LIVE レビュー
見に行って、楽しかったLIVEの感想です。
04/7/31 西荻窪 Bins Park
〜Otherside? Vol.8
出演:大感情、Aural Fit、RUK
イベント名義だが、特に3バンドのライブに関連性は見い出せず。演出も司会もなく、淡々と進行した。
店へ入ると、緑色のきれいなドラム・セットが置いてある。
シンバルがスタックされてるの見て、首をひねった。あれ?RUKってトリじゃないの?
RUK
(こいで:G,vo、キタダ:b,vo、植村昌弘:ds)
3回目のライブとか。HPで彼らのライブ音源をDLできるが、実は今朝まで落とし方を気がつかなくって。
ライブで初めて音を聴くことになった。
ハイスピードな即興音楽かと思ってたら、ずしんと響くデスメタ。植村が日記で前に書いた「デスメタルのバンドをやることになった」って、RUKのことなんだ。
メインボーカルはこいで。フライングVにエフェクターをたんまりかけて、弾き殴りながら吠える。
ただしノーリバーブで叫ぶのには無理がありそう。さすがにバックの演奏に埋もれてしまう。PAバランスで、もうちょい音を大きくすればいいのに。
ギターは歪みまくりで、何の音を弾いてるか分からない。これは狙いだろうな。
シャープに刻むリズム隊と対比させるがごとく、混沌に突っ込んだ。
デスメタといいつつ、リズムはころころ変わって楽しい。
2ペダルでどかどか踏み鳴らしつつ、植村は涼しい顔でタムを叩きまくり。かっこいいなー。
ギターやベースとのコンビネーションは、たまにポリっぽく歪む。聴いてて何拍子かリズムがわかんないや。
ブロックごとにテンポが変わり、聴いてて飽きない。
吠えるギター、切り込むドラムに対し、ベースのキタダは一歩引いておとなしめ。
立ち居地もほんのり遠慮がち。なんだか緊張した面持ちでフレーズを畳み掛けた。
ギターのエフェクタにかき消され聴こえづらかったのが残念。
キタダはボーカルを取ると、ぐっと存在感がでる。
うがい声で吼えるこいでに対し、キタダは透明感あるきれいな声で対抗。 ゆっくり言葉を置いていく。デスメタ・ビートと逆ベクトルな発想がすばらしい。
3曲目だったかな。キタダのボーカルと演奏の噛みあい具合が、むちゃくちゃ面白かった。好みで言うと、あの路線を追求して欲しい。
ときどきコイデが曲名を言ってたが、よく聴き取れず。
インスト曲を挟んで、全部で5〜6曲やったかな。
こいでの正当デスメタが3〜4曲、キタダの透明デスメタが2曲、中間にインストが一曲ってとこ。
インスト曲も楽しめた。いっそインプロ路線も好み。
・・・ってこう書くと、ぼくがデスメタ無知なのがばればれですね。その通りですが。
昔、ナパーム・デスをちょっと聴いたのと、メルツバウがらみで耳にしたくらいなもので。
低音をぶわっと強調したPAバランスが心地よい。ドラムやベースが低音成分を蒔くたびに、下半身がびりびり振動した。
わずか25分ほどのライブだった。
Aural Fit
ギター、ベース、ドラムの男三人組。いろいろ考えながら聴いてたライブだった。
轟音ギターがフリーに暴れ、ドラムとベースが刻む構成。
サウンドチェックの段階からギターは爆音で音を出し、フィードバックを閃かす。
そのままライブへ突入した。全部で30分ほどの演奏。
轟音そのものは別になんてことないが、ゆるい進行にめげる。エフェクターで歪んだ音に自家中毒起こしそう。
ギタリストはぽかんとうつろな表情で、ときに何かをマイクへ語りかける。何を喋っているかはよくわからず。
たとえば不失者、たとえば蝉。無数にいる即興ギター・バンドと何が違うか、ずっと考えていた。
ギターの音が馬鹿でかく、ベースはさっぱり聴き取れない。指使いを見る限り、あんがい細かいフレーズを弾いてそうだが。
上半身裸で叩いてたドラムも、バンドの関連性は意に介さぬかのごとく、シンプルに規則正しいリズムを繰り返す。
ギターのフレーズはたぶん即興だが、30分ほどのステージで数回ほどの場面展開あり。メドレー形式に繋げていたのかも。
バンドとしての方向性が、残念ながらぼくには理解できなかった。
轟音エフェクタギターが主役なら、いっそソロのほうが音に緊張感が増す。リズムに凭れないぶん構成も締まるだろう。
ベースとのコンビネーションを生かし、複雑なベースを際立たせるなら、PAバランスに一考すべき。どっちに進んでも、面白くなりそう。
なにより規則正しいビートが一番違和感あった。
轟音ギター・ノイズは嫌いじゃないからこそ、すごく困惑しながら聴いていた。どうして拍子が必要なんだろう。
・・・なぜ4拍子?・・・なぜ、3拍子?
大感情
(飯塚道夫:b、須賀信夫:vo、倉持整:ds、今井真之:ts)
初めて聴いたが面白かった。
倉持整は最近の渋さ知らズで名前を見かけるドラマーだ。ジャズかと思ったら、ちょっと違う。
まずは須賀を除いた3人でセッション。
テナーサックスが無造作に柔らかめのリードで、スラーを多発するフレーズを吹き鳴らした。
いわゆるコルトレーン・スタイル。というより川下直弘を思い出す。
ちなみにHPのプロフィールで今井は、好きなミュージシャンに川下をあげていた。
飯塚が高速フレーズでエレキベースをあおり、倉持がシャープに刻み込む。うおー。往年のフェダイン・アンサンブルだ。
しかし異様なのは、倉持のドラムにさっぱりジャズを感じないこと。
まったくタメず、とにかくタイトにまくし立てる。今井のサックスとの交わり方の異物感が面白かった。
今井のサックスはかなり柔らかいリードかなあ。びりびりと音が震えながら低音を軋ませる。
ドラムはベースと噛みあい、独特のグルーヴがここちよかった。
このバンド、フェダインを意識してるのかな?テーマにフェダインっぽいメロディもあって、懐かしくも。2曲目では"梅六個"を連想した。
2曲目あたりからしだいに体感スピードも上がり、音楽へのめりこんでゆく。
さて、バンドそのものはボーカルが加わる。とたんに絵柄がパンクっぽくなった。
スーツ姿ではだしの須賀は、仕事帰りでノーリハだという。
ハードコア・ジャズ風バッキングにまったく負けず、豪快に吠えた。ボリュームもほどよく大きく、演奏と溶け合いぶりが痛快だった。
ひっきりなしにチューハイを飲み干し、なんだかMCも歌も泥酔モード。実際に酔ってたのかは知らないが。
酔っ払いががなってるみたい。不思議な光景だった。
ボーカルにかまわす吹き倒すサックスの絡み方は好みだ。
ライブは約30分。余裕なき強靭なグルーヴに乗ってたら、あっというまに終わった。