LIVE レビュー

見に行って、楽しかったLIVEの感想です。

04/04/24  入谷 なってるハウス

出演:MUMU
 (植村昌弘:ds、中根信博:tb、坂本一孝;key)

 なってるハウスでは3回目(だっけ?)、MUMUのワンマン。メンバーは20時をまわった頃に、ようやく店内へ戻ってきた。
 なんでも隕石の話で盛り上がってたそう。
 "直径40キロの隕石が地球へ落下すると、地球全部が4千度の熱に覆われ、地下Xmまで蛋白質が存在しなくなる"
 って話・・・だったかな?すみません、細かいとこ覚えてません。

 開演が遅れた侘びの理由に、上記の話を中根がのんきに紹介した。
 「てなわけで『ワンピース#1』でした」
 と強引に喋りを曲紹介へ繋げ、坂本が「なんで『てなわけで』なんだ」ってすかさず突っ込む。

 さて、まずはセットリストから。今回もMUMUのHPから引用です。

<セットリスト>
1.ワンピース#1
2.2004 #4(初演)
3.2004 #2
4.03/11/14
5.2004 #3
6.Song - Our Underwater Torch
(休憩)
7.2004 #1
8.03/10/2
9.亜 #5
10.亜 #4
11.03/10/16

 冒頭に一曲、続けて数曲、セットの最後に一曲。おなじみの構成だ。
 「ワンピース#1」は「ひさびさに演奏しました」って紹介してた。
 
 続けて今年の新曲群をつるべ打ち。
 初演の"2004 #4"は5拍子・・・かな?バスドラがへんなとこで一打ちされる、凝ったリズム・パターンの曲。
 キーボードはほぼユニゾンで刻みを入れるが、トロンボーンはまったく別ライン。AORっぽいメロディを滑らかに奏でて面白かった。
 初手から、植村が無伴奏で叩くシーンあり。ソロというほど長くなかったけど。
 
 "2004 #2"は、テーマのテンポがころころ変わる曲。
 今回聴いてて、正弦波みたいに上がっては下がるリズムと気が付いた。倍に早まったり遅くなったりが基本かな。
 盛り上がりかけた瞬間、急にスローになるいじわるな作り。
 
 かなり長く演奏してた。トロンボーンのソロで尺を伸ばさず、曲の展開で自然に長くなってたと思う。
 前回も同じくらい長かったっけ?うーん、覚えてない。

 演奏中にポコン、ってコミカルな音がした。
 なんだろ?とドラムセットをしばらく眺めて、気が付く。
 左足のとこにペダルを置いて、カウベルを蹴れるセッティングをしてた。
 この曲のためだけのセッティングみたい。他の曲では、まったく使わなかった。
 なんとも律儀だ。響きが愉快だから、もっと叩いて欲しかった。

 胸にぐっと響いたのが"03/11/14"。
 メロディがポップな上に、むちゃくちゃ分厚く鳴った。たった3人の演奏なのに。
 スペクターのウォール・オブ・サウンドを聴いたときみたいに感激。本人らは、そんなことまったく意識してないと思うが。
 
 「3曲続けて」とMCで言ったけど、実際は続けて"2004 #3"も演奏された。
 テーマの途中で挿入される、パンクみたいな連打が今夜もかっこいい。
 滑らかにガンガン疾走した。

 キーボードとドラムが生み出すひねったリズムの上を、トロンボーンは飄々としたメロディで泳ぐ。
 2曲目だったかな、3曲目だったかな。
 右足をぐっと曲げて足元へバルブを長く伸ばし、連符を鋭く吹くポーズが印象に残ってる。

 1セット目最後が、ワンマン恒例「カバーのコーナー」。
 今回はスクエアプッシャー。たしかに意外な選曲。坂本がファンらしい。「自分のHPからリンクで飛べます」と紹介してた。
 中根も知らないバンドみたいで、「お客さん、知ってます?」と尋ねる。
 ちなみに手を上げたのは数人。ぼくは聴いたことないので手は上げなかった。
「どんなバンドか紹介したら?」と中根が植村に促すと
「あー、無駄無駄」
 って、あっさり切り捨てた植村が可笑しかった。

 「リラックスしていけるぞー」
 メンバーからつぶやきの声が聴こえた。
 一定のリズムをキープする、きれいなメロディのバラード。ゆったり音が膨らむ。

 スクエアプッシャーってNYあたりのスラッシュ・パンクバンドだと思ってたから、すごく意外だった。
 ちなみに帰ってネットで調べると、ぼくの思い込みは大嘘。

 スクエアプッシャーって実際にはイギリスのテクノ系ミュージシャンです。
 トム・ジェンキンソンのソロ・プロジェクトで、「超高速ドラムンベース"ドリルン・ベース"の創始者」とある。
 今回の曲は1999年のEP、"Maximum Priest"に収録。

 休憩挟んだ後半は、"2004 #1"から。
 前回はリズムの奔流に圧倒されたが、実際にはトロンボーンもメロディをいろいろ操ってたんだ。
 今夜はバンドとしての、テンションの高さがすさまじいったら。
 MUMU風ジャズって、こんなかな。猛烈なファンクが素晴らしかった。
 
 "03/10/2"の演奏前、中根がマウスピースを変える。
 音を聴いても、ぼくの耳では違い分からず。管楽器は詳しくないが、サウンドが変わるんだろう。
 次の"亜 #5"の時には、また元のマウスピースへ戻してた。

 後半セットはどの曲も充実した演奏。個々の細かいとこまで覚えておらず悔しいな。
 どの曲だったか忘れたが、植村と坂本がアイ・コンタクトを交わしながらリフを組み立てるシーンも。1stセットだったような気もする。
 トリッキーなリフを決めながら、二人とも楽しそうに笑ってた。

 最後となる"03/10/16"の前に、告知コーナー。
「生活かかってますので」と笑い、中根が次回のライブなどを紹介した。
 植村が「次のる*しろうは4/30だっけ?」と、客席へ唐突に尋ねる。
 客席にいた、る*しろうの金澤美也子(たまたま遊びに来てたらしい)は、いきなりで苦笑しながら頷いてた。

 そして"03/10/16"。圧巻だった。正直なとこ、この曲の印象がむっちゃくちゃ強い。
 ソロ回しなど皆無。だけど全員がソロを取っているかのよう。
 トロンボーンが延々とメロディを吹く中、植村の手数がぐいぐい上がってく。まるでドラム・ソロをしてるかのよう。
 爆裂な演奏に圧倒された。

 アンコールは今夜もなし。
 PON時代の伝説、「倍速演奏アンコール」を聴いてみたいなあ。
 
 ワンマンなせいか、のびのび痛快な演奏で大満足。こじんまりした動員が不思議でならない。
 毎回感想で書いてるが、ほんとCDで聴きたい。
 ライブを聴くたびに曲の細かい部分が違って聴こえる。長さやフレーズなどが。

 きっちり譜面を使ってるが、アレンジをライブのたびに変えてるんだろか。
 たまたまライブのたびに違う部分に聴いてる注意点がずれ、曲のニュアンスが違って聴こえてる気もする。
 といいつつ。はたしてCDでじっくり聴いたって、どこまで曲の構造を覚えられるか。それはまた、別の話。

 タイトで小気味良いアンサンブルに集中できた夜だった。
 対バンありの濃密なステージも捨てがたいが、やっぱワンマンのほうがじっくりMUMUを味わえて好き。

目次に戻る

表紙に戻る