響きが多彩になったから。
 2曲目はもろにC&W。
 それ以降は相当明るい響きの和音も多用した。
 爽快なアコギのリフのイントロでも、歌の途端に自分の音世界へ引きずり込む曲作りだった。

 曲の合間にビールを飲み、タバコをふかす。
 譜割いっぱいに言葉を押し込むフレーズが目立った。ときおりハイトーンで喉を震わせる。
 「歌詞は出来たが、曲は未完成。アドリブでやります」って手法も使う。

 最後に演奏した曲で、がっと4畳半フォークに逆戻り。
 ぼくの世代だと完全に『過去』の音楽だけど、彼らの年代では新鮮なのか、と考えてた。へたしたら尾崎豊すら、リアルタイムじゃないのかも。

 どの奏者もあっというまに演奏が終わり、ライブがはねたのは21時半頃。そこからタワレコに行く時間も充分あったよ。
 ぼくの好みだと、yokyoが一番面白かった。
 だけど普段触れないイベントだけに、新鮮な楽しみに触れられた。

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