LIVE レビュー
見に行って、楽しかったLIVEの感想です。
04/7/24 江古田 Buddy
出演:HAYAKAWA
(早川岳晴:b、橋本ジュン:g、増田隆一:g、北澤篤:ds、植村昌弘:ds)
HAYAKAWAのライブをだいぶサボってて、聴くのは昨年の9月ぶり。
今夜は早川岳晴がHPで"久々の旧曲をいくつか取り上げるつもり。"とコメントしてた。
MCによれば2ndの"Gwoh-in"がめでたく完売したそう。それを記念しての選曲だろうか。
ステージ向かって左が植村、増田。右側に北澤、橋本が並び、中央に早川が立つ。
植村の後ろの壁に、ぽっかり丸い月が浮かんだ。タムがライトに反射してたんだ。
タムが叩かれるたびに月がぐにゃんっと歪んで、なんだか面白かった。
<セットリスト>
1.Umisasori(eurypterus) : 3rd
2.Syllogisme
colonial : 3rd
3.翼竜の海(The sea of Plerosaurs) : 1st
4.シャーマターラのマサカリ(働く人々):
?
(休憩)
5. "タイトル未定": 未CD化
6.アンモナイトの悩み(A notion of
ammonite): 2nd
7.Pug bug : 2nd
8.Moon stone : 3rd
9.294 :
2nd
(アンコール)
10.Masakomasa Shuffle : 1st
旧作だけでなく、3rdからも取り入れたバランスいい選曲だった。
(4)ってHAYAKAWAでのリリースありましたっけ?早川のアコースティック・ジャズでよく演奏される曲ってイメージがあり。
ちなみに(4)の前のMCで「この曲を『働く人々』ってタイトルで歌ってる奴がいるんだよ」と話す早川。
『実は今夜、そいつ(清志郎)が遊びに来てくれたぜ!』ってオチがないかなと一瞬期待する。もちろん、ぼくの妄想でした。
前半はなんだかあっさりとした印象。すいすいと軽やかに演奏が流れてく。
始まったのが19時45分くらい。4曲演奏するもさくさく進行し、前半セットは45分くらいだった。
最初の2曲は5弦のエレベを使用。最初に早川がじっくりソロを取ったのは(2)だったか。
この曲のイントロで植村が、4拍目の裏をさくっと叩くアクセントがかっこいい。
(1)も(2)もギターソロは短め。くるくる変わる。アレンジが切り替わる部分は、特に早川が合図をしてなさそう。
きっちり構成が決まってたのかな。たまにアイコンタクトが飛んでたが。
体感音量はさほど大きくない。しかし休憩でほんのり耳鳴りしてたのが、意外だった。あんがいボリュームでかいんだな。
(1)はPAバランスがえらくモコモコ。ベースソロもちょっとあったが、音に埋もれてさっぱり聴き取れず。
(2)くらいからだいぶ聴きやすくなった。ぼくの耳がHAYAKAWAのサウンドに慣れてきたのかも。
ドラミングは植村の手数が控えめになり、ダブルドラムを強調。
そういや植村のハイハットの上にセッティングされた、タンバリン(?)の音がたまに耳に届いて綺麗だった。
ギターの二人も、今夜は互いに競い合う格好。
サイケな増田とシャープな橋本ってイメージだったが、今夜は増田がメロディアスなフレーズを多発し、きっちりアンサンブルを固める。
いっぽう橋本はコード・ストロークをシャキシャキきめ、ビートの強さを強調した。
だいぶノリが突っ込んで来たのは(3)から。後半2曲は4弦エレベに持ちかえる。
なじみの演奏なためか、リラックスした快演だった。
圧巻はやっぱり(4)。ソロの交錯もたっぷり取って楽しめた。
たしかこの曲で増田はアンプへギターを押し付け、フィードバックを出そうとしてた。なぜか客席には聴こえなかったけど。
最後のアレンジがかっこいいんだ。
存分にギター同士のソロを回した後、視線一発でテーマへ。
テーマが繰り返されるなか、早川がくるりとドラマーへ視線を投げた。
コブシを天に突き上げる。
とたんにテーマが倍テンに。エンディングへ素早く駆け抜けた。
後半セットはレゲエ調にギターを刻む、橋本のプレイが印象に残る(5)から。
ドラムが普通に頭打ちだけど。北澤が8ビート、植村が16ビートっぽく、刻み方を変えて多重性を出す。
個人的にぐっと来たのは(6)。サイケな増田のギターによるインプロからテーマへ。
ずいぶんキメの多い複雑な曲構成だって、改めて思った。ほとんど合図無しで、みるみる展開させる。
重心軽くスピーディで素晴らしかった。
後半も前半2曲が5弦、あとは4弦とベースを使い分ける。
(7)はエンディングでたっぷり溜めた。しだいに音量を下げて、オーラスでどかんとぶちかました。
橋本がワウを使った刻みを入れたの、ここでだっけ?
ダブル・ユニット編成を強調したアレンジを取り入れた(8)。テーマが終わったとたん、すっと植村と橋本が下がる。
北澤と増田のバッキングで、早川が思いっきりベースソロを聴かせた。
北澤の無伴奏ドラムソロへ。全員が弾きやめ、彼を眺めた。
植村は袖からフラッシュ焚いて北澤を写す。
タバコをくゆらせる増田は、腰を下ろした。
ストイックなドラムソロを、おもむろに橋本がワウであおる。
ドラム・ソロへ橋本のギターも加わった。
ここで勢いあまったか。北澤のライドシンバルが、フロアタムへのマイクを巻き込んでぶっ倒れた。
まるでそのトラブルが合図かのごとく、植村と早川が動く。
タイトにリズムを繰り出す植村。早川がベースを重ねる。なお早川は演奏へ加わる前、フロアタムのマイクをきっちり治してあげてた。
このアクシデントでソロからアンサンブルへの展開が、さらに強調された。
(8)に限らず後半は、早川のエフェクターがすごく効果的だった。
ソロの一部でディストーションを思いっきり効かせ、野太く吠える。
前半セットで取ったソロは、まるでエレキギターだ。上のフレットを中心に引きまくった。
もちろんベースらしいずっしりしたソロもたんまり。
どの曲だか忘れたがフロント三人でてんでにメロディを繰り出す音像がいかしてた。
2ndセットは(9)で幕を下ろす。この曲、リフの発想がまるでハードロックだ。
テーマは4/4+7/8と半拍欠ける、一筋縄ではいかないファンク。
ドラムの対話を挟んで、ソロへ雪崩れる。
後半セットはPAが聴きやすい。一晩でこんなに音へ印象変わるのも珍しい。
いままで重戦車のイメージだったHAYAKAWAだが、今夜はなんだか超音速飛行機。軽やかに入り組んだ構成を駆け抜けた。
アンコールで登場した早川は、今後のライブスケジュールを説明する。
かまわずにタムのカンカン叩いて、チューニングする植村。
「うるっさいなー」と早川が苦笑してた。前もあったな、こんな光景。
最後は1stから"マサコマサ・シャッフル"。ずいぶん聴くの久々なイメージあり。
イントロではちょっとポリリズムに、植村がライドシンバルを叩いた。
ずいぶんひさびさにHAYAKAWAを聴いたが、どんどんアンサンブルが締まってる。
今日のライブで一区切りつけて、次はまた新曲群のライブへ移るんだろうか。